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情報誌「さぁ、言おう」 2002年10月号

 事業名 高齢者のためのボランティア普及啓発活動
 団体名 さわやか福祉財団 注目度注目度5


近隣助け合いを広めよう
(拡大画面:106KB)
 
近隣に自然流の助け合いを
さわやか福祉財団 組識づくり支援グループリーダー 木原 勇
 
「近隣助け合いって何?」「どんなふうに考えればいいのか?」そんな質間が時々届いています。
 さわやか福祉財団では、全国津々浦々に温かいふれあい社会をつくろうと様々な働きかけを行っています。その大きな柱がふれあいボランティア活動団体の設立推進ですが、もう一つ、団体の組識的活動によらない、近隣同士のごく自然な形の定まらない助け合いの普及も併せて重要だと考えています。
 お互いの顔が見える関係であったり、生活の内情が分かり合っている近隣の住民同士が、お互いの心を大切にしながら、日常生活の営みの中で『自然流』に身の回りのお世話や家事・介護・食事作りなど、生活に必要なことをお互いに支え合い、助け合うこと、これがいわば「近隣助け合い」の理想です。
 各地域での住民同士の助け合いをよく探ってみると、双方向の助け合いになっています。つまり、近隣住民の助け合いの基本も、やはり「相互扶助」なのです。
 たとえば、助けたり、助けられたりの関係は、相手からもらったもの、貸してもらったものがうれしかったので、お返しをしたいなど、行ったり来たりの関係になっています。
 組織づくり支援グループでは、近隣助け合い活動についても、事例検証などを通じてその普及促進に努めています。今注目の「地域通貨」もいわば近隣助け合いを広めるための貴重なツールといえるでしょう。そこで今号では、以前本誌にも連載をいただいて好評だった木原孝久さんに、近隣助け合いの意味について寄稿いただきました。
 皆さんも、ぜひご自分の地域の回りで、身近な助け合いを探してみませんか?
 
寄稿
「近隣育て」は地域づくり
誰もがお互いさまの助け合い
わかるふくしネットワーク主宰 木原 孝久
 
 我が国に新たにNPOという発想が導入されて、何が変わってきたかというと、いわゆる事業家肌の人が活躍する世界が無限に広がったことではないでしょうか。今までは、「ボランティア」という言葉が幅を利かせていて、一定以上の活動レベルに向かわせない圧力がかかっていたのです。無償の奉仕とか手作りでといったキーワードが、活動者がそれ以上活動を発展・拡大させるのを阻んできたのです。
 しかしNPOとなれば、そんな縛りはほとんどありません。ある程度の収益事業に踏み込んでも、誰からも文句を言われないし、その他「ボランティア」にまつわるいろいろな縛りからも自由になれます。食事サービスやデイサービス、家事援助などの「事業」を立ち上げ、スタッフを何人も雇い入れ、彼らへの月給を確保するために、金策に走り回るリーダーたちを見ていると、大変だとは思うのですが、さぞかし充実した日々になっているだろうと、半分うらやましくもなります。
 その事業家的なセンスを生かすこと自体は問題はないのですが、福祉という営みは、ただそれだけではないはずです。たとえば、福祉サービスの受給者は、サービスを受けていれば幸せかというと、必ずしもそうではありません。ただ一方的に相手から善意をいただくというのは、たとえお金である程度は相殺されていても、あまり気持ちのよいものではありません。必ず「私も何かお返しができないか」、あるいは「何か私にもできることはないだろうか」と考えるのが普通です。そこで、対象者にサービスを提供するかたわらで、その対象者にも、誰か他の人のためにできることを掘り起こし、それができるように仕向けていくというしごとがあってもいいのです。
 サービスをいつまでも受給するのでなく、仲間と協同して自分たちでその問題解決に動き出すというパターンもよく見かけます。できれば自分たちで解決したいというのが、住民の普遍的な願いといっていいでしょう。ならば、できる限り早く、対象者同士で助け合って解決していけるように導いていくというしごともあり得るのです。当事者グループをつくっていくことから支援してもいいでしょう。
 対象者の近隣の人たちの支えで解決していけるよう、まさに「近隣育て」をしていくのも、大事なしごとなのです。ヘルパーの中には、対象者宅を訪問するとき、必ずその対象者の近隣の家を訪れて、協力をお願いするということを、日常的にやっている人がいます。
 ある人はこういう行為を「地域づくり」と称していました。特定の対象者にサービスを提供するだけでなく、その対象者の在住する地域・近隣で困ったら助け合えるように導いていくこともやらねばならない、つまり「助け合える地域をつくっていく」という役割があるのだというのです。
 また、対象者宅を訪問し、サービスを提供していれば必ず、その対象者から「次なるニーズ」を提示されるでしょう。それにもきちんと応じる体制をつくろうとすれば、新たな事業が必要になるはずだし、またそれを自分たちの事業にするだけでなく、その近隣の人たちにも担ってもらわねばとなることも、十分に考えられます。いずれにしても、特定の事業に絞って、その事業をただ安定したものにすることにのみエネルギーを消費しようとするのでは、地域活動家としてはあまりほめられたものではないのです。
 自分たちは活動者、つまり福祉の対象者にサービスを提供する側だと思うのはいいとして、もう一方で、自身何らかの生活課題を抱えた当事者でもある、だからその面では誰かからサービスをいただくこともあり得るのだという認識を持てるかどうかも大事なポイントになります。皆さんのサービスの対象者が、「自分はサービスの受給者である一方で、ある面では活動者でもある」と思っているのと、同じことです。
 寝たきり老人であろうが、NPOのリーダーであろうが、それぞれが、(担い手と受け手という)2つの顔を持っていると自覚すること、そこから地域での本当の「助け合い」が始まるのではないでしょうか。「両刀遣いで福祉は免許皆伝」と私は言っています。NPOのリーダーが寝たきり老人から何らかのサービスを受けている状態を想像してください。これが福祉のロマンだと、私は思っています。







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