4.5 補機(2001年5月/国際船艇)
本調査は、2000年に中国の10の造船所で建造された40隻の船についての結果をまとめたもの。
補機としては、主機のサポート、船上の環境、船員・乗客への日常サービスを提供するものとしてボイラ、空気圧縮機、換気用ファン、空調・冷蔵設備、造水装置、油水分離機、汚水処理装置、焼却炉、防錆・防汚装置等の機器を対象としている。
これらの機器の中国での市場は数百万ドルと見られる。外国メーカーからの技術導入(表1参照)により現在、既に中国メーカーが比較的完成したシステムを提供できるようになっているが、国際基準の強化に伴い再び輸入品と中国製品の差が目立ち始めている。
例えば、1980年代にAtlas社(デンマーク)とのライセンス契約によりAFGU型tube-shell方式の造水装置が相当数設置されたが、その後、Alfa Laval社(デンマーク)がより熱効率が良く、小型で保守の容易なplate式の造水装置を開発すると中国製のAFGU型tube-shell方式の造水装置は徐々に使われなくなった。
現在は、輸入品が増えており、中船集団公司(CSSC)の文書によると1999年は補機の21%が輸入品となっており、他の製品に比べ輸入品の比率が高い。
中国に輸出している補機メーカーの名前を見るとAlfa Laval、Hamworthy、Sperry、Aalborg、ダイキン等欧州・日本のメーカーが出てくる。
中国においてAlfa Lavalは造水装置と油水分離機で、Aalborgはボイラで市場を独占する地位にある。
表1 技術導入の例
製品名 |
提携企業 |
中国メーカー |
原油洗浄機 |
山水(日本) |
華南船舶機械廠 |
汚水処理装置 |
Hamworthy(イギリス) |
緑洲機器廠 |
焼却炉 |
Teamtec(ノルウェー) |
緑洲機器廠 |
造水装置 |
Atlas(デンマーク) |
緑洲機器廠 |
ボイラ(強制循環型) |
Clayton(アメリカ) |
九江船用機器廠 |
ボイラ(油燃焼式垂直管型) |
Aalborg(デンマーク) |
九江船用機器廠
大連造船廠
青島鍋炉廠
沙洲鍋炉廠 |
ボイラバーナー |
Hamworthy(イギリス) |
江西航海儀器廠 |
|
1)ボイラ
今回調査での補助ボイラの中国への輸入シェアは表2のとおりであるが、Aalborgと提携している青島Aalborg鍋炉公司、沙洲鍋炉公司等の企業をいれると比率は更に高くなる。ただ、その際も中国で生産されているのは本体とバーナーのみで、高い技術を要する部品はAalborg社及びAalborg社の日本の提携先から輸入されている。
表2 中国に輸入されている補助ボイラのシェア
メーカー名 |
台数 |
シェア(%) |
Aalborg社(デンマーク) |
13 |
59 |
大阪ボイラー(日本) |
4 |
18 |
Harms(ドイツ) |
2 |
9 |
GEKA(ドイツ) |
1 |
5 |
その他 |
2 |
9 |
合計 |
22 |
100 |
|
注: |
その他はいずれもノルウェーのメーカー |
出所: |
2001年5月/中国船艇 |
2)空気圧縮機
今回調査での空気圧縮機の中国への輸入シェアは表3のとおりで、1位はノルウェーのSperryであるが、全体ではドイツのメーカーが59%と大きなシェアを占めている。
1996-1997年には、Sperryが11台(50%)と大きなシェアを持っており、ドイツメーカーではJ.P.Sauer&Sohnが2台、Hatlapa、Hamworthyが各1台、イギリスのメーカーが5台、日本の田邊が2台だったことから見ると、SpenyとJ.P.Sauer&Sohnの欧州メーカー、特に、J.P.Sauer&Sohnが近年中国で大きくシェアを伸ばしている。
表3 中国に輸入されている空気圧縮機のシェア
メーカー名 |
台数 |
シェア(%) |
SpeRRy(ノルウェー) |
15 |
34 |
J.P.Sauer&Sohn(ドイツ) |
14 |
32 |
NK(ドイツ) |
5 |
11 |
Hatlapa(ドイツ) |
4 |
9 |
その他 |
3 |
7 |
合計 |
44 |
100 |
|
注: |
その他はいずれも欧州のメーカー |
出所: |
2001年5月/中国船艇 |
3)換気用ファン
換気用ファンは大きさ、価格とも様々であるが、今回調査でのシェアは表4のようになっている。1996〜1997年の統計では、日本のメーカーはOnishi、Kubota、Taiko、Intechの4社だったが、今回の調査では、1社1台に減少している。
(舶用機械部注:本項目の日本メーカー名は掲載記事に従いアルファベットで表示)
表4 中国に輸入されている換気用ファンのシェア
メーカー名 |
台数 |
シェア(%) |
Heinen-Hopman(オランダ) |
8 |
26 |
Sabroe/Hi-press(デンマーク) |
4 |
13 |
Onishi(日本) |
1 |
3 |
その他 |
18 |
58 |
合計 |
31 |
100 |
|
注) |
その他の内訳は、イギリス8台、ドイツ5台、スウェーデン4台、オランダ1台 |
出所: |
2001年5月/中国船艇 |
4)空調・冷蔵設備
今回の調査での空調・冷蔵設備の中国への輸入シェアは、表5のとおりである。今回の調査対象は居住区等一般用で、冷蔵運搬船やガス・キャリヤは含んでいないが、デンマークのメーカーが13台と約1/3を占めている。
家庭・陸上用のメーカーは中国に数多くあるが、舶用は使用条件が厳しいため輸入品に頼る結果となっている。
