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情報誌「さぁ、言おう」 2003年3月号

 事業名 高齢者のためのボランティア普及啓発活動
 団体名 さわやか福祉財団 注目度注目度5


ふれあい助け合い 東西南北
さわやかインストラクターから
 
 全国でふれあい・助け合い活動についてアドバイスを行うさわやかインストラクター。そんな皆さんから活動の状況や個別の課題、心温まるふれあいエピソードなどを寄せてもらいます。
 
「信頼」と「必要」と
NPO法人 こでまりの会(山形県)
高橋 礼子
 
 「ひどい状態です」。正月の2日ヘルパーから電話が入る。事務所は休みに入っていたが、相手によっては休みなしということも希ではない。昨日まで他人の手を借りずに自分でやってこれた人なのに・・・、何年のお付き合いになるだろう。遠く離れた息子さんからの“見回り”という依頼だった。
 当会の場合、市外や県外に住む息子さん、娘さん達が、年老いた親を思っての電話が何件か寄せられる。通院や食事の心配、あるいは話し相手になってほしい等々。かつて自分も一日千秋の思いで過ごした時期があった。すぐには行ってやれないもどかしさが、何ともつらいもの。わかるだけに可能な限りの事は協力させていただいている。
 翌日、早速彼の元に走る。予想以上にお元気な様子だったが、行動のテンポがいつもとは違った。“老い”を感じた瞬間である。彼に限らず、お世話させていただいている人達に、いつかはきっとやってくる自立不能という“老い”。介護保険に切り替わった時、今までのお互いのつながりを大切に、ずっと継続することができるならばと、暮れになって、居宅サービス事業所訪問介護の指定を受けた。しかし、サービスにも限度があり、結局のところ、“ふれあい”の部分が大きい。提供者は当初、ボランティアで、しかも幾ばくかの謝礼金を受け取りながら他人様のお世話をさせていただくという全く未知の世界にかなりの不安を持っていた。が、時が経つにつれ「信頼」と「必要」に変わっていく。自分が相手の立場なら、いったい何をして欲しい? これが活動の原点だと思う。決して難しいことでも、肩に力を入れることでもなく、ごくごく自然にありのままでいい。
 無口なAさんを当会のTが担当していた。AさんにとってTは身内以上に必要な人となった。4、5年の間まるで親子の様に。最期になって、Tは初めての体験をする。誰よりもAさんから離れがたく、声を大きくして悲しみ、目を赤くはらした。ショックはまだあった。周りの冷静さと、淡々とした事の運びである。私はTの気持ちに感謝した。「ありがとう。長い間ご苦労様でした」と。
 地方にも隣は何をする人ぞが増えているように思う。雪の積もらない地方の人達には到底理解できないかもしれないが、雪が原因で隣同士のいさかいが起きる。何とかならないのか。せめて声掛けだけでも。どうして? なぜ? 尽きることはない。
 これまで利用者の方々からどれほどの教えと心をいただいたことでしょう。本当にありがたい。この仕事ならではと自負しています。いずれ自分達も同じ道を通ることになる。その時に自然に気軽に「お願い!」と言い合える仲間づくりを願っている。元気な時こそ相手への思いやりが必要に思う。誰もが必ず誰かのお世話にならないと生きていけないのですから。
 
広く浅く、活動に飛び回る毎日
社団法人長寿社会文化協会 WACとちぎ(栃木県)
船津 祥
 
 インストラクターになって丸2年、研修会には休まず参加し、全国各地で活躍している多くの仲間達との交流を通して新しいエネルギーを与えられ、毎日ボランティア活動に明け暮れして、その忙しさを生きがいとして楽しんでいます。
 私の場合、活動は広く浅くというのか、たとえば、午前中WACの中高年のいきいき社会参加プログラムの企画や参加呼びかけをし、午後はアイバンクで事務局の仕事をし、夕方からは市民活動サポートセンター主催の会合で挨拶や初参加者に趣旨や活動内容を説明したり、夜はライオンズクラブの奉仕活動のあり方で意見を述べ一日が終わるといった具合です。
 そんな中で、実は今一番集中して毎日取り組んでいるものに財団法人栃木県アイバンクでのボランティア活動があります。24時間体制で遺族や病院からの連絡を受け、眼球摘出の手配を基幹病院の医師と行ったり、葬儀では厚生労働大臣や県知事の感謝状の代読をし、また尊い献眼をしてくださった故人への感謝とアイバンク活動にご理解をいただく挨拶を行います。この12月には6人の方が献眼して下さり、12人に光と希望を与えることができました。よく「ふれあい、助け合い」と言っていますが、正にアイバンク運動は人生を全うした人のみにできる勇気ある最大の人助けであると信じ、これからも目の不自由な人のために役立ちたいと願っています。
 もう一つの大きな柱は3年前からかかわっている宇都宮市民活動サポートセンターの仕事です。昨年10月、行政から業務の委託を受け民営化され、その代表として責任を感じています。現在290団体が登録していて、近々交流会を開き、サポートセンターへの要望や新しい仲間づくりのきっかけとしたり、事業の方向性を探り出すことにしています。「地域通貨を学ぶ」第2回目の研修会もさわやか福祉財団の協力で実施が決まっていますし、「近隣たすけあい」の研修会も市民団体と自治会役員を対象に行うことになっています。
 最近では他市からも地域通貨についての問い合わせが多く、インストラクターとして更なる学習の必要性を感じています。昨年古希を迎えましたが、隣人愛と奉仕の精神でこれからも皆さんとともに頑張り続けるつもりでおりますのでご支援ご協力をお願いします。
 
山の中で“いのち”が光る
くらしのたすけあい さわやか郡上(岐阜県)
榎本 豊
 
 「私、見てて開いた口がしばらくそのまんまやって。85歳なんて考えられんことよ。だあって、川の中の石ころをとんとんと飛びこして、勢いつけて急な山肌へかけ登って、とってもまねできんがね。すごいんやで」―。そうなんです。若い時の映像が目の前に映って、自分の齢を忘れてしまわれたのです。筋肉も細胞もぜんぶ30代に戻ったかのように。
 「へえ、でも家では病院の介助や、買い物のお世話、足腰のシップ薬や痛みの悩みを聞かされているんよ、おばあさんったら」
 奥山の林道の中で車を止めて昼ごはんです。鳥のさえずりや新緑の空気のおいしさ、川のせせらぎを聞きながら、ぜんまい採りの楽しい話が続きます。女学校時代の友人を誘って娘時代にいつも来ていた自分の場所へ。おひつに五目ご飯。昨夜煮つけした豆やこんにゃくのおかず。山菜採りの依頼にお手伝いする会員2名と運転手の私、5名の笑いがこだまする初夏の一日のひとこまです。腰ひごのせんまいが米袋にいっぱいになるほどよく採れるんです。
 その日の夜、遅くまでかかって食べ用と干し用により分けて庭で干すうちに、前の道を通る人が話しかけるのです。心の中に大切にしまっておきたい秘密があるようです。「私しか採ることのできない一等品のぜんまいがあるんだから・・・」。出発する時はこっそりと人知れず、帰りはさっさっと荷を片づけ、静かそのもの。いつもと同じ。多くの会員の支えの中で自立され、いくつになっても自分流の生き方を通していきたい。周りの人達には、助けてと言えないけれど、でも支えてほしい。おいしく煮しめたぜんまいを近所の人達におすそ分け。太くておいしい味をなんとも誇らしげに話されるのでした。
 何百年と同じ土地で代々変わることなく住み続ける山村の暮らし。みんなで助け合いながらもかつての不自由な生活も乗り切ることができました。本家と分家のしがらみ。親戚との付き合いなど目には見えないネットワークがずうっと張りめぐらされてきているのです。周りの人達に頼めること、できないことを選り分けしながら、自分らしさを主張したい、そのお手伝い役として決してハデではないけれど、スキ間を埋めていく小さな歯車として活動を続けております。日なたの福祉と日かげの部分の福祉。どちらも必要です。心と心の結び付きがほのぼのとしたドラマを生んでいます。底深くしみ入る生きていくことの大変さを身に感じながら―。







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