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情報誌「さぁ、言おう」 2002年4月号

 事業名 高齢者のためのボランティア普及啓発活動
 団体名 さわやか福祉財団 注目度注目度5


今 心の教育を考える
取材・文/川尻 富士枝
ニューヨーク同時多発テロ事件にみる
子どもの積極的な行動を支える学校体制と社会の仕組み
ニューヨーク日本人学校
 
面接指導で確認する「ボランティアで何を学んだか?」
 「先生の話を聞いていたら、自然はとても大切だなぁと思った。ぼくにも何かできることはないかなぁ」
 昨年5月、筆者は縁あってニューヨーク日本人学校グリニッチ校(GJS)で、5年生に環境学習の授業を行った。これはそのときに書いてもらった感想文の一つだ。その後、グリニッチ校のホームページ上で、同時多発テロの直後に子どもたちが募金活動をし、ユナイテッドウェイを通じて集めた募金3428・40米ドルを寄付したということを知った。毎年恒例の募金活動だけでなく、2年前の台湾大地震のときも募金活動をして同様に寄付したという。授業のときの子どもたちの真剣なまなざしと積極的に発言していた姿を思い出し、「あの子たちなら」と得心したものである。ところで、こういった行動はアメリカにいるからこそできるのではないか、この子たちが日本にいたならどうだったろう。
 1年生(小1)から9年生(中3)まで、約300名の児童生徒が在籍するグリニッチ校。助け合いの精神を養う教育にはかなり以前から取り組んできた。
 20年以上前から地元の老人ホームへの訪問を続けている。年に2回のこの活動は年間指導計画の中に、児童会・生徒会活動として組み込まれており、児童会・生徒会のコミュニティーサービス委員会が中心となって企画運営にあたっている。「老人ホームへは全員行くことができないので、今年度は希望者を募って折り鶴を折ってもらい、千羽鶴にしてプレゼントしました。また、学校行事として1学期にニューヨーク日系人会の方からアメリカに移住した日本人がいかに互助の精神で、これまでやってきたかという講話を聞かせ、墓参会にも子どもたちと保護者が100名ほど、我々教師もほとんどが参加しています」とは、情報提供してくれた松木実副校長。
 ところで、GJSの吉田耕治校長はボランティア活動推進に力を入れており、昨年春に就任して以来、機会あるごとにボランティア活動の重要性を説き、これまで行われてきた活動はもとより地域での活動を奨励している。町の清掃活動への参加を呼びかけ、近くの海岸清掃には教師をはじめ児童生徒と保護者が多数参加しているという。
 「総合的な学習の時間は小・中全学年とも年間70時間で特に福祉学習が行われているわけではなく、こういった活動は日本の学校とそう変わりはないですよ」という松木先生は東京都で中学校教師歴18年、教頭歴5年で3年前に副校長として着任した。その当時GJSのすばらしい環境と純粋で素直な子どもたちに感動したという。担当する9年生との進路についての面接指導では、必ず「ボランティア活動で何を学んだか」を聞くのだそうだ。
 
※ユナイテッドウェイは米国最大の社会貢献(寄付)のための組織で、寄付の需要と供給を総合的に管理する“寄付のエージェンシー役”を全米で行う巨大組織。
 
スクールピクニックを終え、グラウンドで一息
「ふれあいシール」でボランティア活動活性化
 また、GJSではボランティア活動を活性化するために5年ほど前からポイント制を導入している。活動したら先生からシールをもらってカードに貼り、それが多いと表彰するというシステムである。当財団が推進しているまさに「ふれあいシール」そのものだ。一昨年度までは学校で行った活動にのみポイントをつけていたが、昨年度からコミュニティーサービス委員会が主催するイベントの他に、家庭や地域でしたことを自己申告することも認め、さらに活動を広げようと考えている。
 
臨時集会で子どもたちに呼びかける吉田校長
 
 テロ発生翌日の臨時集会で吉田校長は児童生徒に「いつもと同じ生活をする。学校は安全な場所。明るく前向きに取り組む。そして自分たちでできる何かをしよう」と呼びかけた。この呼びかけにすぐに応えて行動した子どもたち。「今回のテロに対する募金活動は、現地校に通学経験のある9年生の発案で児童会・生徒会役員と担当教師が検討し、全職員に周知し、全校児童生徒と保護者に呼びかけ、全校一丸となって取り組みました」と吉田校長は熱く語る。こうした教師の、子どもとともに行動するという理念のもとにつくられた有形無形の支援体制が、いかに子どもの心の教育につながっているのかがおわかりいただけたかと思う。それは「アメリカだから」ということではない。ただ日本と違うのはアメリカのボランティアを支える社会の仕組みが、行動をよりしやすくしているということだろう。
 海外日本人学校ということで、派遣教員の在職期間は平均3年間、保護者の転勤に伴う転出入で年間70〜90人の児童生徒が入れ替わるというGJSだが、しっかりと助け合いの心が育っている。
 この子どもたちが帰国後もまわりに流されることなく、助け合いの心を育む教育を、アメリカの風土で身につけたボランティア精神を生かせる社会の仕組みをつくり上げていかなければならない。
 
(拡大画面:54KB)
コラム
学校運営連絡協議会は学校協力勝手連になりうるか
 学校協力勝手連、なかなか理解していただけないと悩んでいたある日、すぐにわかってくれた方がいた。「私はまだ勝手に勝手連ですけど・・・」と明るくほほえむA子さん。聞けば、この方は東京のある小学校で学校運営連絡協議会の委員をしているとか。この会は、地域住民らによる学校評議員をおいて、開かれた学校づくりや地域を生かした特色ある教育など学校運営について助言を受けるためのもの。とはいうものの、学期に1回ずつ、年3回訪れるだけではとても意見を言える立場ではなく、学校側の説明に終わってしまうことに疑問を持っていたという。最近になって小学校内のクラブハウスと呼ばれる地域に開放されている部屋でコーラスサークル活動を始めて、学校に出入りする機会が多くなった。実際に子どもたちの姿を見ているうちに、もっと地域のコミュニティーの場として、また、子どもとのふれあいの場としてクラブハウスを活用することはできないだろうかと考え始めていた。今年度から学校協力勝手連講座が開かれることを聞いて、ぜひ参加したいと名乗りを上げてきた。学校運営連絡協議会が名ばかりでなく、勝手連として機能するよう、さわやか福祉財団として強力に支援していきたい。







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