(Dr. Kim) プレゼンテーション、ありがとうございました。次のプレゼンテーションは台湾のホー・ション・ホウ先生です。彼は高雄市の副市長です。ホー先生はフロリダ大学で学位を取得した沿岸堆積物の専門家であり、15年前に台湾で開催された沿岸工学国際会議の主催者でした。そしてそのあと彼は政府に入り、現在高雄市の副市長となり、来年には高雄市の市長になるかと思います。2003年にはPACONがこの高雄市で開催されます。
(Dr. Hou) 私は海洋および沿岸工学の取り組みを紹介します。これは台湾の沿岸部に対する影響、すなわち侵食という問題に関する最も重要な問題です。ご存じのように、沿岸侵食は人が自然に与えた影響です。そして港湾あるいは魚釣りの湾の建設があります。台湾には漁業用も含めた165の港があります。そして15,
000kmの海岸線があるので、90km毎に港湾があることになります。日本の海岸線は33, 000kmで、2, 880の港湾があると聞いています。従って日本の場合は11km毎に港湾があり、台湾に比べ非常に密度が高いのです。しかしそういった港や漁業のための港湾を作ることによって、工業団地用の土地埋め立て、特に砂地の採掘、埋め立てが行われています。日本にも話がありますが、貯水池の建設、ダムの建設そして地下水の汲み上げが、例えば養殖に間接的、直接的に沿岸に影響を与えています。従って何らかのそれに対する対策として安定化構造物、例えば防砂堤などを作る場合に、かえって悪影響で侵食を起こし増大する場合もあります。この防砂堤の近くに例えば砂浜があると、もう一つの地域に別の侵食が起こるということです。従って土地埋め立て、そして侵食の問題が起こります。また埋め立てによる侵食問題もあるのですが、もっとよりよい計画を沿岸部に対してできれば、本来はこの沿岸のプロセスに対して持続可能な開発が必要なのです。台湾にとってもよりよい理解を深めることが、そして侵食の問題に対してよりよい反応、対応をすることが重要です。私の考えでは沿岸はダイナミックなシステムであり、海岸線やビーチは継続的に変化しています。こういった自然のプロセスの波、潮汐、流れ、そして風が沿岸部を変化させ、ダイナミックなバランスを作っているのです。沿岸部の例えば台中湾は、日本の統治下時代に建設されました。水深は7mの深さしかありませんが、第2次世界大戦中に、潮の干満が非常に大きい時にも漁業用の港湾がありました。これは30年以上も前の話ですが、そこからいろいろな実験、あるいは日本の専門家と共に研究にも取り組みました。佐藤先生、田中先生、伊藤先生、高橋先生、郷田良美先生といった方々に台湾に来てもらい問題解決を図ったのですが、台中が人工港湾となって漁業目的の使用が行われています。セディメントベジェルとモデルが作られ、沿岸侵食の問題を特定のコンパートメントの中でその問題を解決していく取り組みに使われています。堆積物にはバジェットモデルが使われているのですが、2点目の理由としてこの河川からの堆積物の供給が減少することです。台湾には非常に高い山、例えば3, 000m以上の山がありますが、この山々から流れ出る河川があり、乾期そして洪水期に川が流れます。特に台風や嵐のシーズンと乾期には堆積物が波、潮、流れ、風によってビーチから流れて砂丘が形成されます。そしてこの堆積物の土砂流出量は河川からの流出量よりも少なく、従って侵食が起こります。また人間の活動にも直接的、間接的に影響を与えています。人的な侵食要因としては、例えば河川からの堆積物供給量の減少、不適切なエンジニアリングの構造物で、例えば防波堤等がそうです。また地盤沈下は地下水の過剰な汲み上げによって沿岸の沈下と侵食が起きています。また河川の沖積平野はもともとこの河川による堆積物でできているのです。そして、台北地域においては砂丘が建設されたのです。台北は3つの河川が1つの流れとなっていますが、台北湾には、15mの人工防波堤があります。そしてこれによって河川からの流出土砂がブロックされているのです。従って、この機能として日本の専門家が話しているのは、サンドバイパスを使いここにパーミットステーションを作り、それによってパイプラインを通して港の下まで流し、ポンプで流し出すというアイディアです。この計画は沿岸部が左側の方にも等しくなるようにしますが、そうでないと河口で問題が生じます。従って人工的な建造物を建造し不適切なエンジニアリングをする事で沿岸部を変えてしまい、非常に大きな影響を与えてしまうことが分かりました。海岸線の後退が1年間で8mというスピードで進んでいる地域もあります。