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地域の助け合いの輪を広げる仕掛けも考えていきたい
 
 そして介護保険施行から1年9か月、昨年1月にはさらに支援体制の充実を図る施設を開設。それが、デイサービス施設「花梨の森」である。
 「もともとは事務所として使おうと思い古い民家を借りたんですが、“痴呆の母を少しでも預かってくれるところがあればいいのに・・・”という知人の嘆きを聞いて、それならば、とすぐに方向転換しちゃいました(笑)。改修費ですか?200万円以上かかりましたが、訪問介護で得た利益などを活用して、何とか用意できたんですよ。現在は、家庭的な雰囲気を大切にするために定員10人の小規模型とし、症状の重い人はほとんどマンツーマンで対応しています」
 また、サービスの提供時間は午前10時から午後4時までだが、それ以降は宅老所「かりんの森」として、延長預かりや宿泊などにも応じているとのこと。
 「平日の日中をここで過ごしてもらい、週に1回程度泊まっていただく・・・。そうすれば介護するほうも、頑張っていけるんじゃないでしょうか。とにかく、来るほうも楽しい、家族も安心できてうれしい、そんな場にしていきたいんです」
 在宅で介護する家族を支え、最後まで住み慣れた地域で安心して暮らしていくためには、車の両輪のように枠内・枠外両方のサービスの充実が欠かせないが、そうした連携の仕組みを設立以来わずか3年余りで着実に構築してきたノア。組織としても、1、2級ヘルパー40名に加えて看護師、介護福祉士を擁すほか、社会保険労務士や公認会計士に依頼して、ヘルパーの待遇整備や法人経営管理などにも力を入れているという。
 「人材を育てつつ、無理なく続けられて、雇用も生み出していければ。うちのやり方がベストとは言いませんが、こういうNPOの展開の仕方もあるということを知ってもらえればと思います」
 今後は地域通貨などの仕掛けも含めて、住民の自発性を育て、地域の助け合いの輪を広げていきたいとの抱負を語る澤出さん。ノアの挑戦はまだまだ止まりそうにない。
 
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 北海道札幌市厚別区青葉町に本拠地を置く「ホームヘルパーノア」は、高齢者が地域で豊かな自立生活を維持することができるよう、総合的な地域福祉、在宅福祉のケアシステムを確立し、ヘルパー派遣などの福祉サービスを提供し、介護家族の負担軽減に寄与することを目的として設立されたNPO法人。事業内容は公的事業と自主事業に分かれ、前者では介護保険における訪問介護事業、通所介護事業、居宅介護支援事業を、後者では有償ボランティア、移送サービス、宅老所などを行っている。会員制だが入会金・年会費は無料。サービスの利用料は1時間900円。活動に対する謝礼金は同700円(200円は事務経費)。(→連絡先は最終頁)
 
1999年
5月
「ホームヘルパーノア」設立。有償ボランティア「オリーブ」を開始
 
8月
NPO法人設立のための準備を開始
2000年
2月
NPO法人格を取得
 
4月
介護保険の訪問介護事業所、居宅介護支援事業所となる
2001年
1月
無料移送サービスを開始
2002年
1月
介護保険の通所介護事業を開始。デイサービス施設「花梨の森」、宅老所「かりんの森」を開設







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