(座長 Dr. Chua) 次はジャン先生にお願いします。
(Dr. Zhang) ありがとうございます。今日は南西諸島におけるサンゴ礁と環境状況について、またその近隣の水域の環境状況について紹介したいと思います。1984年以来、中国科学アカデミーの学際的な海洋学の研究所は、中国科学アカデミーの南シナ海海洋学研究所とその他に20の機関や大学と共に協力して学際的海洋学的調査を南沙諸島とその近隣海域で行いました。この中で22回の航海で1,
000の観測点、10万kmにわたる航海を行いました。その結果、48の研究論文、学術論文書等が出版されました。ここで紹介したいのはサンゴ礁の研究結果です。それに加えて海水の水質、沈澱物による汚染、そして南沙諸島における石油汚染や近隣海域における問題について紹介したいと思います。南沙諸島には環状サンゴ礁がたくさんあります。島はトータルでは23、そして島の範囲は少なく、トータルで2.
0km2です。南沙諸島におけるサンゴ礁の総面積は25, 000km2、南沙諸島の海域の7.2%を占めています。サンゴ礁は生態学的に非常に重要な意味あいを持っていて、様々な生物活動が集中して行われています。また生物多様性、天然資源の生産性を維持するために非常に重要なものとなっています。南沙諸島における地形生態系の中でもこのサンゴ礁は非常に重要です。南沙諸島における40の珊瑚礁を地形学者や生物学者が調査しました。一般的に見て南沙諸島における珊瑚礁は非常によい状況にあり、健康的な状態と言っていいと思います。特にこの他の東南アジア、東アジアの海域に比べてもよい状況だといえます。しかしその中でも一部においては破壊的な漁業、例えば爆薬を使っての漁業、毒物を使っての漁業、そしていわゆる嵐による被害等も受けています。また、捕食者の侵入によって影響を受けてもいます。特に一部においては、20%が被害を受けています。また非常に珍しい生物の売買などによって生態系のバランスが危険にさらされています。今ご紹介しているのは、非常に健康なサンゴ礁です。こちらが斜面にあるものです。こちらはサンゴ礁の一部ですが、被害を受け破壊されています。こちらはルーフラグーンの中にあるサンゴ礁の様子で、こちらも破壊されたものです。
次は南沙諸島の海域における水質について説明したいと思います。水質検査の結果、190の観測点を、また1987年から94年に行われた6回の航海で行われた水質検査では、南沙諸島の水質は非常によいものでした。クリーンな海水の範疇に入ると思われます。pH値、溶存酸素量、メタンそのほかのいわゆる有機塩素系殺虫剤の濃度も水質の基準からいえば第一級の清浄度だと思います。しかし例外もあります。また、1993年12月の航海、1994年9月の航海においては、重金属などの物質は発見されませんでした。水質の中でいわゆる第一級といわれる評価基準ですが、こちらは1982年に発表された中国の基準に基づくものです。既に先ほど申し上げたように6回の航海で190の観測点で調査が行われました。Wは海水、Sは沈澱物です。これはその調査結果の一部です。南沙諸島における水質検査の結果や海水が汚染されている場所を示した図もあります。例えばイオウやリンそして石油などが発見された場所です。
次は南沙諸島の沈澱物による汚染について紹介したいと思います。こちらは6回の航海で121の観測地点での水質検査の結果です。87年から94年に行われた南沙諸島における沈澱物中の汚染物質は他の地域より濃いものとなっています。またこちらは一般的には非常に汚染度は低いものでしたが一部の地域においては中程度の汚染が見られました。また重金属の汚染がありましたし、中にはカドミウムによる汚染が発見されました。カドミウムは通常の含有量の3. 5倍ありました。それ以外の、鉛や亜鉛などの汚染物質も発見されています。南沙諸島における沈澱物中の汚染物質の要因は汚染物質の源、沈澱物の粒子の大きさ、背景の状況等があります。また有機塩素系殺虫剤も南西部にはあります。これは河川そしてデルタの近くにあるためと思われます。ここでもカドミウムの含有量が高いものも発見されました。また沈澱物中の汚染の評価はこの地域における学際的な研究によって行われました。また基準はこちらに示されています。調査結果は南沙諸島における水質の汚染物質をチャート2に表しています。
次は南沙諸島における石油の影響、エネルギー源の影響というもの、またエネルギー資源の掘削開発が南沙諸島の生態系にどのような影響を与えるのかについてです。これは長期的に憂慮すべき問題だと考えています。これまでの調査データに基づいて言えば、海水もまた沈澱物も石油の汚染は受けていません。海水に含まれる石油の量は水質の基準としては第一級のものでしたし、沈澱物における石油の含有量も非常に低いものでした。フィンガーマークメソッドの方式で行われたガスクロマトグラフィー、マススペクトログラフィーによる石油含有量の調査も、1993年12月、94年9月に南沙諸島で行われた航海で採取されたサンプルを見る限り原油の汚染は受けていません。今お見せしているのは、ガスクロマトグラフィーとマススペクトログラフィーの調査結果です。データは西部そして南沙諸島の南部における一部地域では石油の炭化水素で、これは石油の開発また原油が自然に流出したことの影響を受けたものとみられます。
次は南沙諸島の環境保護そして近隣海域における環境保護について紹介したいと思います。南沙諸島の流況は、非常に海流が強くまた自浄作用が非常に高いものです。また人口密集地からは遠く離れているし、また、土壌からの汚染は少ないと考えています。このためサンゴ礁の状況、生態系の環境は概ねいいものと考えられます。これに加えてサンゴ礁の生態系の劣化、有機リンまたION、原油による汚染、カドミウム、鉛、亜鉛等の重金属沈澱物による汚染が主要な問題だと考えています。南シナ海は非常に重要な水域です。この地域は産業、工業改革の渦中にあります。現在アジア太平洋地域は工業化が進んでいます。このため南シナ海を取り巻く状況はこうした経済開発の影響を受けると考えられます。環境は国境を越えてチェックすべきものです。海洋資源は限りある資源ですのでこうしたものに対し制約のない研究が必要だと思います。人口の増加そして食料、燃料供給が増えることによって今後更に生態系環境の影響もまた予防措置をとらないといけないと考えています。また、特に国境を越えた全地球規模的な対応が必要だと思います。例えば、石油タンカー、石油掘削による石油汚染、そしてそれに対するサンゴ礁の保護、生態系の保護が必要だと思います。このために新しい監視プロジェクトと国境を越えた協力が早急に必要だと考えています。ありがとうございました。
(座長 Dr. Chua) ジャン先生ありがとうございました。ひとつテクニカルな質問があるようですね。
(Dr. Ying Wamg) 補足的な説明を一つさせて頂きたいと思います。地形調査をした結果、南沙諸島にはいわゆる堆積物の盆地があります。またそのうち340から420億トンの堆積物がありました。こちらは今年行われた調査の結果です。
(Dr. Chua) 質問でなくコメントです。ジャン先生の研究は非常に重要だと考えています。というのは、我々も国際的なチームを作ってこの地域の研究をしたいと考えているのです。台湾大学などと協力し、また国際的なプロジェクトを作って更に研究をしていきたいと考えています。それは南沙諸島、西沙諸島そして東沙諸島における研究です。またこれには政府も協力してくれています。
(座長Dr. Chua) 次のスピーカーのホウ先生は台湾高雄市の副市長も務められています。私は3月に高雄市を訪問しました。ここには非常に美しいサンゴ礁があります。また素晴らしい水族館もありました。来年のPACON大会の時には是非水族館を案内してほしいと思います。
