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仙台市 仙台ながまちモビリティ
 所は変わって、杜の都仙台。市南部の古くからの商店街長町でも、今年5月からタウンモビリティが始まっている。広島のらくらくえんオフィスがタウンモビリティの老舗なら、「仙台ながまちモビリティ」は新装開店したばかり。スタッフも30代の若者が中心だ。
 「『電動スクーター無料貸出し中』と書いた青いノボリが立ってますから、それを目印に来てください」との道案内のとおり、事務所がある高齢者住宅グッドライフ長町の入り口には青いノボリがはためいていた。グッドライフ長町は高齢者向け賃貸住宅の他、介護専用型有料老人ホーム、デイサービスセンター、高齢者食事サービス、開業医が入る複合施設で、この1階ホールに電動スクーターの受け付け事務所を開設した。場所はグッドライフ長町の無償提供である。
 
電動スクーターを借りに来た大平美佳さん(右)と代表の杉山裕信さん(左)
 
 サービス提供日は月曜、水曜、金曜の午前10時から午後3時まで。電動スクーターが2台と電動車イスが2台。電動スクーターは地元のリース会社が維持管理も含めて提供してくれている。
 
貸し出しコーナーでスタッフとおしゃべりする
 
 移動の範囲は長町商店街と事務所から歩いて2〜3分の広瀬川。広い遊歩道が整備されている広瀬川周辺は格好の散歩コースだ。利用者には原則的にボランティアが付き添うが、ボランティアも若い人材だ。市内の福祉専門学校4校の学生が交代でボランティアに来てくれる体制ができている。
 事務所のスタッフは障害者の自立生活センター・CILたすけっと代表の杉山裕信さんとその仲間たちだ。四肢に障害を持つ杉山さんは自ら電動スクーターに乗って、商店街を行き交う人にタウンモビリティをPRする広報マンでもある。
 
すぐ近くの広瀬川は散歩コース。日下さん(右)は長町1丁目商店街の推進役だ
 
 開設後3か月間の利用者は試乗も含めて100人。その中の1人竹沢英明さんは、たばこ屋とクジラ屋(魚屋)に寄って広瀬川を一回りするのを楽しみに、毎日のように通ってくる常連だ。
 
竹沢英明さんはたばこ屋とクジラ屋(魚屋)で買い物をするのが日課
 
 「いかに知ってもらって、乗ってもらうか。まだまだ一般的な乗り物ではないので、お年寄りなど必要な人ほど抵抗感が強いですね。地道に実践して浸透させていこうと思っています」と杉山さんは話す。
 北国仙台では冬は路面凍結などでサービスを休まざるを得ない。「この休業期間までにぜひ実現したいのがサロンづくり」とスタッフは声を揃える。現在の事務所は南北に延びる長町商店街の北のはずれにあるが、もうひとつ南のはずれに今より広い事務所を設けて、そこをサロンにしたいという。そうすれば、冬の間はそこを利用者のたまり場にし、来春にはどちらの拠点からも貸し出しができる、と計画を練っているところだ。







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