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ふれあい助け合い 東西南北
さわやかインストラクターから
 
 全国でふれあい・助け合い活動についてアドバイスを行うさわやかインストラクター。そんな皆さんから活動の状況や個別の課題、心温まるふれあいエピソードなどを寄せてもらいます。
 
よき隣人として協力し合える共生社会を
WACゆずり葉(兵庫県)
桑山 信子
 
 私にとって、この10年余り、NPO系の運動性を持った活動に事務局メンバーとして参加し、仲間たちとの学びを通して、「よき事を思い、よき事を成すというだけでなく、成果を上げて社会変化をもたらすべき」というドラッカーの言葉の意味をより深く意識させられるものとなりました。
 市民事業という活動形態に、足を踏み入れるきっかけとなった前任団体は、大阪市内を中心に、専門性を持った主婦の社会参加という形の時間預託を取り入れた有償ボランティアという色合いが強くありました。その後自らの活動拠点を地元に移し、WACの地域活動ポイントとして、WACゆずり葉を組織し、ヘルパー研修等を受託運営する中で、必要に迫られ、介護保険事業に参入するにあたり、阪神間のWACの仲間と連携し、NPO法人ひょうごWACを設立し、尼崎事業所を併設しました。
 運営体制を具体化していく過程で、組織はなるべく小規模にし、顔の見える関係を大切に、なるべく地域の他の組織と協力関係を結び、組織ごとの特性を生かし合っていけるようにと考えています。(WACゆずり葉 会員20名 尼崎事業所 スタッフ10名 上期売上363万円)
 地域の中では、市民が意識をもった様々な活動を展開し始めています。何が何でも我が活動が一番というのでなく、移送サービスはNALC(ナルク)さんと、デイの活動プログラムは地域の趣味のグループの助けを借りて・・・と、多くの方々からお力をいただき、また私どもの活動を必要としてくださる方のところへはできるだけ出かけていけるようにと心がけています。
 つい先日は、WACの3世代交流型子育て支援のプログラムを地域子ども会と手芸サークルと連携し実施しました。今年は、町会と協力して、閉じこもり予防のミニデイを実施します。私共の活動を遠巻きに見ておられた地域の方々が、理解協力をしてくださるようになりました。
 地域社会の中で、小さくなった家族の単位から個々の生活をみるのでなく、ルールとマナーを共有し、お互いがよき隣人として、協力し合える共生社会の実現に向け、地域ファミリーを提案し、社会に意識変化をもたらす存在となりたいものです。
 
パソコンを心の宝物に
NPO法人 高槻まごころ(大阪府)
芦谷原 外美子
 
 「まごころさんも大きくなったネ」と昨年の夏、移転したビルに来られた会員、知り合いボランティア仲間、利用者さんによく言われます。私はいつもしていることは「何も変われへん」、困っていたらまずできることをする。ただ、手を貸すか、情報を貸すか、どこにつなげたらよいのかと少々知恵がついただけです。
 ボランティアから介護保険事業に参入しましたものの、ボランティアの「助け合い」部分が介護保険に横すべりしてしまったといった具合で、本来事業の存在価値について、介護保険の中でさまよった時期もありました。
 現在は街かどデイハウス事業にパソコン教室を開き、家から出にくかった壮年の方々に少しずつ参加していただいております。老後、動けなくなっても、寂しくない生活にはメールは欠かせないことや、年賀状・カレンダー等々、メニューを増やして参りました。朝夕メールを出し合い、街かどデイハウスでお茶を飲みながら語り合い、パソコンを教えてもらいます。その先生方も高齢者のボランティアですので話が弾みます。その姿を見ながら少しでも多くの方々に、お元気な時に足を運んでメールの友人と知り合い、親睦を深めておいてほしいと思うのです。
 よくパソコンを持っていないからと言われる方がおられるので、地元の企業より中古パソコンをいただき、「何とか家庭にレンタルしますよ」と言いますと、それならと乗られますが、おもしろくなってきたらいつの間にかノートパソコンを買われ、以前の話はどこへやらといった具合です。今の高齢者の方はお金持ちなんですネ。企業からいただいたパソコンは、NPO法人や任意団体・デイケアなどにプレゼントして生かしております。
 高齢者にとってパソコンは、怖いもの、難しいものではなく心の友人をつくってくれるものです。現在、若者の中で大流行するのも、個人が「孤独」の中でひと言、ひと言に心を開き、なぐさめ・喜び・悲しみをかみしめているということを思うときに、夢ふくらむ事業を大きくしていきたいと思うのです。
 15年度は、デイサービスにパソコンをリハビリに導入予定です。パソコンがただの箱ではなく、心の宝物になりますよう、大きく大きく夢ふくらませていきたいです。
 
大垣市の取り組み
JAにしみの 居宅介護支援ステーション(岐阜県)
竹之内 卑呂弥
 
 1995年に、今は亡きマザーテレサ様にお会いでき「あなたもシスターになりなさい」、その言葉が私の生涯でこの仕事に携わる心の基盤となりました。
 帰国後早々に震災。地域のお母さん方と「マザーの会」を設立し、いろいろな活動を皆様とともに進めてきました。さわやか福祉財団での研修会、心同じくする全国の方々からの運営方法や困難事例の解決策など学ばせていただき、今日に至っており感謝でいっぱいです。その後、介護保険での訪問介護事業を展開、私も隣の大垣市へ事務所を移転することになり、介護支援専門員として日々業務にあたっておりますが、この大垣市での取り組みが大変すばらしいので、その一部ですが皆様にご紹介したいと思います。
(1)
市内事業所に所属するケアマネジャー等の資質の向上、福祉情報の共有化を図ることを目的に「大垣市居宅介護支援事業者連絡会」があります。年6回の定例会の内容も現場対応に則し、「通所介護・通所リハビリ空き待ち情報(人)」が毎月送られ、サービス利用施設状況がわかり、利用者との調整時間の短縮に役立っています。
(2)
市介護保険課から介護保険等最新情報がFAXで各事業所に送られ、事業所にかかわる者が情報をいち早く知り、共有の情報として現場対応が適切に行われ勉強会の指導書にもなります。また、介護認定審査会では、訪問調査員が同席。メリット・デメリットはありますが、審査員の目としての役割を重視して、実際調査した訪問調査員が審査員からの質問に答えることにより、イメージを確定させるのに役立っています。訪問調査員としての質の向上にもつながります。
(3)
市高齢福祉課では、一昨年の4月より65歳以上の一人暮らし及び高齢者のみの世帯で心身の障害、疾病等により調理をするのが困難な方に対し食事を宅配。自立支援の促進を図り、高齢者食の献立・調理、配送から安否確認等のサービス内容で、1月1日を除く364日の1日2食(昼・夕)を限度とし、1食300円の利用者負担で行われています。
 食べるという行為は、人が生きていく上で大切な一つです。マザーの会立ち上げに際しても100食は作れる厨房を持ちながら、行政とのかかわりがないと低料金で維持・継続していくことは困難です。地域住民・ボランティア組織・各事業所等、目的を同じくするものが行政と共にその地域で繁栄し、より良い暮らしができますよう、情報の共有と公開により連携が保てることがこれからの超高齢社会を暮らしていく我々一人ひとりの課題であると思います。私も微力ながら地域の皆様のお役に立てる一人でありたいと思います。







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