(Dr. Hou) ご紹介ありがとうございました。今回お話ができるということで、堀田健治先生、クロスビー先生そしてチュア先生に感謝致します。アジア太平洋地域における緊急性のある問題、そして漁業、沿岸管理、資源管理、環境保護を話し合っていますが、今日の午前中は環境問題について、特に南沙諸島がテーマになっています。私はこの高雄の埋め立てに関連したことを話したいと思います。どういう特徴があるかということで話をしますが、ご存じのように高雄市は次回の会議をするところです。工業都市であり、港湾都市でもあります。コンテナヤードやいろいろな港湾設備も整っています。船舶の停泊地で大きな漁港もあり、漁業では水揚げ高が400億ドルあります。経済が非常に急速に発展したため大量の廃棄物が出てきています。ということで環境問題、環境保護が私達が注目している一つです。そこで沖合空港、都市の埋め立てにより、これら廃棄物の処理施設を作ろうとし、1980年に埋め立てを行いました。そして90年には防波堤、護岸工事も行いました。洪水を防ぎ、人々の生命や財産を守る。そして都市のウォーターフロント産業を促進していき、一般の方々の生活にも役立つということからプロジェクトを進めて参りました。廃棄物、大気汚染から街を守るため、空そして海の運輸インターモーダルサービスのため、グローバルロジスティックスという計画を進めています。国際空港もありますが、日本の関西空港のように土地を埋め立てて島を作り、511haという面積の施設工事が第2段階に入っています。これも環境保護にも役立つということで進めていますが、同時に石油化学プラントも沖合に移しました。
多機能を持つ南西計画が高雄では進んでいます。これはいろんな機能を持つ多面的な計画で、火力発電所用にはアメリカから、またオーストラリア、南アフリカからたくさんの石炭を輸入しています。ということでこのレクリエーション広場も港湾近くに作りたいし、安全に空港を運用したいと思っています。廃棄物処理場は、第2次的な廃棄物用になります。建設現場からでる廃棄物の処理で使われるように作っています。大量輸送の交通機関については鹿島建設、清水建設、熊谷組、大林組など日本の建築業者が参加して工事を行っています。建設作業が進んでいることから、廃棄物としての土がたくさん出てきてこれを埋め立てに使おうとし、海洋地域の汚染を防ぎながらレクリエーション設備も作りスペースを提供しようと考えました。これがもう一つの南西計画の機能です。これまでは単に伝統的に捨てる土をそこに積み上げるというものであったのが、護岸を作る、防潮堤を作るということで新しい考え方になりました。中央政府がこれを支援していますが、この地域には1980年以降廃棄物処理場が作られてきました。そしてこのタイリンホの廃棄物処理場が稼働してから既に10年になります。外観もそのために非常に美しく保たれています。高雄市に行くと他の市とはかなり違うのがおわかりいただけます。非常にクリーンな都市なのです。そして非常にオープンなプランニングをしています。過去には海峡を隔てたオープンな運輸関係の会議を開いたこともありました。テンコン大学で高雄市の港湾地域だけでなく、街路部にもいろいろなごみがないのがおわかりいただけると思います。このゴミをステップバイステップで沿岸に捨てていくというやり方が以前は取られていたのですが、そういったやり方ではこれまで防護壁がありませんでした。ということで積み上げておいたものが波によって洗われ、どんどん流されてしまうことが起こっていました。このプランの目的はゴミの処理場、処分場を作るというだけでなく、廃棄物も使って処分して行こうということです。そして高雄市をこの計画によって輝ける国際都市にすることを目標にしています。港湾都市でもありかつ国際都市でもあるのが目標なのです。私たちの言葉ではコンガンといっていますが、海港であり空港であるということです。そして沖合に国際空港を作ることによって、都市部を守っていこうという考え方です。地理学的ロケーションとしてこの高雄第2エントランスの南にあるということが、これは中国鉄鋼公社から生産されるストーブストーン、そして台湾電力会社によって出てくるコールアッシュといわれる石炭の灰はフライアッシュを材料として売っています。気象条件は、冬のモンスーン期に季節風が強いことです。それは夏とは方向が違います。そして台風の季節があり、普通は38m/secの風が吹きますが、一番強い時には53m/sec程度の強い風が吹きます。そして耐震設計も非常に重要です。台湾の北西部などいくつかの地域は地震が多発するところです。キム先生からお話しいただくかもしれませんが、私どもは第20回国際沿岸工学会議を、台湾のグランドホテルで開きました。会議のあと、土曜日の早朝にマグニチュード5. 8という強さの大きな地震が起こりました。エントランスの部分に震源があり、本間先生等と一緒に調査に走ったことがありました。このプランの概念は、建設廃材の処理が重要ですが、護岸、防護壁を完成させるということも重要です。フライアッシュは石炭灰ですが、これをセメントの代わりに使いました。またストーブストーンのような材料を天然の石の代わりに使いました。防護壁の材料にフライアッシュを使い、リサイクル効果を得るという効果がありました。多目的な効果のプロジェクトを達成することができたわけです。そして海洋環境の保護もこの防護壁を作ることで達成することができます。防潮壁や護岸壁等の特別な設計のものがありますが、この防護壁の安全性だけでなく、経済性でも非常にすぐれています。この設計は特に安全性プラス環境保護を重視しています。そして2次的な汚染をもたらさないようにということで汚染防止のための施設も完備していますし、簡単に廃棄物を運んでいけるような運輸設備も整えています。埋め立て地は40haあり、第1段階、第2段階、第3段階と全部あわせて特別な設計をしています。パイプラインがたくさん入ってきてポンピングで外から石油を中に入れるような形にしています。250haの面積があり、完成すると大量交通機関まで入れて300haになる予定です。このプロジェクトは詳しくは紹介しませんが、各地域においていろいろな活動があります。防護壁の長さが非常に長くなっています。先ほども紹介しましたが第1段階では50ha第2段階では150ha、第3段階では170haを加えて370haになるという計画です。ここの廃棄物にはスラグやフライアッシュ等もあります。そして外側の地域においての埋め立ては防潮壁として非常に上手い処理ができています。ですから2次汚染は出ていないということです。この廃棄物はどこにでも投棄されると多くの環境問題がおこってしまうので、それを防いでいるわけです。
最後に申し上げますが、非常に急速な経済成長のために、高雄市では産業の発展が高度に進みました。港湾地域においては、産業的なレクレーションエリア、沖合のエリアの開発が今後望まれています。それが全体の港湾のアレンジメントに組み込まれる形となっています。高雄、香港、上海、これを3つつなぐとゴールデントライアングルになると言われています。このトライアングルの中にあるのが、非常にハイテクな高度に進んだ経済成長地域というわけです。この南西計画の実施について、完壁なプランニング設計、材料、技術的な援助があり、広州では全く汚染の問題はないといわれています。そして新しく都市部の面積が増えて、都市的な建設が進んでいます。そしてこの財務的、行政的な支援がこの経済計画開発協議会というところで計画されています。この環境保護アドミニストレーションから非常に多くの支援が得られています。たくさんの建設現場があり、そこからいろいろな材料が出てきています。キーストーンの設置などの作業も行われています。これは害のない廃棄物を使った埋め立て作業で、こういった建設材料での埋め立て全てにストーブストーンといわれる材料の投棄も行われていました。特にこの廃タイヤを使った防護壁は、波の影響を防いでくれます。特別なコンクリートを使ったゴムのタイヤの中に埋め込んだような形の防潮壁も作られています。ここに紹介するのが南西計画のランドマーク的建築物で、多機能なファンクションを持った計画です。
日本の関西空港は沖合に作られたもので、511haという広さがありますが、今度は第2段階で滑走路がもう一つでき、4つがこちらの方向になります。この工事で1, 000haになると言われています。高雄市を大量高速輸送機関にし、ここから接続をするのです。日本の神戸、大阪と同じように騒音を防ぐというのが目的で作られる空港です。大阪は日本の第2の都市でしたが、空港が非常に混雑しているため人口が減り、横浜が第2の都市となっています。横浜は沖合へどんどん拡張しています。今も南本牧の地域がどんどん再開発を進めて、商業港としての役割が増えています。そのためにまた人口が増えたとも聞いています。