もう一つ大きな砂溜の堤防として、ワイサンディンバリアがあります。キュウシーツ河口の南にあるもので、これも民間企業による港湾建設です。そしてこれでワイサンディンバリアが縮まっています。チャーシュイ川は非常に大きな特長を持った川で、水の色が非常に濃い色をしています。最近、政府の政策として商業施設としてその地を特別区にしたのですが、最近ではそこが使われています。そうでないと大きな競争が台中湾と起こり、もう一つの埋め立てがフォールモストエージェンシーによって行われました。従ってこういった埋め立てなどの構造物がビーチの近くに作られたことにより、砂の貯留地エリアはもともと大きかったのがどんどん縮まって半分になっています。従ってこのサンドバリアはどんどん縮まっていき、そしてやがてなくなってしまうのではないかと心配されています。不適切な工学構造物、例えば防波堤、突堤、防砂堤、堤防等が潮の流れを変えてしまうのです。そして非常に強力な波の反射も起こるのです。台中港も人工構造物ですが、北の防波堤でブロックし、そして堆積物が北から南へ動いています。そして日本の国土交通省の港湾空港技術研究所と協力して、突堤を850mまであるいは450m出しました。これはこれによってコンテナ船が自由に入れるようにするためです。ここでは北東の風が非常に強いだけではなく流れも波もあるので、船舶のコントロール性と操縦性が求められています。しかし堆積物が堆積し、反対側は非常に侵食が進んでしまいました。この港は日本の新潟港と非常によく似ています。新潟港は防波堤が非常に長く作られたことにより天然ガスの採取用堤防が長くなったのですが、その堤防により深刻な影響を与える侵食が起きています。異なる種類の沿岸侵食ですが、それにまた埋め立ての影響もあり、同様の問題がこのように台中湾でも出ています。こちらの1970年と各時代の状況を比較してみて下さい。もともと1940年代はここまで海岸線がありました。そして1970年代はここです。これは台中港の建設時です。そして侵食していますがおよそ700m分が侵食されています。
ということで台湾においては生活居住空問が限られているということ、沿岸開発が不可避なことがあげられます。しかしここによりよい区分けを行い、いろいろな沿岸部に関る取組が必要だということを示しています。そして意図しない影響−人為的乱れ−を台湾沿岸部に対して再計画をする努力が必要です。
また興味深いこの港において、ジンサーウワンコーストは、オーストラリアのゴールドコーストのように砂が光ってゴールドに見えるため、台湾のゴールドコーストと呼ばれています。そしてこの地はみんなが良くバカンスに来るのですが、台北州政府はこのビーチを保護しようという観点から北側に防波堤を作りました。このような防波堤を作ったことによりビーチが消失してしまいました。これによりビーチサンドではないものが堆積したのです。もともと堆積物は北へ流れていた非常によいビーチだったのですが、時計回りに循環する海流になったので堆積物で埋まってしまったのです。当然これに対する対策も必要です。これはその地域における防波堤の建設によってこのような流れになってしまったことを示しています。従ってモデル実験あるいはシミュレーションが必要だったのです。物理的なあるいは数学的なモデルとの比較をし、その後養殖場の水温による温度の変化した地下水を淡水として使っていますが、それによって地盤沈下の問題が発生しました。そして海岸線の後退です。およそ11年間の間に80m後退して、8つの更なる防波堤が作られました。結論として、沿岸侵食が非常に深刻な問題である台湾では、不適切なエンジアリングによる海岸構造物が本来は海岸線を安定させるためにデザインされていたのに、新たに沿岸部の侵食問題を解決させるための構造物が必要になっています。より理解を深め、フィジカルな性質をもった解決策が必要です。これが私たちの論文で、参照文はICCEのものもあります。たくさんの調査が行われています。私がもともと台中港の港湾工学研究所に勤めているときに書いた報告です。日本の専門家とも多くの取り組みをしています。そして港湾に対する堆積物を移送するための解決策を出しました。このようにこれがその当時の刊行物で、論文報告書で1000ページくらいの報告書を作りました。これは台湾国立大学のINAに務めていた頃のもので、沿岸侵食に関する当時の論文です。この次のものも1987年の論文です。また、86年にICCの会議が開かれたため、キム教授もセッションの議長としてご活躍されました。台湾の侵食の問題をお話しさせていただきましたが、実ははじめに考えていたのは、特にエンジニアリングの工学的な取り組みについて、例えばダムの建設あるいは海岸線の問題、嵐あるいは雨季の問題、山の非常に勾配のきつい坂、そして山の石その他の土砂が下流に流れる問題です。山のたくさんの土砂が流れていくと、台湾海峡に流れていく中では、非常によい接続が本来は自然にできるはずだったのですが、毎年海岸線が200mくらい変化しています。従って中国大陸から最も短い距離は台中湾から170kmになります。そんなに遠くはないのです。タンショイ湾から防波堤を作ったとしても、4. 5kmくらいあるいはもっと大きなものもできるかもしれません。あるいは海底にも、例えば海底パイプラインは日本には沢山ありますが、長大な海底パイプラインを敷設して台湾と中国大陸を非常に早く移動するという新しいテクノロジーの開発ができるというアイディアがあります。海底パイプラインでたくさんのいろいろなものを送るのです。海峡にまたがった形での運輸にも使われるという話もあります。どうもご静聴ありがとうございました。
(座長 Dr.kim) ホー先生ありがとうございました。次は韓国のドン先生から発表してもらいます。
(Dr. Dong) 皆さんご存じの通り、朝鮮半島には非常に大きな港湾があります。中でも南部には2つの港湾があります。1つは釜山港で、もう1つ新しいのがワイヤン港です。5〜6年前に新政府が計画を作り、新しい港を釜山に作ろうとしました。現在の釜山港から西に50kmくらい離れたところです。計画の段階で一部私も関与しました。そこで分かったことは、非常に大きな問題があるということでした。それは新しい港の開発に関して問題があるということでした。100万年以上前から流れているナクトン川(洛東江)の川底を大きなクレーンでドレッヂングしなくてはなりませんでした。その問題はまだ解決されていないと思います。また、群山(クンサン)では製錬場を作りました。そして政府はコンテナポートを群山地区に作りました。その港は国内で3番目に大きい港だと思いますが、その地域に関しては、いろいろな公害問題が出ていると思います。韓国の西海岸には大きな港がありますが、北のインチョン(仁川)港が国内で2番目に大きな港湾です。インチョン港はあまり開発されていませんが、その近くのヨンジョン島に国際空港を作り昨年空港を開港し、今までのところは上手く運営されています。ただ問題なのはクンサン港です。これは朝鮮半島の南部にあります。クンサン港では最近多くの水理工事が行われました。海洋学者達が黄海に集まり、フラッド・ドミナントチャネル(洪水が起こりやすい部分)とアブドミナントチャネルを研究しました。黄海全体にフラッドドミナントリージョンというものがあり、かつアブドミナントリージョンがあります。近年多くの工事関係者と科学者達がその地域に集結して作業を行っています。
クンサン港はクム川(錦江)という川の内部にありますが、その中に港を作りました。当時はまったく問題はありませんでしたが、20年前に新しい政府が新しい港湾をその港の外に作りました。以前の港は国際港でした。そしてその隣が国内向けクンサン港で、クンサン港を作る時に業務の分業化の問題が起こりました。従って港を充分に上手く活用できませんでした。そして近年になって非常に大きな港を作っているのです。これは既存のものより10倍大きい港で恒久的なクンサン港と考えていますが、未だに問題は分業化についてであり、解決していません。というのもクンサン港は洪水が起こりやすい場所なのです。それも沿岸から内部に流れてくるのです。現状もその地域においては問題があります。
韓国の東岸は西岸と比べると人口が非常に少なく、現在は大きな港を東岸に作る必要がありませんが、将来25年以内には大きな港を作ることになると思います。それは東岸の北部に作ると思います。昔のインチョン港やクンサン港のように入り組んだ地域に港を作り、外海の波浪から防ぐ努力をします。東岸に作る予定の真っ直ぐな海岸では環境問題はありません。より少ないと言っていいと思います。内湾に作ると環境の問題はよりひどくなると思います。ですから計画としては、まっすぐな海岸線に沿って、港を作ることになると思います。国際空港を作るときに我々は非常に大きな洪水を経験しました。その洪水のために堆積土砂が海岸に流れだし、漁場に損害を与えてしまいました。現在でも問題があり、多くの地域で環境問題が存在しています。以上私の知っているところで韓国の現状を述べさせていただきました。ありがとうございました。
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