表5 中国に輸入されている空調・冷蔵設備のシェア
メーカー名 |
台数 |
シェア(%) |
York(デンマーク) |
9 |
25 |
Sabroe/Hi-press(デンマーク) |
4 |
11 |
Heinen-Hopman(オランダ) |
8 |
22 |
ダイキン(日本) |
7 |
20 |
ABB(スウェーデン) |
4 |
11 |
その他 |
4 |
11 |
合計 |
36 |
100 |
|
5)造水装置
中国では、tube−shell方式の造水装置を南京緑洲机器廠がAtlas(デンマーク)とのライセンス契約で生産しているが、Alfa Laval社(デンマーク)の製品が技術的に優れていることから中国で使われる造水装置も約90%が輸入品となっており、同社が圧倒的な強さを見せている。2000年は、33台のうち、31台がAlfa Laval社(デンマーク)で、残り2台がAPV(デンマーク)、1996−1997年調査には日本のササクラの名前がある。
6)油水分離機
分離機には、燃料油、潤滑油用のフィルター・分離機、油水分離機等多くの種類があるが、油分離機を対象としたとき、2000年の中国市場ではAlfa Laval社(デンマーク)が19の契約全てを独占した。1996−1997年の統計にはJowa(スウェーデン)、Westphalia(ドイツ)、三菱、大晃機械の名前がある。
油水分離機では、27台のうちドイツのメーカーが、RWO10台、DVZ4台等15台(56%)を受注し、残りを日本とスウェーデンのメーカーが各6台受注している。
7)汚水処理装置
今回調査での汚水処理装置の中国への輸入シェアは表6のとおり。南京緑洲机器廠が、1980年代前半にHamworthyとのライセンス契約でSTシリーズとして汚水処理装置の生産を始め、一時は50%以上のシェアがあったが、無人操作、non-chlorine sterilization等の新しい船主要求にSTシリーズは対応できず、そのシェアは1996−1997年の70%から現在は30%以下にまで下がっている。
表6 中国に輸入されている汚水処理装置のシェア
メーカー名 |
台数 |
シェア(%) |
Hamworthy(イギリス) |
18 |
72 |
大晃機械(日本) |
4 |
16 |
Format(ドイツ) |
2 |
8 |
Facet |
1 |
4 |
合計 |
25 |
100 |
|
8)焼却炉
今日、中国市場の焼却炉は、そのほとんどが輸入あるいは、外国のライセンスのもとで国内生産された外国ブランドである。南京緑洲机器廠がノルウェーTeamtecのライセンスで生産しているOGやDGSシリーズはコンスタントに70〜80%のシェアを維持している。輸入品も主にTeamtecからであり、1996−1997年の統計では、日本のSun FlameがTeamtecとシェアを分け合っていたが、2000年の調査ではTeamtecは13台の注文をとったが、他のメーカーは2台であった。
9)防汚・防錆装置
今回調査での防汚・防錆装置の中国への輸入シェアは、表7のとおりであり、1996−1997年の統計ではACGがわずか1台、Cathelcoが3台、Wilson Waltonが4台だったことと比べると変化が激しい。
表7 中国に輸入されている防汚・防錆装置のシェア
メーカー名 |
台数 |
シェア(%) |
ACG(イタリア) |
23 |
75 |
Wilson Walton(イギリス) |
3 |
10 |
Cathelco(イギリス) |
1 |
3 |
その他 |
4 |
12 |
合計 |
31 |
100 |
|
注: |
その他のうち2台は米国製 |
出所: |
2001年5月/中国船艇 |
4.6 輸出コンテナ
中国コンテナ工業協会によると、2001年の中国製造コンテナの輸出額は1993年に韓国を抜いて世界第一位となって以来9年連続の世界一となったものの、輸出量は約18%、輸出額は約8%前年より減少した。主要企業である中国国際海運集装箱股 公司、広船国際集装箱廠等も2001年は売上額を落としたと見られる。
1982年にわずか4社、製造能力4万TEUであった中国のコンテナメーカーは、協会が成立した1993年には70社(協会加盟企業数)となり、その後も、1997年には90社、1999年は118社と増加している。
現在、中国は全世界のコンテナ製造量の80%以上を占めており、今後も、大きく伸びる中国各港のコンテナ取扱量にも支えられ当分は中国の時代が続くと思われるが、その中でインド・ベトナム等が生産拠点としてどの程度コンテナ生産量を増やしてくるか注目される。
表 1993年から2001年までの輸出量と輸出額
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1993年 |
1994年 |
1995年 |
1996年 |
1997年 |
1998年 |
1999年 |
2000年 |
2001年 |
合計 |
輸出量
(万TEU) |
8.87 |
21.78 |
40.1 |
34.94 |
33.01 |
56.97 |
63.96 |
110.7 |
91.6 |
461.93 |
輸出額
(億ドル) |
2.66 |
6.16 |
11.8 |
10.5 |
10.29 |
15.87 |
14.78 |
23.8 |
21.98 |
117.84 |
|
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