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喜・涙・笑ふれあい活動奮戦記
生きがいづくりに力をいれることで助け合いの裾野を広げていきたい
河内長野たすけあい(大阪府)
 
河内長野たすけあい
 「この辺りは新興住宅地ということもあって、隣近所の付き合いがあまりない地域。だから困り事があっても、SOSが出しにくいんでしょうね。でも私たちのサービスが入ることで、近隣の助け合いが新たに生まれるケースもあるんです。たとえば、依頼を受けて一人暮らしのお年寄りのところにゴミ出しのお手伝いにうかがうと、“○○さんがそんなに困ってるなんて知らなかった。それなら、ゴミ出しぐらいはうちのほうでお手伝いしますよ”といった具合です。誰もが心の中に持っているだろう他者を思いやる気持ちや助け合いの精神。それを引き出すきっかけにこの活動が役立てるなら、これほどうれしいことはありません。こうした小さな善意の積み重ねこそが、ふれあい社会の構築には欠かせないものだと思いますから」
 
 活動に対する想いをこんなエピソードを交えて話してくれたのは、「河内長野たすけあい」の代表を務める中田寿子さん。
 
義母の介護経験から、助け合いの必要性を痛感
 中田さんが福祉に関心を持ったのは、5年間にわたる義母の介護がきっかけだという。
 「骨折や手術で入退院を繰り返すうちに痴呆症状も表れてきた義母をどう介護したらいいのかわからず、市の介護教室に通うようになったんです。ここに来ている人たちの多くは程度の大小はあれ、介護の悩みや不安を抱えている人たちばかり。核家族化の進む昨今、家族間で支え合おうにも思うにまかせない状態にあるんです。そんな中で“こんなときに家族だけではなく、近隣の人たちが助け合って、少しでも支え合えたらいいよね”という話が持ち上がり、有志で勉強会を始めた。それが最初でした」
 これが1993年9月のこと。そして勉強の一環として、さわやか福祉財団主催の研修会にも参加する中で住民参加型の在宅福祉サービス団体の存在を知り、「こんな組織が身近にあれば」と、翌年4月に「河内長野たすけあい」を設立。義母の介護を終えた中田さんが代表となった。
 「福祉にしても、介護にしてもズブの素人集団でしたが、財団の団体設立マニュアルなどを参考にさせてもらったおかげで、それほど大きな混乱もなく、活動を始めることができました」
 スタート時点の会員数は45名。それが口コミでその評判が伝わるとともに徐々に増えていき、現在は650余名。1か月の平均活動時間は750〜800時間にのぼるという。
 「入会者数は、ここ1〜2年は年間100人ぺースで増えています。介護保険制度ができる以前は“人様のお世話になるなんてとんでもない”という風潮が強かったんですが、介護が施しから権利になったことで、利用する側の意識も変わってきたんでしょうね」
 これはまた、介護保険では、求めるサービスの一部にしか対応できないことの表れでもあるし、突発的なニーズにも臨機応変対応できる「河内長野たすけあい」の良さが、地域住民の間に認知されてきた結果ともいえよう。







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