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投稿 同姓か別姓か、それぞれの意見
 投稿には結婚に伴う改姓の不自由さや煩わしさを綴った女性からの体験談齢が多く寄せられた。また、娘の結婚を通して夫婦別姓を考えるようになったという親世代の体験談もあった。
 
●私は2度結婚しました。そのたびに不動産の名義変更、印計画、出資し、発注した物事についても夫の名義で請求書や領収書が作られます。夫婦同姓の妻という立場は人格権がないのが実情です。
(鹿児島県・55歳女)
●初婚の時は何の疑問も持たず夫の姓にしたが、離婚後、自分と子どもの姓を実家の姓にした(当時はそうする法律だった)。その後再婚したい相手もいたが、子どもの姓と別々になることに抵抗があり踏み切れなかった。現在、娘が出産後に離婚し、子どもを引き取って母子家庭になったが、国家免許の姓の書き換えに非常に煩わせられた。このような点からも夫婦別姓は望む人には必要だと思う。
(富山県・54歳女)
●再婚する時、法整備がなく籍を入れるのに悩んだ。実際は籍を入れたが、職場では旧姓を通称名として使い、名刺もそのまま使用している。ただし、仕事上の問題で姓を使い分けているところもあり、いつも姓を抜こうかと考えている。娘2人も結婚して姓を変えたが、正看護婦の資格許可証や公的資格の改姓、生命保険の改姓、受取人の変更は、謄本や改正後の運転免許証か健康保険証の写しが必要で、時間もかかり厄介だ。
(千葉県・55歳女)
●娘夫婦が教師をしている。娘の夫が亡くなり、再婚した時にまた姓が変わった。学校の子どもたちにも良い影響はない。共働きの時代、結婚に関係なく別姓でよいのではないだろうか。
(埼玉県・75歳男)
●娘2人なので自分の姓が消えることを覚悟していたが、結婚の決まった長女から夫婦別姓にする旨の話があり(現在「事実婚」)、親のことを心配してそう決めたものと彼らの配慮を喜んだが、準公務員で研究職の2人は、ただ自分の研究論文に継続性を持たせるためにそういう選択をしたらしい。それ以降、夫婦別姓の行方を気にしているが、反対論の理屈の時代がかった内容にびっくり。
(神奈川県・62歳男)
 若い世代からは、夫婦同姓に絡む「家」意識を厳しく指摘する声もあった。
 
●恋愛して互いの合意で結婚したのだし、親とは別居なのに、「○○家に入ったんだから・・・」と夫や夫の家族から何かと言われ続けてきた。封建的な時代を今後も続けていくのはおかしい。
(埼玉県・30代女)
●結婚して10年になるが、結婚という中身は昭和初期の頃と同じなのではないかと感じます。○○家の嫁、家のしきたり、親の絶対的権威・・・、夫婦が対等なパートナーであるという感じではありません。
(埼玉県・39歳女)
●共に一人っ子だったが、「長男」の嫁として旧姓を捨てるのは当然といわれた。「家制度」を守るというのが、なぜ相手の「家」をつぶすことには平然としていられるのだろう。
(和歌山県・25歳女)
 
 こうした意見に対立する反対論の主な理由は、アンケート結果でも高いポイントを示した「夫婦・家族の一体感を損なう」というものだ。
 
●別姓では姓を持つそもそもの意味がないのではないか。同じ家族で別姓を名乗ったら、家族の単位を表さず無意味だ。別姓を唱える人の理由の多くは、女性が不利、昔の家制度の名残等を挙げる、それは夫婦別姓の制度の問題ではなく、我々の意識の問題に過ぎない。
(埼玉県・43歳男)
●同一の姓であるから夫婦であり、子どもに対しても安心感を与える。夫婦別姓とすると夫婦になった感じが薄く、社会的にも認められにくい感じがする。
(秋田県・75歳男)
●現在でも家族の崩壊が高まり危惧されているのに、別姓になればますます激しくなる。今、社会では助け合いが求められている。その基本は家族が同姓で相和し、絆を大切にすることである。
(東京都・72歳男)
●キャリアウーマンとして活躍している方は別姓を望むようだが、それで夫婦の絆を保つことができるかどうか。離婚しても何ら姓に関係がないと、すぐ離婚するのではないか。
(千葉県・62歳女)
●我が国の良い意味での家族制度を否定しかねない。核家族化がさらに促進され、親子関係が今以上に希薄になってしまう。
(長野県・73歳男)
 
 結婚後も働く女性が増え、職業生活を継続させる上で結婚前の姓をそのまま使いたいという主張に対しては、「通称使用」を勧める意見があった。
 
●職場で必要に応じて通称や旧姓を使っているケースは以前からあったと思うが、それだけではいけないのだろうか。現代は家族が崩壊し、地域が軽視され、「個」が中心に考えられる傾向が強いが、なぜ夫婦同姓なのかを日本の文化・民族・歴史から考えてみることが大切だ。
(東京都・40歳男)
●戸籍上同姓であれば、現在でも社会通念として旧姓を使用できている。別姓にして子どもたちが夫の姓や妻の姓と別々になるのは良いことではないと思う。
(山口県・68歳女)
望む人には認めよう
 一方、今回の投稿で多かったのは「望む人には認めよう」という意見で、男女からそれぞれに届いた。夫婦が別々の姓を名乗るメリットに言及したものもあった。
 
●夫婦別姓について様々な意見があるが、いずれも一応の理由はあることなので、各自が利益、不利益を勘案して個別に同姓、別姓を選択すればよい。
(東京都・39歳男)
●改姓することで利益が著しく損なわれるという女性が多いのであれば、夫婦の合意によって選択できるような制度になるのが一番良いのでは。
(千葉県・63歳男)
●別姓の希望が多くあるようなら、それに応えられるように各方面の整備を進め、実現に向けて準備すべきだと思う。自分の将来に向けて個人が判断し選択するのであるから問題はないのではないか。子どもを持たない夫婦にとってはむしろ自然かもしれない。
(北海道・61歳女)
●同姓、別姓をそれぞれが選べるのだから良いと思う。同姓を強要されている現在のほうが変。むしろ個々人の自立を助けると思う。
(愛知県・53歳女)
●あくまでも選択の自由を認めるということ。姓は違っても夫婦、親子の愛情の絆は何ら変わらないはずだ。
(京都府・64歳女)
●長男、長女、一人っ子が多い現代、結婚によりどちらかの姓が途絶えることを考えると、別姓であれば問題も多少軽くなり良いと思う。
(東京都・50歳女)
●少子化がさらに進むと夫婦別姓は必要になると思う。娘3人なので、昔の考え方として自分の姓を残してほしいと考える。
(長野県・55歳男)







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