日本財団 図書館


ふれあい助け合い 東西南北
さわやかインストラクターから
 
 全国でふれあい・助け合い活動についてアドバイスを行うさわやかインストラクター。そんな皆さんから活動の状況や個別の課題、心温まるふれあいエピソードなどを寄せてもらいます。
 
“はせさんず”も協働しています
NPO法人 たすけあい大田はせさんず(東京都)
坂口 郁子
 
 このところ助け合い事業に対する法人税課税の問題では非常に腹立たしく、かつ解決策の手詰まり感が強い。はせさんずは、昨年も今年も助け合い事業は赤字である。会費と善意の寄付以外には1時間200円の利用会員からの事務経費としての寄付金だけが収入である。地域での助け合いを活発に継続的に行っていくためには当然活動に比例した経費がかかる。助け合い事業を主体としながら介護保険事業にも参入することで、地域でも評価されるサービスを行っていることは、会員一同、やりがい、生きがいの多忙な日々である。
 介護保険事業での収益を助け合い事業に補填すれば、今までにはなかった地域での公益に資するべきNPO法人の理念とも合致する。ところが国税庁によれば、助け合い事業が「請負業」というこじつけによる課税の対象になるという見解である。まったく理解に苦しむ。外務省のNGOに対する無理解を笑うよりも、まずNPO法という新しい、すばらしい法律を国税庁が勉強してほしい。
 NPO人材開発機構から研修生11人がはせさんずを訪問した。厚生労働省の雇用促進のための起業研修で、NPO法人の現場の実情についてがテーマである。NPO法人を取得したことの意味、組織、人員、事業内容、財政、今後のNPOのあり方などをお話しした。40代を中心とした男性9人、女性2人で、2時間ほどであったが熱心に聴講してくださった。
 主催者の話では、企業リタイア後の第2のライフステージとして起業しようというのではなく、現役の人たちが新しい仕事に挑戦するといった考え方でNPO法人を起業しようと志し、この研修会に参加しているとのことである。こうした層が成熟した市民社会を構築していく中心的な担い手になることを心から期待し、応援したい。これも先輩NPO法人としての役割であると思っている。
 以上のようにNPO法人は雇用促進にも協力をしている。国税庁もよくよくNPO法人についての認識を改めてほしいものである。
 
県内NPOとの交流で学んでいること
NPO法人隣の会(鹿児島県)
齋藤 鈴子
 
 NPO法人の認証を受けて1年が過ぎました。法人として活動していく上で他の法人との付き合いも多くなり、福祉だけではない様々な活動分野、環境・文化・スポーツの方々と交流が必要になってきました。
 昨年の11月に行った「ふれあい1レクリエーション」もSCC(スポーツ・コミュニケーション・サークル)の太田さんと知り合えたのがきっかけで実現しました。全体の中で、企画の部分を担当していただき高齢者や障害者が楽しめるレクリエーションを赤青黄のチーム制で行ったこと、ゲームやくじ引き等をみんなですることで子どもに帰れたひと時でした。当日はSCCのスタッフや大学生、高校生のボランティアも参加して楽しい1日を過ごすことができました。
 また、今年はNPOさつまの理事として県NPO推進事業交流会を、人材の育成と拡大、新しい市民参加型社会も目指すために県内5か所で行っていきます。1回目は4月に薩南の枕崎で開催され、約80名ほどのNPOに関心ある参加者が、環境や福祉について大いに議論を重ね、共感していただいたり質問も数多くありました。そして次の日は、のぼり釜や昔の家を復元する活動をしている団体、文化・町づくりについて真剣に取り組んでいる団体の姿を見るにつけ、お互いにできるところで力を出し合い、生き生きと楽しみながら地域で活動している方々や若い担い手にも頼もしく思いました。
 6月初旬は種子島です。種子島・屋久島のNPOのスタッフによる『高齢者福祉まつり』があり、「いきいきわくわく老後を生きよう」がテーマで行われます。県内のNPOとの交流が始まって、素晴らしい方々との出会いがあります。いろいろな事を教えていただいたり学んだり、楽しく語らい焼酎を飲みながら、夢をもって活動していく仲間たちとともに草の根が広がっていくことを念じるこの頃です。
 
事務協力金を廃止しました
NPO法人 エフ・エー(大阪府)
前東 ふみ子
 
 介護保険事業を始めて1年半、事業を始めるにあたって会員の中には非営利団体イコール収益事業を行ってはいけないという考え方の人がいました。しかし、自立した運営を目指していたエフ・エーは運営費を助成金や補助金のような不安定なものに頼っていてはいけない、安定した組織運営を続けるために何が収益事業かと理事会や毎回のミーティングなどでも考えてきましたが、これといって事業が浮かびません。結局、やはり私たちにできることは、今まで積んできた経験と信頼のある在宅福祉事業であり、介護保険の訪問介護がエフ・エーにできる収益事業ということで、指定事業者としてサービスを行うことになりました。
 しかし、理事や会員の中にはまだ「なぜボランティア団体が収益事業をするのか」「非営利団体ではなかったのか」と、収益という言葉に過剰反応を起こし、疑問を感じている人もいました。エフ・エーが目指すものは「豊かな地域づくり」です。地域の人々と一緒にまちづくりをと考えています。会員には今までも、運営資金の不足や安定した運営を続けるための収入が必要で、寄付金やバザー収入、助成金などでは不安定なことを知らせていましたが、学習会を開き、NPO法人や非営利団体でも運営費にお金が必要なことや、それをどうやって捻出するのか等を議論し、会報にコラムを載せて、理解していただけるようになるまでに1年かかりました。
 そして昨年、収益事業をすることで何か会員に目に見える形で示したい、事業を始めて良かったと思っていただけるようにと、まず、利用会員の登録料を2001年11月に廃止(月1000円・年1万円 コーディネート料含)しました。
 次に活動会員の事務協力費(1時間100円)を2002年4月より廃止し、そして、事務協力金の廃止によって今まで休眠会員だった人も、新しい会員も、より一層ふれあい活動に参加しやすくなると考えています。また収益事業を行うことによって賛助会員から「収益が出るのなら賛助をしなくてもいい」と退会する人が増えるのではと危惧したのですが、逆に事務協力金を廃止することで「ふれあい活動」はみんなで支えていくんだ、みんなの活動なんだと改めて認識をしていただき、より一層「ふれあい活動」が大きく広がりをみせることを願っています。
 そして今年度からは余裕とはいえないけれど、家賃や経費の捻出の心配をしなくて済むようになってきました。まだスタッフの人件費は謝礼金にも及びませんが・・・。
 エフ・エーはNPO法人になるとき「ふれあい あべの」という名称から、活動の幅を大きくするために「エフ・エー」と改めました。頭文字を取って「For All」。その意味は「みんなのために」「みんなのちからで」「みんなにむかって」です。ふれあい活動を中心に地域に根差した様々な活動を通じて、人々の自主性を大切にした温かい交流のある地域づくりを目指していきます。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION