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情報誌「さぁ、言おう」 2002年10月号

 事業名 高齢者のためのボランティア普及啓発活動
 団体名 さわやか福祉財団 注目度注目度5


今 心の教育を考える
(取材・文/吉田昭子)
川がつなぐ 人・水・いのち
善福寺川プロジェクト
東京都杉並区立松ノ木小学校
 
 強い夏の日差しが照りつける中、子どもたちの元気な声があちこちにこだました。「総合的な学習の時間」で普福寺川に到着、水の中に手足を浸して観察を始めたのだが、海やプールとは違った水の感触に彼らの感激もひとしおのようだ。
 
 杉並区立松ノ木小学校は、2000年度より地域のボランティアグループ「善福寺川プロジェクト」と提携し、「総合的な学習」の取り組みを進めている。同校は善福寺川流域にあり、地元の山田清さんたちの同グループと一体となって、身近な環境について考えていこうということになったものである。
 2001年秋、松ノ木小の5年生たちの「身近な環境」をテーマとした授業がスタートした。まずは子どもたちが「身近」について意見出し合い、善福寺川やその周辺について調べるテーマを決める。そして川の周辺を歩くことから始め、その水を見る。水は多少よどんでいる所もあれば、水中の生物が見えるくらいの所もあり、都会を流れる川としてはまずまずというところ。当初、子どもたちは、「吸殼や空き缶を捨てないでほしい」「(川沿いの)公園には散歩中の犬は入れないでほしい」などとただ指摘するだけだったが、回を重ねるたびに、「誰だってゴミを捨てるのをいいと思っていない。ゴミを拾おう」「自分たちが遊びたいのと同じように犬だって走り回りたいはず。犬を放し飼いにできる公園があれば、どちらもいっぱい遊べる」と、他者の立場に立てる建設的な考え方に変わってきた。
 もちろん、子どもたちは一朝一タに成長するわけではない。その陰には綿密な計画を立て、「やる気」を起こさせる指導をしてきた学校の先生方や地域のボランティアの方々の熱い思いがある。
 
7月、校舎を飛び出し、真剣な表情で川縁にたたずむ。善福寺川という身近な環境をテーマに、地域を見つめ直す子どもたち
 
 ここで「善福寺川プロジェクト」にスポットを当ててみたい。1997年に東京都教育庁を中心に、成人対象の生涯教育のありようとしていくつかのプログラムが企画された。その中で水の循環という観点から「杉並区を流れる善福寺川を見直し、まちづくり活動につなげていこう」という趣旨の「善福寺川がつなぐ〜人・水・いのち」という事業がスタートした。具体的な取り組みの中で山田清さんは、子どもを社会の構成員として位置付け、学校の授業に組み込むことを考え、「子どもプロジェクト」を提案。しかし予算面の事情から規模の縮小を余儀なくされ、かえって自由な発想での取り組みができるようになった。
 これが「われらプロジェクト(われP)」へと発展する。「われP」は社会福祉・医療事業団の子育て支援事業の一環で、(1)地域調べ、(2)遊び場作り、(3)引きこもり・不登校対応の3本を柱として3か年計画で事業を進めており、3年目の取り組みをしている。現在では3本柱相互の連携や地域とのつながりができてきて、「地域調べ」で地元の小学校との提携が可能になった。
 取り組みに際しては、事前の学習、本番の体験、事後のまとめがなければ体験学習を深めることができない。「われP」では川の調査の前に、子どもたちが川の周辺を歩くことから始める。カワセミが見つかったり、ザリガニや蛭までいたりする。自分の目で見ていれば学習にも大変入りやすい。自然に感じた疑問・質間を先生や実行委員のメンバーにぶつけることもできる。善福寺川は三面張りの典型的な都市河川で、付近には公園もあるが大雨の際に下水が流れ込むこともある。環境の学習は環境だけにとどまらず、そこに住む人々の暮らしや幸せにもつながっていく。そういう現状にあって自分たちには何ができるのか、そのためにはどうしたらよいのか感じ、考え、行動する子どもたちが育っていく。
 
「この中にお母さんもいるけれどどの人かわかるかな?」
 
 小学校でいろいろな「気付き」を体験した子どもたちを、さらに地域が育んでいく、そんな環境があるのはすばらしいことだ。山田さんたちのグループには建築家や生物の専門家のほか、リサイクルに従事する人もいる。まちづくりを基盤として、人材も豊富に集まっている。この夏、はしゃいでいた子どもたちがどう変わっていくのか、大変楽しみである。
 
コラム
現場教師のホンネ投稿
「総合的な学習の時間」が始まって・・・
 「総合的な学習」が始まって以来、地域のボランティアセンターに足を運ぶ先生方が多くなった。地域との交流を授業内容にするため、情報を求めてとのこと。センターの職員は丁寧に対応してくれているようだが、一方教師については改めて驚くことが多いと打ち明ける。
 まず、本来ならもう少し知っているべきはずの地域のことについてほとんど情報を持っていない。また福祉施設の見学を依頼する際には、1時間に満たない見学を希望してみたり、日時を一方的に指定してきたりなどなど。
 学校も地域とのつながりを深めようともしている。だとすれば、そのパイプ役としての教師の役割がより重要なものとなる。しかし授業指導・生徒指導・会議など、多忙な仕事に押しつぶされそうになっているのも現実だ。教師に地域に目を向けてもらう努力をしてもらう一方、地域の人々からも、積極的に、学校にさまざまな働きかけや情報発信を行なう重要性を改めて感じている。







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