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情報誌「さぁ、言おう」 2002年5月号

 事業名 高齢者のためのボランティア普及啓発活動
 団体名 さわやか福祉財団 注目度注目度5


ありがとうを循環する地域通貨 14
幸せに楽しく楽に暗そう!
地域通貨「フリーワーク」
(取材・文/猪瀬 泰志)
 
 「あなたは思ったことを相手に言えますか?」「フリーワーク」事務局の関康子さんからの突然の問いに、ハイとは答えられなかった。私もそうだが、心で思っていても遠慮したり誤解されるのが怖くて思ったことを言える人は意外と少ない。この「フリーワーク」のメンバーは、思ったことが何でも言える間柄なのだ。
 「フリーワーク」は、「まるごとしあわせ」をコンセプトに2000年9月に誕生した福島県下の二本松市、郡山市、福島市、いわき市の4市で循環している地域通貨だ。事務局となっている関さん宅を、先日、訪ねてみた。
 そこでは、学習塾、そろばん塾、簿記講座、自然食品販売などいろいろなことが行われているのにまずびっくり。そしてその中心に、活発で正直、素敵な女性の関さんがいた。そして1991年1月から始まったのが、“自分を育てる”育自サークル「フリートーク」という活動だ。このサークルのルールは3つ。(1)しゃべりたい事、聞きたい事をあらかじめ考えてくる、(2)誰の子どもでも気づいた人が注意する、(3)一品持ち寄って昼食をみんなで食べる、などユニークだ。思ったことが言えて気を使わないで楽しく活動するための努力がしっかりとあった。そのサークルでは毎月読書会を開いており「エンデの遺言」を取り上げたのが地域通貨立ち上げのきっかけだという。
 地域通貨を使えばお金を使わずに「やってもらいたいこと」「自分ができること」が仲間同士で交換できる。「フリートークは気を使わないで思ったことが言える仲間なので地域通貨を始めるのに何の抵抗もなかった」と関さんは言う。地域通貨の導入で信頼関係ができる、みんながいきいきと生きられる、人間関係がうまくいく、ネットワークが広がる、住みやすくなる、自分の価値に気づく、そしてみんなまるごと幸せになるなど多くのことが期待された。その後マスコミの情報やさわやか福祉財団で作成した手引書を利用して、5名が中心となり、読書会の開催からわずか4か月で立ち上げた。
交渉の手助けも地域通貨で
 現在の利用者は、30名(うち女性20名)。メンバー交流の場として毎月1回ミーティングを行っている。また、入会したばかりの人が早くなじめるようにインタビューゲームをやったり、困っていることなどを聞き合うなどしてコミュニケーションの促進を心がけている。また、ミーティングに仕事などで参加できない場合も、連絡を取ったり会報にメッセージを添えたりして、疎外感を与えないような工夫も忘れていない。
 フリーワークの仕組みを紹介すると、1時間のサービスを600フリーくらいで換算する。この「フリー」は毎年12月31日で精算され、翌年はまたゼロからのスタートとなる。利用方法は、年会費の1000円を支払い、フリーワークシートに名前住所などを記入して「できること」「してほしいこと」を事務局に登録。入会時にもらえる他の人のフリーワークシートを見ながら本人に交渉し、交渉が成立したらサービスを実施して通帳に各自交換内容、確認サイン、「フリー」のプラスマイナスなどを記入する。
 仲間集めの方法として、利用者は、気に入った人、参加してほしい人に積極的に声をかけているとのこと。口コミや、関さんが99年1月から毎月発行している『これだけは、伝えたい通信』によるPRも大きい。しかし単なる人数集めに執着するのではない。「人を集めることより、いかに内容をよくしていくかが大事」というのが関さんたちの思いだ。
 さて、提供サービスは、女性の場合、子どもの見守り、食事づくり、障子貼りなどで、「してもらいたいこと」は英語の指導、裁縫など。一方、男性は、大工仕事、車の修理、送迎、パソコン指導、「してもらいたいこと」は、洗濯、自宅のお風呂の貸し出し、料理等々、メニューは多彩だ。
 中でもユニークなのは、交渉役も、100フリーくらいで肩代わりしてもらえること。入会したばかりだと自分で交渉しにくいものだが、そんなときでも「フリー」の出番である。
 利用者の一人、遠藤さんは「毎日を幸せに、楽しく、楽に暮らすためにフリーワークを利用している」と話す。パッチワークが趣味で「フリー」を活用しながら地域の人に教えることも。今後は、「テレビゲームが好きなので、子どもに教えてもらいたい」とのこと。子どもでも参加できる地域通貨ならではの楽しい交流の様子が目に浮かぶ。
 関さんの将来の夢は「フリーワークで家を建てること」。「老後は週に何日か家族と過ごし、残りの日は友達と過ごせるような場を作りたい」という。気心の知れたフリーワークの仲間がいれば、それも、決して不可能ではないかもしれない。「将来はフリーワークが無くても気軽に、気を使わずに頼める関係がきっとできる」と言う言葉に、関さんの自信の程がうかがわれた。地域通貨の本当の目的は、助け合う仲間づくりなのだ。
 取材を終えて「パソコンとデジカメ使える?」と関さんに聞かれ、私も600フリーでフリーワークの仲間入りをした。
 
(拡大画面:43KB)
フリーワークシートと通帳。シートには本人のかわいらしい似顔絵も
 
仲間はどうやって集めたらいい?
 新しくグループを立ち上げる場合、自治会、商店街、友人や知人といった気心の知れた人で、理念に賛同する人、情熱をもって地域通貨に取り組みたい意欲のある人を探して、まずは5、6人の中核メンバーを集め、仲間(会員)をどうやって集めたらいいかを話し合ってみよう。
 仲間(会員)の集め方にはさまざまな方法があるが、一番は何といっても近隣の人たちへの口コミだ。地域通貨での、「してほしいこと」や「できること」の具体的な内容や、実際にサービスを受けて助かった話、喜んでもらえた話など本人が実感を込めて話すことが効果的。
 次に効果的な方法は、地域の公民館や集会所などでの説明会を通じて、より多くの人に地域通貨について理解してもらうチャンスを積極的につくっていくこと。その際には、たとえばさわやか福祉財団が制作したような「助けらられ上手・助け上手体験ゲーム」などの活用も気楽に体験できると好評を呼んでいる。とにかく互いに助け合うことの喜びや楽しさを、肌で感じとってもらうことが大切。
 「そんなこと程度なら簡単にできる」ということをまずはわかってもらうことだろう。
 その他に、既存会員のための懇親会やイベントを定期的に開催し、より理解を深めることによる口コミや、さらにその機会を利用して、地域通貨に興味のありそうな人も同時に参加してもらうなどでPRしていく。
 定期的な親睦会は、会員間の信頼感を強めるだけでなく、新規に会員になりたい人に、グループの様子を理解してもらえる大切な「場」となっている。
 さらに、より多くの人たちに地域通貨のグループを知ってもらうためには、定期的な会報の発行やチラシを作成して会員募集の欄を設けたり、ホームページを作成したりすることもおススメだ。
 
*「助けられ上手・助け上手体験ゲーム」は希望の方にお分けしています(送料のみ着払い)。さわやか福祉財団の時間通貨担当までお気軽にお問い合わせください。
*財団のホームページから簡易サービスカードも印刷できますのでぜひお試しください。
 http://www.sawayakazaidan.or.jpから地域通貨画面を選択してください。







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