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2. 義務教育の教科書と指導要領の検討
2.1 教科書と学習指導要領
(1)教科書の定義と種類8)
 教科書とは、学校教育法第21条他に使用義務を定めたもので、「小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及びこれに準ずる学校において、(中略)教科の主たる教材として、教授のように供せられる児童又は生徒用図書」(教科書発行法第2条)と定められている。
 教科書の種類としては、文部科学省の検定を経た教科書(文部科学省検定済教科書)と、文部科学省が著作の名義を有する教科書(文部科学省著作教科書)の2種類がある。なお、高等学校、中等教育学校後期課程及び特殊教育諸学校等において、適当な教科書がないなど特別な場合には、第21条第1項に規定する教科用図書以外の教科用図書を使用することができる。(学校教育法第107条)
 現在、小中学校の義務教育で使用される教科書は、表1に示すとおりである。また、諸外国の教科書制度の概要も表2に紹介しておく。
 
(2)学習指導要領
 教科書は、文部科学省が定めた学習指導要領に沿って作られる。その指導要領は、戦後、学校教育が問題になるたびに改訂されてきており、現在のものは、1996年7月の中央教育審議会の答申によるものである。それは、週5日制への移行に伴う「ゆとり」の中で「特色ある教育」を展開することを掲げており、これを受けて、同年8月に文部大臣から教育課程審議会に教育課程の基準の改善についての諮問があり、教育課程の編成、授業時数、各教科等の内容を変更が答申され、1998年12月に学校教育法施行規則と学習指導要領が改訂された。そして、新学習指導要領は、小学校と中学校では2002年4月1日から全面的に、高等学校では2003年4月1日から年次進行により実施されることになった。
 小学校の教育課程は学校教育法施行規則で各教科、道徳、特別活動並びに総合的な学習の時間によって編成することなどが規定され、加えて同規則第25条において、教育課程の基準として文部科学大臣が別に公示する小学校学習指導要領によると規定される。(学習指導要領を含めて、教育課程の基準の作成は初等中等教育局教育課程課の所掌事項とされる。)中学校以上についても同様に学校教育法施行規則に「学習指導要領」が挙げられている。
 『学習指導要領』は、小学校、中学校及び高等学校の別に作成され、それぞれ、「総則」、「各教科」、「特別活動」などに分けて記述される。また、これにともなって『学習指導要領の解説』もあわせて刊行されている。
 「各教科」の中の「理科」に関していえば、小学校では第3学年以上の学年ごとに、中学校では、第1分野と第2分野の別に、また、高等学校では、理科基礎、理科総合A、理科総合B、物理I、化学I、生物I、地学I、物理II、化学II、生物II、及び地学IIごとに学習の「目標」、「内容」、「内容の取扱い」などが示される。
 なお、高等学校理科の各科目については、理科基礎、理科総合A、理科総合B、物理I、化学I、生物I及び地学Iのうちから2科目(理科基礎、理科総合A及び理科総合Bのうちから1科目以上)を必修とすることが総則に定められている。
 
表1 義務教育学校で使用される教科書〔小中学校学年別種目〕
(1)小学校用教科書
(拡大画面:50KB)
 
(2)中学校用教科書
(拡大画面:39KB)
(注)
使用学年の欄の「○」は教科書が使用される学年、「×」は使用されない学年である。なお、「/」は授業が行われない学年である。
 
(出典:文部科学省関係資料、平成14年4月)
 
表2 諸外国における教科書制度の概要
国名 教科書制度
初等教育教科書 中等教育教科書
発行・検定 発行・検定
発行者 検定 認定 発行者 検定 認定
国 民間 国 民間
Iヨーロッパ・アメリカ諸国 1.イギリス   ○            
2.ドイツ   ○ ○     ○ ○  
3.フランス   ○   ○   ○    
4.ロシア連邦 ○ ○   ○ ○ ○   ○
5.スウェーデン   ○       ○    
6.フィンランド   ○       ○    
7.ノルウェー   ○ ○     ○ ○  
8.アメリカ合衆国   ○   ○(1)   ○   ○(1)
9.カナダ   ○   ○   ○   ○
IIアジア・太平洋諸国 1.中国 ○ ○(2) ○(2)   ○ ○(2) ○(2)  
2.韓国 ○       ○(3) ○ ○  
3.タイ ○       ○(4) ○(5) ○(5)  
4.マレーシア ○       ○(6) ○ ○  
5.シンガポール ○(7) ○(8)   ○(8) ○(9) ○(10)   ○(10)
6.インドネシア ○(11) ○(12) ○(12)     ○ ○  
7.オーストラリア   ○       ○    
8.ニュージーランド ○ ○     ○ ○    
(1) 州により異なる。
(2) 1980年代の前半までは、国定教科書のみであったが、各地方、個人も教科書を作成することができるようになった。ただし、教育部の検定を受ける。
(3) 国語、社会、道徳の教科書のみ
(4) 前期中等教育の教科書及び後期中等教育の国語、国史、道徳の教科書
(5) 後期中等教育の教科書(国語、国史、道徳以外)
(6) 国語、イスラム教教育、道徳教育、歴史、アラビア語の教科書
(7) 社会科、公民・道徳及び母語(中国語、マレー語、タミール語)の教科書
(8) 社会科、公民・道徳、母語以外の教科書
(9) 社会科、シンガポール史、公民・道徳及び母語(中国語、マレー語、タミール語)の教科書
(10) 社会科、シンガポール史、公民・道徳、母語以外の教科書
(11) 主要5教科(道徳、国語、数学、理科、社会)
(12) 主要5教科以外
  (出典:文部科学省関係資料、平成14年度4月)
 
(3)教科書検定制度
1)検定申請
 教科書著作者または発行者が、学習指導要領に基づいて編修した教科書(申請用図書)を教科用図書検定規則(学校教育法第88条依拠)に基づいて検定を申請する。
2)調査
 申請された図書について、内容の(当該科目/学年)学習指導要領への準拠性、事項の扱い方(展開の仕方)の学習指導要領との整合性、題材の選択や編修上の組織の妥当性、個々の記述内容の正確性、表記・表現の適切性などが、教科用図書検定基準に照らして検討される。調査に当たるのは、教科書調査官であるが、とくに専門的な事項について必要があるときは、文部科学大臣が教科用図書検定調査審議会(後出)専門委員を任命する。
3)調査結果の審議
 教科書調査官(及び専門委員)による調査結果は、審議会委員による調査結果と合わせて教科用図書検定調査審議会で審議される。(同審議会は、文部科学省組織令第85条でその設置が定められ、別途、教科用図書検定調査審議会令及び同審議会運営規則で詳細が規定される。)
4)審議結果とその通知
 審議会での審議結果を受けて申請図書ごとの合否が決められる。また、検定意見に対応して必要な修正を施した後に再度審査することが適当と認められる場合には、合否決定を留保する旨が決められ、発行者に対してその旨と検定意見が通知される。不合格の場合には事前通知が行われ、発行者から提出される反論書に基づいた判定留保への変更がない限り、不合格と決定される。
5)修正表
 合否判定が留保となった図書について、発行者は、検定意見に対応する修正内容を修正表として提出する。
6)修正表の審議
 調査意見の場合と同様に、各修正表は教科用図書検定調査審議会で審議され、所要の修正が施されていると判断されれば、改めて合格の決定がなされる。
 
(4)教科書の発行
1)発行者は検定を経た教科書で次年度に発行しようとするものを文部科学科学大臣に届け出るとともに、その見本を作製し、都道府県教育委員会や採択権者(市町村教育委員会、国・私立学校長)に送付する。
2)採択の決定に基づいて、都道府県教育委員会が需要数を算定して文部科学大臣に報告する。文部科学省はその集計結果に基づいて、各発行者に教科書の種類と部数を指示する。
3)上記の指示を承諾した者は、教科書を発行し、各学校まで供給する義務を負う。







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