放熱側について計算すると、内部を熱伝導で伝わってくる熱量をdQ1、出て行く熱量をdQ2とすると
また、微小長さdx部分の周囲表面積はSdxであるから、この表面積から側方の媒質へ伝達で熱が移動する。よってこの関係を式で表すと次式となる。
放熱側多孔体のネット部の先端に伝導してきた熱=先端からガスに移動する熱であるから
(5)式を微分して
従って、(7)(9)式にて次式となる。
境界条件:多孔体足の隔壁付け根部であるx=0で(5)式にθaを代入すると、
(10)、(11)を解くと、
先端ネットコア部の温度は、
隔壁から放熱体に伝導する熱量は、
である。(1)式と(18)式を連結し、θaを求めると次式となるが、簡略化のため
ここで、熱入力側の足がN本、放熱側がM本とすると入力側面積がN・Ax、出力側面積がM・Aとなり、
となる。移動熱量は、
以上の式に下記数値を代入して計算する。
・高温ガス側温度 |
tg:900℃ |
・多孔質ネットから隔壁までの距離 |
σ1:0.003〜0.005m |
・多孔質材の熱伝導率(Ni系) |
λ:70〜20W/mK |
・多孔体足の断面積(0.3〜0.7mm、) |
A:0.07×10−6〜0.38×10−6m2 |
・多孔体受熱側足の断面積 |
Ax:0.07×10−6〜0.38×10−6m2 |
・1m2当りの足の本数(受熱側) |
N:45×104 |
・1m2当りの放熱側多孔体の足本数 |
M:45×104 |
・S=足の外周長さ |
S:9.4×10−4〜2.2×10−3m |
・熱伝達率 |
h:40W/m2・K |
・隔壁から放熱多孔体までの距離 |
l:0.003〜0.005m |
・低温側ガス温度 |
to:650℃ |
・多孔質体足と放熱体Ayの面積比 |
:4〜10 |
・放熱側足先端の温度 |
θ1:℃ |
・隔壁部の温度 |
θa:℃ |
以上の条件から隔壁1m2に流れる熱量を計算すると、次の事が明らかとなった。
計算条件1
高温ガス900℃、熱伝達率40w/m2・K、伝熱側足の総面積0.176m2、熱伝導率70w/m・K、高温ガス多孔体中心から隔壁までの距離0.003m、隔壁から触媒までの距離0.005m、多孔体エレメントの径0.3〜0.7mm、低温媒体の温度650℃とする。
計算結果1
1)隔壁温度は802℃となった。
2)移動する熱量は34.2kW/m2であった。
3)エレメントの径をφ0.7mm相当に増加させると、移動熱量は76.1kW/m2となった。
計算条件2
熱伝導率20W/m・K、エレメントの径0.45mmとして計算する。
計算結果2
1)隔壁温度718℃となった。
2)移動する熱量20.3kW/m2となった。
計算条件3
ニッケル材と銅を複合した材料では大きな熱伝導率を持つので、その材料の熱伝導率
200W/m・K、エレメントの径0.45mmとして計算する。
計算結果3
1)隔壁温度840℃となった。
2)移動熱量は76.5kWであった。
以上の計算により、次の事が明らかとなった。
(1) |
高温ガス側の温度は900℃以上が必要である。 |
(2) |
受熱側多孔質材の材質は熱伝導率の優れたNi材(λ=70w/m・K)が良く、エレメント部の緻密性を向上させる為、メッキ処理が望ましい。Cuメッキ処理を50μmとすると、熱伝導率は200w/m・Kとなり、移動熱量はNi材の2倍となる。(76kW/m2) |
(3) |
多孔質金属と隔壁は固体として連続している事が必要で、接合面に特殊接合層を設ける必要がある。 |
(4) |
伝熱面積は、0.2m2/m2以上必要である。 |
(5) |
放熱側の多孔質材までの距離は5mmで十分である。 |
(6) |
本研究で必要な熱移動量は、71kWで、この熱を移動させる為には上記項目を満足させ、2.5m2以上必要である。(71÷34.2÷0.8=2.5) |
(7) |
熱伝達率を向上させる為、入口側、出口側から溝を設け、溝間を抜ける方式では通路抵抗を小さくし、熱伝達率を大きくする事が出来る。(通路抵抗は入口側からの長さと出口側からの長さの和が同一なので、どこでも同じ。) |
(8) |
放熱側は熱伝導性を良くする為多孔材エレメントを緻密化させ、その表面にAl2O3コーティングし、触媒、CO2吸着材を配設するので熱伝達性が悪化する。 |
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