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情報誌「さぁ、言おう」 2002年7月号

 事業名 高齢者のためのボランティア普及啓発活動
 団体名 さわやか福祉財団 注目度注目度5


われら地域市民
動物とのふれあいで知るやさしい心
夫婦でCAPP活動
神奈川県横浜市 伴 史郎・敬子さん
 
 愛犬のジョン(オス17歳)、キャンディー(メス4歳)とともに老人ホームを訪ねる。安らぎを求めるお年寄りが待っている。動物とのふれあいが行われ、お年寄りの周りには生き生きとした空気が流れる。伴史郎・敏子さん夫妻が行うこんな「CAPP活動」が、動物好きのボランティアにより全国で繰り広げられている。
CAPP活動とは?
 人が動物を単にペットとして可愛がるというのではなく、人間の良き仲間、家族、伴侶として共に暮らす動物たちのことを「コンパニオン・アニマル」といいます。このコンパニオン・アニマルを介在して社会に貢献していこうとする運動がCAPP(Companion Animal Partnership Program)活動です。獣医師とボランティアが、健康でしっかり躾けのできた動物を連れて老人ホームや障害児施設、幼稚園、病院などを訪れ、動物とふれあって心を癒してもらう活動です。
 純粋で素直でやさしい動物を介在することにより、無理なく楽しい社会福祉活動が行えます。この活動は、獣医師のレベルアップを目的とした組織の(社)日本動物病院福祉協会が1986年から始めた社会貢献活動で、これまでに延べ4万1000人のボランティアと4万頭の動物が活動に参加しています。
活動を始めたきっかけは奥様の一言だったとか。
 1959年に大正海上火災(現三井住友海上火災)に入社以来、仕事一筋の典型的な会社人間で、家のことはほとんど省みないサラリーマン人生を送ってきました。
 50歳半ばのある日、家内が「パパ、定年になったら何するの? まさか濡れ落ち葉になんかならないわよね」とぽつんと言う。即座に返答することができなかった。内心、俺、一体、会社辞めたら何ができるのかなあ・・・と。家内は「私は今年からボランティア活動をします」と続けた。詳しく聞いてみると、日本経済新聞の「動物(ペット)は心のお医者さん」という記事を読み百パーセント共鳴。動物が老人や身体に障害を持った人の心を慰めることができることを知り、飼っている犬と一緒に福祉ボランティアをするという。
 次の日曜日、福祉活動の現場を見学に行かないかと家内が言うので行くことにしました。動物と人との温かな交流を見ているうちに「こういう活動だったらやってみようかな」という気持ちになったのがきっかけです。
 
伴さん夫妻と“心優しき”愛犬たち
お年寄りと愛犬とのふれあい
特に印象に残ることは?
 活動を始めたばかりの頃でした。車イスに座ったまま一点を凝視して全然口を利かないお年寄りがいました。犬をそばに連れて行っても何の反応もしません。もちろん私が話しかけても口をいてくれない。その後、数回ほどの訪問を重ねて半年ほど経ったある日、そのお年寄りの目が犬を追って、小さな声で「ジョン」と呼んだのです。ジョンはその時を待っていたかのように尾を振って、そのお年寄りに駆け寄りました。そして初めてジョンに触ったのです。それを見たときの感動は身体が震えるほどでした。私が(というより人間が)いくら話しかけても心を開いてくれなかった。それをジョンがやったんですよ!
 動物の持つ素直さ、誰にでも分け隔てなく接する真のやさしさ、温もりが閉ざされた人の心を溶かしたのです。それ以後少しずつ私とも話をするようになりました。
 
何気ない動物とのふれあいにお年寄りの心は満たされていく
サラリーマンのボランティア活動について
 1996年に三井ボランティアネットワーク事業団に出向し、三井グループのOB・OGを主対象に、その方々の生きがい支援と、これまで培ってきた経験・知識などを社会資産として生かすことを目的に、ふさわしいテーマを設定してボランティア活動を企画・実施したり紹介してきました。現在は妻と地域でのCAPP活動を中心に、同事業団の一部お手伝いをしています。サラリーマンには、妙にシャイなところと、理屈がたたないと動きにくい傾向が見られます。とにかくやってごらんなさい。何回かやるうちに自分に合った活動が見つかります。そしてそれに感動することができれば自然に身体がついていき継続できます。ただ始めるきっかけがつかめない。何かのきっかけでちょっと背中を押してあげるコーディネーターが必要なんです。社会との関係が切れた定年後、もう一歩踏み出して再び社会参加しましょうよ。
1月にリタイア、奥様はその時を待っていたと言っています。これからは?
 今の子どもたちは、本当の意味のやさしさ、我慢強さがなくなったように思います。それは学校と家と塾との往復だけで、いろいろな出会い、動物とふれあう機会が少なくなったせいでしょう。そのためにも、動物と触れ合うことにより、動物の持つ温かさ、素直さ、誰にでも公平な優しさを体験してもらい、命の大切さ、思いやり、忍耐力、自尊心、責任感そして共にいる楽しさなどを知る機会をつくっていきたいと思っています。今までは老人ホームや障害者施設での活動が主でしたが、これからは子どもたちのために、行政や学校、父兄とも関係を持ちつつ、同じ価値観を持った夫婦で協力して2頭の犬と仲間たちとともに楽しい活動をしていきたいと考えています。
(取材・文/三上 彬)
コラム
 奥様の敬子さん。「なかなか良い活動なので主人にぜひ一緒にやってもらいたかったのですが、いきなり言うと男の人は仕事や自分の立場があり簡単には承知してくれません。『現場の見学に行きたいけど、1人で2頭の犬を連れていくのは大変なのでただ行くだけでいいから一緒に行って・・・』と誘いました(笑)。主人に“濡れ落ち葉”のような老後生活をしてほしくないので、どういう言葉掛けをしようかと言葉を選びながらきっかけを待っていました。ずーっと仕事をしてきた人に妻からの命令的な誘いってとても嫌だと思うんです。君と一緒にやるよと、主人が決めてほしかった」―。“やさしくてしたたか”な奥様の作戦?は大成功でした。







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