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情報誌「さぁ、言おう」 2003年3月号

 事業名 高齢者のためのボランティア普及啓発活動
 団体名 さわやか福祉財団 注目度注目度5


インタビュー 子育て支援はお母さんを支えること
恵泉女学園大学教授 大日向 雅美さんに聞く
 
日本の家族や家庭の状況は年々悪化しているといわれますが、この点についてどのようにお考えになりますか?
 確かにそうですね。現象面を見れば、子どもの側にはイジメやひきこもり、犯罪の低年齢化など子どもが育ちあぐねている状況がありますし、親の側にはさまざまなストレスや不安があり、それが高じて虐待に至るケースも増えています。こういう状況を目の当たりにすると、人は家庭に問題があるといって親の責任を追及しがちですが、最大の原因は子育てを母親一人が担っていることにあるのです。父親は育児にかかわらない、というよりかかわれない労働環境の中にいる。それに加えて、地域の子育て力が低下しています。昔は子どもが悪いことをすれば叱ってくれたり、いつも声をかけて可愛いがってくれるおじいちゃんやおばあちゃんが地域にいたものですが、そういう交流が特に都市部ではほとんどなくなりましたね。
母親に一人の時間を
そこで、母親への子育て支援が必要になってくるわけですね。
 はい。支援の第一歩は孤独からの解放です。一日中誰とも口をきかず「脳から言語が消えていくみたい」と言った若いお母さんがいましたが、話を聞いてもらえる相手をつくること、語り合える仲間をつくること、これが「集いのひろば」といわれるふれあい交流支援です。それと専門家や子育て経験者らによる相談支援。初めての子育ては戸惑うことばかりで、不安がいっぱいのお母さんに、一つ一つ不安のタネを取り除いてあげる。これは大事なことです。
 そして預かり支援。大部分のお母さんはホッとする暇もない、美容院に行く時間もない毎日の生活で、たまには一人になりたいと強く思っています。働いているお母さんに保育支援があるように、家にいるお母さんにも一時保育が必要です。これは決して母親のわがままではありません。少しの時間子どもと離れることでリフレッシユして、また子どもを愛おしく思えるようになるのです。
 それと、これは母親に限らず父親もですが、親として育つ支援も必要ですね。生まれたばかりの子どもが未熟なように、親だって最初は未熟。初めて子どもをもつ親への学習支援が、これまではあまりなされていなかったように思います。
 
これだけの支援体制があれば、もう子育ては大丈夫、という気がしてきますが、実際にはどうなんでしょうか。
 こんなに支援すると親を怠けさせるんじゃないかという声もありますね。そう思わせる現象もあります。たとえば、各地で子育てサロンが開かれていますが、母親の中には今日はここのサロン、明日はあそこのサロンと毎日行き、サロンのない日は保育所などの一時保育に預ける人もいます。子どもと2人きりで家にいるのがイヤだからという理由からなんですが、これでは親子関係が育たない。子どもとゆったり向き合って、何て可愛いのだろうと思いながら一緒に過ごす育児の楽しみを知らない親になってしまうんです。
 初めから立派な親でなくても当たり前です。でも、子どもを愛そうと努力し、子どもの心に寄り添う工夫を惜しんではならないでしょう。子育てを支援する側に、親を育てていく専門性とその具体的なプログラムが必要かもしれません。
夫の育児参加こそ
相変わらず育児は母親がするものという意識が根強いですね。
 そうですね。夫は会社で夜遅くまで働き、妻は家にいて一人で家事と育児をこなさなければならない家庭が少なくありませんね。働く女性が増えたとはいわれていますが、0〜3歳ぐらいまでの子どもを持つ女性の7割弱は専業主婦ですから、夫は仕事、妻は家で家事と育児という状況はあまり変わっていません。
 30年前に子育て中の母親たちに、インタビューで全国調査を行いましたが、「子どもは可愛いけど、育児はつらい」とか「みんないいお母さんなのに、私だけが鬼のような母親なの」と皆が訴えるのです。当時は女性には生まれながらにして母性が備わっていて、子どもを産めばいいお母さんになるという考え方が一般的でした。母親白身もそう信じていて、育児を辛く思う自分が異常だと自分で自分を苦しめていました。
 
本当の意味で子育て中のお母さんを支えるにはどうしたらよいのでしょうか。
 母親一人が育児に専念する子育てのあり方には問題が多いことを人々がよく認識して、皆で子どもの成長を見守ろうという意識変革が何よりも大事でしょう。夫が育児にもっと参加することができるよう職場環境を変えていくことも大事です。男性が育児や介護に関わることは、男性にとっても企業や職場にとってもプラスになるのだということに早くみんなが気づいて、男性が家庭で家族と過ごす時間をもっと増やしたいですね。そのためには、一方で女性がもっと働ける環境の整備も欠かせないでしょう。







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