横浜から羽田空港へという流れがあるようです。同じような状況が私どもにもあり、この沖合の空港を使うことによって15, 000隻のコンテナ船を入港させる事ができます。ですから高雄市では空港もあり海港もありますし、陸上基地もあります。大量高速輸送交通機関もあるので、陸でも海でも空でもそして高速道路による輸送も非常に安全です。ですから是非皆様がたにおいで頂きたいと思います。高雄市は商業的な産業の港湾だけでなくレクレーションとしての港湾もあるので、高雄市周辺を楽しむことができます。国立大学も近くにあり、学内には海洋科学工学の学部もあり、多くの研究者がいます。ということで、高雄市は非常に輝ける国際都市になりつつあると思っていますので、是非おいでいただきたいと考えています。私の話の内容を皆さんの目で確かめていただければと思います。ありがとうございました。
(座長 Dr. Chua) ありがとうございました。高雄市の開発計画についてご紹介いただきました。第2部は南沙諸島の環境問題の優先順位を話し合いたいと思います。これまでの午前中のプレゼンテーションでは、中国、台湾を中心に発表が行われました。そのほかの国の参加者の方々、またそれぞれの知識などを伺えればと思います。さてフィリピンでは、この南沙諸島に関して調査を行ったということでした。この件でフィリピンの調査研究について共有できることがあるかという質問ですが、フィリピンだけでなくマレーシア、シンガポールそしてベトナムの参加者の方もいらっしゃいますので、既に南沙諸島の研究を始めているか伺います。
(質問)私がお聞きしたいのは、なぜ南沙諸島のサンゴが破壊されているかということです。二つ目の質問は、重金属はどこから来るかです。またその二つの質問を関連づけてお聞きしたいのは、石油による汚染、例えば石油流出による汚染についてです。
(座長 Dr. Chua) 最初の質問ですがサンゴ礁が破壊されていることについてでした。我々が調査した結果、特にこのサンゴ礁の一部が破壊されているのが分かりました。また中国では我々専門家の多くがサンゴ礁の破壊にはいくつかの理由があると考えています。例えばその一つは漁業によって影響を受けていると考えています。またいわゆる嵐による被害も考えられます。それが二つの主な理由ではないかと思います。これまでのところサンゴ礁の研究はつまり量的な調査結果は行われてなく、質的な研究しか行っておりません。また主なデータ結果は数年前のものです。ですから最新のデータがありません。また二つ目の質問の、重金属の汚染がどこから発生しているのかですが、それは非常に興味深いものです。南沙諸島ではこちらの堆積物に非常に高い値がありました。石油による汚染は、一般的にはもちろんサンゴ礁に影響を与えます。しかしこれまでのところ、南沙諸島では、石油汚染は起きていません。1箇所か2箇所で石油汚染のレベルが高いところがありましたが、その地域で石油掘削が行われたのか、自然な形で石油が流出しているのではないかと思われます。
(Dr. Hou) それについてコメントを付け加えさせていただきたいと思います。3つの質問とその回答がありました。観測されたサンゴ礁の状況は、正確には漁業による破壊がその理由です。もう一つの理由はサンゴ礁で白化現象が起きているとおっしゃいました。私もれが全般的に影響を与えているのではないかと思います。また、汚染に関しての質問ですが、調査した結果、石油汚染が発見された場所は私の記憶が正しければ、いわゆる石油タンカーが頻繁に航行しているところではないかと思います。もちろんあなたが話されたように自然な原油流出も考えられると思います。2,
000隻のスーパータンカーがこの航路を航行していることでその影響もあるのではないかと思います。またご質問の答えとして、あなたが紹介されたデータが示すのは非常に興味深いデータでした。この地域のこれまで研究が行われた場所は非常に限定的だということです。私は長期的な観測所を設けることが必要ではないかと思います。また一時的にでもそうした形での観測所を設けることによって、この質問への答えも見つかると思います。こうした提言を午後にも是非有効に活用してパネルディスカッションとして行いたいと考えています。
(質問) 二つ質問があります。ホウ先生に伺いたいのですが、中国は南沙諸島の水質について観測するため20回の航海を行ったということでした。綿密な研究を行ったということですが、この点で生物多様性について伺いたいと思います。またサンゴ礁については、どれだけの種類のサンゴ礁があったのか、それとハードコーラル、ソフトコーラルの種類があったのかということです。それが一つ目の質問です。もう一つの質問は、南沙諸島における堆積物の汚染についてです。
(Dr. Hou) ご存じのように南シナ海、特に南部そして南西部は非常に生物多様性の豊かなところです。またこれまでのところ約200種のサンゴが見られました。それ以上あるのではないかと思いますが、観測した限りでは約200種が発見されています。また汚染源としては一般的な答えとして申し上げます。というのは先ほど石油による汚染について申し上げました。1箇所の観測地点においてはこの観測地周辺に油田があるため、また石油の掘削が行われたため汚染があったと思われます。海底からの自然な原油漏れによっての汚染もありました。重金属汚染はこれまでのところ、どの場所からどのような形で、汚染源といえるような存在は研究がまだ行われていません。ですから一般的な答えしかできません。一つ申し上げたいのは、石油汚染がタンカーから来ているのかどうかを特定するのは難しいと思います。現地に入る漁船も数多く航行していますし、それが水の中に排水として流出しているのかもしれません。またスーパータンカーだけでなく、小さな船の中には国際法を遵守していないものもいます。ですから、そうした小型船、中型船などから流出する油による汚染もあると思います。またサンゴの種類については、約200種と紹介されましたが、その点について申し上げたいのは、南シナ海は生物多様性の中心の場所だと考えています。南シナ海から離れるとその種類は減ります。南シナ海に近づけば近づくほど種類が増えています。そこに南沙諸島の存在理由の一つがあると思います。これは地域的な協力の基本的な質問に答えるためには非常に有益だと考えています。中国の先生方のプレゼンテーションだけでも非常に重要な情報がありました。また現在の研究で皆様に提起したい質問ですが、生物多様性に貢献しているのでしょうか。もしそうであればそれについての量的な確認ができるのでしょうか。
(Dr. Bengen) 一つ申し上げたいのですが、南シナ海における生物多様性についてです。なぜ生物多様性がこの地域で高いかといえば、これは小さな島々によって囲まれているからです。ですから汚染またサンゴの生物多様性というものもこの小さな島の周辺では非常に高いのです。ですからそのためにインドネシアでは多くのサンゴの繁殖地の中でも700種という多くの種類を誇っています。ですから南シナ海全般について生物多様性について話し合うとき、この周辺を取り巻く小さな島々を考慮に入れなければならないと思います。この小さな島の周辺のサンゴ礁がフリンジングリーフというものになっているからです。南沙諸島は非常に小さな島の集まりですから、生物多様性の面からも非常に重要なのです。
(Dr. Guerrero) フィリピンでも南沙諸島の研究が行われています。こうしたサンゴの種類ですが、南シナ海とは違うと思います。というのはインドネシアは緯度が0度に近く、赤道直下に近いのです。しかし南シナ海は北緯5〜10度に位置しています。ですから南シナ海における生物多様性は太平洋に似ています。インドネシアは太平洋とインド洋の種が入っていると考えられます。また天然資源としては大変有効です。二点目に、環礁における嵐では、冬の台風によって侵食が起きます。将来的な汚染は航海する船の移動によるとも考えられていますが、ここで考えねばならないのは、開発が行われているということです。例えば油井の近くでは非常に汚染が進んでいます。340から420億トンの天然ガスがあると申し上げましたが、これをめぐって国際的な戦争になるかもしれません。
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