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2.5 船舶、海運企業(陸上)及び港湾の保安主任
 
<米国提案>
 船舶及び海運企業(陸上)において、船舶の保安に責任を有し、所定の訓練を受けた者を、保安主任として指名することを義務付ける。
 
【審議結果】
 本提案に反対する国はなかった。ただし、内航船の適用除外を多数の国が主張したほか、一部の国が船員の訓練・資格証明・当直基準(STCW)条約との整理の問題を提起した。また、港湾についても保安主任の指名を義務付けることが合意された。
 SOLAS条約において、保安主任の指名、保安主任の義務及び責任・訓練要件を規定することが合意され、適用対象をペンディングとしたSOLAS条約改正案が作成された。
 
2.6 船員の背景確認及び身分証
 
<米国提案>
 各国当局に船員の犯罪暦等の確認を可能とする背景確認の規定を設けるとともに、指紋等を用いた船員の身分証の義務付ける。
 
【審議結果】
 背景確認については、多くの国が国内法制上不可能とする意見を提示し、本件は海上テロ対策の検討対象から除外された。
 指紋等を用いた身分証については、我が国が国内法制上問題があると指摘を行った。本件については、ILO条約の改正で対応すべきとの意見が多数を占め、ILOに送ることとされた。なお、ILO条約改正に時間がかかりすぎる場合に備えて、ILO条約に規定する様式の証明書の保持をSOLAS条約で規定する代替案も準備することとされ、SOLAS条約の改正案もあわせて作成された。
 
2.7 コンテナ検査
 
<米国提案>
 コンテナ検査の強制化について、MSCにおいて検討を行う。
 
【審議結果】
 MSCでの検討に異議を唱える国はなかったが、流通する膨大な数のコンテナ検査の現実性を問題視する意見が多く提起され、次回MSCでこの問題を含め再検討することとされた。
 
2.8 世界関税機関(WCO)との協力
 
<米国提案>
 貨物の安全性確保強化のためにIMOとWCOの協力を推進する。
 
【審議結果】
 WCOからIMOとの協力を推進する旨表明がなされ、両機関の協力を進めることとされた。なお、具体的な協力内容は今後検討を進めることとされた。
 
2.9 保安警報装置
 
<米国提案>
 テロ発生を知らせる警報装置について、IMOの関係小委員会において今後検討を行う。
 
【審議結果】
 今後、航行安全小委員会(NAV)、通信捜索救難小委員会(COMSAR)及び設計設備小委員会(DE)で検討を行うことが合意された。
 
2.10 船舶の保安設備
 
<米国提案>
 船舶におけるCCTVによる監視装置やドアアラームなどの保安設備の必要性をMSCにおいて検討する。
 
【審議結果】
 設備に関する具体的な提案がないため、次回MSCまでに各国が提案を行い、これを受けてMSCで検討を行うこととされた。
 
2.11 船舶・貨物・乗員・旅客に関する情報交換
 
<米国提案>
 船舶、貨物、乗員及び旅客に関する情報の船舶、旗国、入港国の間での情報交換について、MSCで検討を行う。
 
【審議結果】
 船舶等に関する情報交換、とりわけ、船舶の実質的な管理者に関する情報の透明化の必要性を支持し、船舶の実質的管理者の考え方について法律委員会において検討を行い、その結果を踏まえて、次回MSCで検討を行うこととされた。
 
2.12 長期的取組み
 
<米国提案>
 IMOに保安委員会を設置し、海上テロ対策に関する長期的取組みを確保する。
 
【審議結果】
 新たな委員会の設置については、本作業部会の検討マターではないため、次回MSCで検討を行うこととされた。







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