日本財団 図書館


9−3−3. 検討結果
1)粉体の作製および粒径の影響
 文献情報と比較した結果を図9−17に示す。文献で得られている情報は、Al2O3基盤上に膜として形成させたジルコニウム酸リチウムである。前報にて述べたように、K2CO3を添加することによって、収率が向上している。今回作製したサンプルは、K2CO3添加無し品に相当するが、文献情報と比較すると、収率は大幅に低い。
 グラフには示していないが、一番高い噴霧分解法で作製したものでも10%である。
 
図9−17 文献情報との比較
 
 文献情報のX線回折結果と今回作製粉末でのX線回折結果を比較した結果を、図9−18 に示す。
 文献情報のデータはK2CO3が添加されているが、今回作製粉末は含まれていない。
 そのせいもあるが、20〜30θにかけてピーク位置がずれているようである。
 文献情報に到達していないということは、計算前提条件に達していないことになるので、収率を向上できるように、改善を要する。
 
図9−18 X線回折結果比較
 
2)コーティング品の比較
 
図9−19 コーティング品の比較
 
 ZrO2系コーティングしたものに関しては、重量減が収まった500℃近辺を0(図9−19参照)として計算し直した結果である。コーティングによる吸収率減少は1%程度となる。
 いずれにしてもコーティングに関しては、再測定の結果を見て再度検討する必要がある。
 
9−3−4. 今後の進め方
(1) 収率の高いジルコニウム酸リチウム粉末を作製すると共に、繰り返し安定性に優れた粉末の作製を目指す。

(2) コーティングの再試験結果を再度検討する。

(3) 粉体のコーティング状態をSEM等の顕微鏡観察にて確認する。

(4) 今回作製した粉末にコーティングを行い、熱重量測定(TG)を行う。

(5) 粉体をコーティング溶液中でスラリー化させる界面活性剤を選択する。

(6) スラリー化させた溶液を用い、アルミナイズをした多孔質体の表面にコーティングする。

(7) ガスクロマトグラフィ等を導入し、実機サイズでの試験を可能にする。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION