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情報誌「さぁ、言おう」 2003年3月号

 事業名 高齢者のためのボランティア普及啓発活動
 団体名 さわやか福祉財団 注目度注目度5


ありがとうを循環する 地域通貨 24
地域通貨は“遊び感覚で気軽に楽しく”
「六合ふれあい切符」
(取材・文/三輪 修)
 
 群馬県吾妻郡六合村(くにむら)は人口2011名、高齢化率29.99%(2002年10月末現在)、群馬県最北西部に位置する村である。この六合村に、さわやか福祉財団のホームページを見て立ち上げた地域通貨があるとの情報を群馬県庁からいただき、早速取材のため六合村に保健福祉課の黒岩文夫さん、六合村社会福祉協議会の山本茂さん、山口隆志さんを訪ねた。
きっかけは高齢者の交通手段の確保
 六合村で地域通貨が導入されることになったきっかけは送迎サービスの充実だ。六合村には鉄道やタクシー営業所がなく、公共交通手段としてバスが運行されてはいるものの、24集落が散在する村内ではバス停までの距離が遠いなど高齢者が利用するのに苦労する状況もあった。
 この問題の解決策の一つとして実施されているのが「自家用自動車有償運送事業・やまどり」である。これは、関東運輸局群馬陸運支局の許可を受け、高齢者や障害者を対象に、月曜から金曜日の午前9時から午後4時30分の間で行われているものだが、利用登録のための資格、利用時間などに制限があるため、かゆいところにまで手が届かないこともあった。しかし、この事業の対象とならない個々のニーズを行政で受け止めるには莫大な費用がかかる。そこで浮かび上がっできたのが、住民参加による相互扶助の形としての地域通貨だった。
さわやか福祉財団のホームページから立ち上げへ
(拡大画面:63KB)
(上) さわやか福祉財団のホームページ内にある地域通貨サイト。わかりやすいと好評だ。 http://www.sawayakazaidan.or.jp/chiikitsuka/
(下) 可愛いイラストが入った「六合ふれあい切符」 
 
 地域通貨の知識は全くないまま、昨年初頭から検討が始められた。一刻も早く多様な交通手段を確保したいといった思いから、5月を流通開始の目標とした。そして、地域通貨について調べていく中で、さわやか福祉財団のホームページを見つけ、地域通貨とは何かが良くわかったのだという。さらにホームページからダウンロードした「ふれあいゲームキット」も、地域での支え合いの仕組みを理解するのに役立ったようだ。これをきっかけに、「走りながら考えよう」をキャッチフレーズにして準備も加速した。
 地域通貨の名称は「六合ふれあい切符」。当初は送迎サービスの充実を目指したのだが、どうせやるなら「遊び感覚で気軽に楽しく、誰でも参加できるもの」にしようと、地域通貨の日的もお互いが自然に助け合いながら安心して暮らせる村の実現を日指すものに広がった。
 表現方法は、高齢者にもわかりやすくシンプルに紙券方式を採用。“ありがとうチケット”の言葉とイメージキャラクター“くにっこちゃん”のイラストが添えられた名刺サイズのものだ。参加者募集のために作成したチラシは、ホームページの文章も参考に参加者で作成して“多くのふれあいを生み出しましょう”と呼びかけるものになった。その後、24の集落へ出向いての説明会や、若い人を対象にした夜間説明会を実施した結果、昨年10月末までに村民の約1割の234名が参加している。
 「できること」「してほしいこと」を登録して作成した「六合ふれあいメニューリスト」は、趣味、娯楽、スポーツ、農作業や雪かきの手伝いと幅広いものになった。中にはゼロ歳児が「無邪気に遊べます」といったメニューもある。
 参加者は、六合村ふれあい委員会(事務局は村社会福祉協議会)で登録料1500円と引き換えに「六合ふれあい切符」5枚を受け取り、直接交渉または事務局のコーディネートによりサービスを交換。プライバシーの保護など最低限のルールを守ることや自動車保険への加入の確認を徹底して行っているほかは、細かな決まりごとは決めていない。どのくらいの時間のサービスを切符何枚と交換するかについても参加者同士が自由に決める。ちなみに、このような準備に要した期間は3か月だけだった。
地域通貨で村が変わった
 「六合ふれあい切符」の導入によって、参加者はボランティア活動に参加するという気構えや謝礼に現金を渡すといったことがなくなり、お互いに助けたり助けられたりすることへの気兼ねがなくなったそうだ。また、学校では地域の人が炭焼きなどを教える学校指導員へのお礼に「六合ふれあい切符」が使われ、気軽に引き受けてもらえるようになった。社会福祉協議会では介護保険では対応できない家の掃除などの相談があると、社協に寄せられる寄付金を「六合ふれあい切符」に替えて、ボランティアに切符で対応を依頼しているのだとか。
 これからの課題は、参加の少ない若い人にも魅力のある地域通貨にすることだ。地域通貨を始めてみて、「とにかく気軽にやってみたことが良かった。地域に困っている人、助けることができる人が10人もいれば始められるはず。まずやってみることが大切なのでは」というのが3人の感想。
 「走りながら考えよう」「遊び感覚で気軽に楽しく」「まずはやってみる」。取材の間に飛び出してきたこれらの感覚こそが地域通貨を始めるための大切なキーワードでもあるように思う。あなたも財団ホームページを覗いてみて、遊び感覚で気軽に楽しく地域通貨を始めてみませんか?
 
活動の成果とその評価について
 地域通貨を実践してみたら、1年が経過したときなど区切りの時期に、これまでの活動の成果を確認してみることは次の展開につなげていくために重要だ。
 まずは、会員数、流通量、サービスのやり取りの量といったものの変化を数値で表してみるのも、活動の成果を評価してみる一つの方法。しかし、必ずしも数値で表すことばかりが評価の方法ではない。特に相互扶助を目的とする地域通貨の場合は、信頼の上に成り立つ人間関係によってやり取りされるものであるため会員数が多ければ良いというものではないし、日常生活の中のちょっとした困り事があったときにお願いするものであれば、流通量やサービスのやり取りの量が少ないからといって必ずしも成果が上がっていないとはいえない。
 これらの数値にとらわれるよりも、むしろ、地域通貨を経験することによって自分達や地域がどのように変わったか、あるいはそうした兆しが表れつつあるのかについて振り返ってみることが大切だ。
 地域通貨を始めるにあたっては、地域のどのような課題を解決し、自分達の地域をどのような地域にしていくのかという使命(理念、ミッション)があったはず。では、実際に地域通貨を導入したことによって地域ではどんな課題が解消されたのか。参加者はそれまで気づくことがなかった自分が持つ知恵、時間、才能などを引き出すことができたのか。どのようなことに感激して、どのような人間関係が生まれたのか。これらの声を聞き取り調査やアンケートなどで集めるのも一つの方法だろう。そして、数値には表せない信頼関係がどのように育ってきているのかを知り、自分達が目指している地域の姿を参加者同士で共有することが、活動を継続していくことにつながっていく。
 ただし、地域での支え合いを生み出すのはある程度の時間がかかることである。あせらず、数字はあまり気にせずに、次の可能性につないでいく機会として活動の流れを確認し、地域のための活動としてぜひ継続していこう。







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