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地域の中で子どもの預かり合い
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さっぽろ子育てサポートセンターの仕組み
 
 仕事を持つ母親にも専業主婦の母親にも、急な用事ができて子どもを一時預かってほしいというときはある。そんな時に味方になってくれるのが、市町村などがつくるファミリー・サポート・センターだ。援助を受けたい人(依頼会員、または利用会員)と援助を提供できる人(提供会員)が会員組織をつくり、地域の中で子育てを支援する相互援助活動である。援助を受けることと提供することの両方会員になることもできる。提供会員は登録後、センターが実施する研修を受講する。
 当初は共働き家庭の仕事と育児の両立のために旧労働省の補助事業としてスタートしたが、現在は専業主婦家庭や自営業家庭でも利用できるようになった。札幌市の「さっぽろ子育てサポートセンター」、横浜市の「横浜子育てサポートシステム」、川崎市の「ふれあい子育てサポート事業」などもファミリー・サポート・センターと同様の取り組みである。
 サービスの主な内容は、
◆保育施設までの送迎や保育施段の時間外の子どもの預かり
◆放課後や学童保育終了後の子どもの預かり
◆子どもが軽い病気のときの預かり
などで、子どもの預かりは原則として提供会員の自宅で行う。
 サービス提供時間は、市町村によって異なるが午前7時〜午後7時が一般的。子育て家庭へのサポートに積極的な札幌市は午前6時〜午後10時で、日曜・祝日も利用できる。料金は1時間700円〜800円。これも地域によって若干差がある。
 サポートセンターの仕組みは前頁図の通り。名称は違っていても仕組みはどこも同じである。さっぽろ子育てサポートセンターでは、提供会員、依頼会員、両方会員の総数が1000人を超え、1か月当たり利用件数は少ない月で130件前後、多い月では200件を超える。利用した理由で最も多かったのは、幼稚園や保育園の迎えと帰宅後の預かり。次いで、保護者の短時間あるいは臨時的な就労の際の預かり。3番目が親のリフレッシュとなっており、「美容院に行きたいとか、たまにはゆっくり買い物をしたいというときも利用してください」とチラシは呼びかけている。
 また、「手をつなご」のようにサポートセンター並みの料金で一時保育や保育施設への送迎などを行っているNPO法人も全国には相当数ある。子育て中の母親がストレスをためず余裕を持ってこそ、子どもをかわいいと思い、やさしい気持ちで接することができる。
 家庭の外に目を向ければ、子育てをサポートするたくさんの手が差し伸べられている。子どもは母親だけが育てるのではなく、父親の育児参加はもちろん、地域のたくさんの手に支えられて育つことを実感した取材だった。
 子どもの育ちをみんなが見守り喜び合える地域社会づくりは、まず一人ひとりが身近な子育て家庭に関心を持つことから始まる。そうすれば、育児に疲れぎみの母親に「サポーターはたくさんいるよ」とそっと教えてあげることができるのだから。







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