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ふれあい助け合い 東西南北
さわやかインストラクターから
 
 全国でふれあい・助け合い活動についてアドバイスを行うさわやかインストラクター。そんな皆さんから活動の状況や個別の課題、心温まるふれあいエピソードなどを寄せてもらいます。
 
NPOとしての存在を示そう
NPO法人 ふれあい泉(大阪府)
和田 裕
 
 人の心の中を覗いてみると、多くの場合「やさしい心」を見つけることができます。私たちはそんな心を大切にして、同じ地域に住む人々が力を合わせ「そんなん、お互いさんや」の気持ちで草の根の市民互助団体を設立して7年目に入りました。
 日々の活動を通して感じることは、今まではNPOに対する認識は低いものがありましたが、最近は少しずつ注目が集まってきている、ということです。それは介護保険が始まって枠内に進出する団体や、いろいろな分野で新たに設立された組織が人の目に止まるようになったからだといえるでしょう。ただ存在は知っているが内容はどのようなものか、あまり知られていないのが現実で、私たちが参加している研修会や交流会で、活動内容をお話しする機会を持つ時があります。ボランティアや助け合い活動のことについては、関心を示してくれ、中には「頼めば何でもしてくれるのですか」と聞かれる方もおり「できることは何でもさせてもらいます」と答えています。また、団体の台所事情について「大変ですね」と同情を寄せてくれる方もおられ、少しずつ連携の輪が広がってきています。
 今後、世間から認められ、信用を得ていくためには、多分いくつもの壁を乗り越えていかなければなりません。行政や企業と真のパートナーシップを築いていくためには、もっと力を付けていかなければならないでしょう。
 私たちの組織を見てみると今後の課題はたくさんあるかと思います。その一つに人の問題があり、今まで活動できる人がいくつかを兼務しながら運営してきました。しかし活動範囲が増えてくるにつれて、携わっている人の負担が大きくなり、無理が生じてきますので最近スタッフを増やしました。(といっても一人ですが)徐々に成長してくれるといいなと願っております。
 活動においては、心のふれあいを大切にして、温かみのある、人にやさしいサービスの提供を心がけています。先日もある利用者の方が「ヘルパーの皆さんは一生懸命にやってくれています。でも時たま間違いをすることがあります。しかし心が通じていれば腹が立ちません」と言っていました。私たちは現状に満足することなく、切磋琢磨しながら世の中の変化に遅れないよう資質の向上に努め、NPOとしての長所を出して存在価値のある組織にしていきたいと思っております。
 
介護支援事業撤退の弁
NPO法人 ふれあい福祉北九州(福岡県)
永田 秀雄
 
 介護支援事業者の指定を受けたのは、「民間の事業者の営利主義や医療系事業者の利用者取り込みを防ぐためにも、NPOとしてケアプランサービスもやるべき」とのアドバイスを受けて申請を出したようなことだった。
 ケアマネジャー名簿から120名の人に、はがきを送ったが反応があったのはわずか6名。その内、面接は3名。採用したのは国立病院の看護学校の助手の経験を持つ女性だったが1年でダウンしてしまった。ハードな業務がもとで体調をこわしてしまった。他にも理由はあったと思われるが「去る者は追わず」の思いだった。後任を一生懸命探したが容易に見つからない。ようやく応募してきた女性を面接し一旦は採用を決めたが、あまり給与面にこだわることと、NPOについてほとんど理解できないことが引っかかって採用を急遽中止した。
 事業開始からわずか1年で休止するようなことはNPOへの信頼に傷がつくとの思いから何としてもやりたくなかった。しかし後任採用に当たって「漆千ばいに蟹の足一つ」の愚だけは避けなければならないと自分に言い聞かせた。
 利用者に休止の説明をすることになって心が痛む思いだった。「決してご迷惑はかけません。ホームヘルプサービスは変わりません。安心してください」と必死の思いで説明に当たった。その後、平成13年7月事業廃止届を県に提出した。
 休止時のケアプラン管理数は103(内自己管理分42)、提携事業者17。現時点の管理数124。提携事業者23。
 介護支援事業から撤退して今言えることは、
1. ケアプランサービスとホームヘルプサービスを並行してやるには、NPO(というより私といった方が正しいのかも)としては荷が重すぎた。
2. ケアプランサービスとホームヘルプサービスを同一事業者がやることには多くの問題がある。分離すべきではないか。
3. 介護支援事業者との提携が広がったこととケアマネジャーと対等な話し合いと連携で、サービスが大変スムーズに行われるようになった。







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