(座長Dr. Crosby) 今日の午後の部のセッションでは、南沙諸島の環境問題での議論を続けていきたいと思います。私どもの提案は次のように進めたらいかがでしょうか。まず初めにパネルメンバーにそれぞれ何かコメントを話していただこうと思います。具体的な点を提起していただく。特に午前中に発表をしなかった方からの発言をお願いし、今度は参加者の皆様に何かご意見を伺います。何かご発言があるという場合は、特に自由に発言していただきたいと思います。フランクで率直な意見交換としたいと思います。この南沙諸島の問題は常に政治的な問題でした。政治の問題を入れないで、科学的な学問的な学者の共同研究でどういうことができるかといった問題に絞って話をしたいと思います。それでは最初に申し上げたいのですが、実際的に私たちに何ができるかに絞って、これまであったような制約条件に注意を払って話をしていただきたいと思います。この南沙諸島の問題は、常に継続的に議論がされてきました。この地域における主要な努力はこの問題を是非解決しようということで、不一致や不和を促進するのではなく、解決するような方向で学問的な面から話をしたいと思います。何回かこの問題を地域的な大きな枠の中で協力できるかということで私は考えてきたのですが、大変困難な課題であり、かつ実行が困難であるということはよくわかっています。ある一人の当事者だけが満足であるというわけにはいかないのです。これまで過去のいろいろな努力の試みを踏まえた上で、そしてそれぞれお互いの努力を相互に補完し、そして前進するというやり方で進めていきたいと思います。しかし過去5年間を見ると、既に非常に意を強くするような兆候が各国間の共同作業で生まれてきています。ある国はもっと開放的な態度をとり、より協調的協力的な態度で問題に対する努力を始めています。そこで何が欠けているかというと、私自身の経験からはっきりした環境的な問題、全ての国に係わりがあるような環境問題のコンセンサスが必要だと思います。今朝の話し合いの中で島についていろいろな話し合いをしましたし、地質的な話し合いもしました。どの部分から始めていけばいいのかと思います。特に安全な航行についてはどの国も反対はないでしょう。航海について、海洋法を遵守していくということについてはなんの反対もないはずです。しかし海洋環境資源という問題については各国がそれぞれ利点を持っているという面もありますが、全ての人がそこから利益を得るような関係を作っていければと思います。その知識を集積させることによってそれぞれの状況に合った形で、どういう利点をそこから引き出すことができるかという観点で考えていきたいと思います。午前中の話の中で、生態学的な連結性という問題も話し合いました。どのようにすればフィリピン、インドネシアやマレーシアがこの生態学的な問題に利点を引き出すことが出きるのか、中国、ベトナムの調査活動から、具体的な問題に取り組む中でどういう利点を享受することができるのか、これはパネリストにとっても参加者にとっても大きな挑戦課題だと思います。般的なコメントを私から出しましたので、今度はパネルメンバーのロング先生、ゲレロ先生の順番で何かご発言があれば伺いたいと思います。
(Dr. Long. ) ご紹介ありがとうございました。またご参加の皆様ありがとうございます。ではまず最初に私から情報を紹介したいと思います。これまで調査研究活動として、南沙諸島に対しベトナムがどういう活動を行ってきたかという歴史を振り返ってみたいと思います。我々はこれまでに生物多様性の問題、海洋のいろいろな環境状況について調査しました。今日の中国側の調査研究の歴史を振り返ってみると、南沙諸島に関連する研究では1926年にフランスの研究者が南沙諸島にたどり着いたことに始まります。この研究者は海洋学者だったのですが、フランスの船が1927年、30年、33年にかけて調査研究を行い、併せてベトナム側からも同行しました。そして38年にフランスが海洋学研究センターの研究拠点をパラワン島に作りました。この地域の群島に属する研究所は、1981年に共同研究として極東研究所、海洋資源研究所をロシアが設け、ベトナムのハイフォン漁業研究所、ニャチャン海洋研究所が共同研究として86年に調査活動を行いました。そして現在に至るまで多くの調査研究活動が西沙そして南沙の海域で行われています。海洋学的な研究で大がかりなものとして行われたのはこの西沙諸島についてであり、ここでは環境などについての調査が行われました。南沙諸島の近くで調査を行った結果として、統計数値によると1980年から90年に至るまでに496回の台風が来ました。14回の強い風、2回は大嵐がありました。1961年から80年の間には75個の台風がきました。19個は太平洋で発生したもの、35個は南シナ海で発生したものでした。平均気温は摂氏27度で最高気温は34度、そして最低気温は21度でした。南沙諸島の平均年間降水量は2,
378mmで、最少の年間降水量は1948年の675mmで、一番多かったのが1980年でした。ここの潮汐の特徴ですが、南沙諸島では最高潮位が2mで1988年6月に記録されたものでした。年間の潮流は10cm/secでした。この地域の水の循環は、2m〜20mの深さにおいて海水の循環があり、直接的なものとしては27から28%の頻度そして48%の頻度になっています。生物多様性については、最初の主要な生産性が20から40mg/m3となっています。また56の種を発見し、59種の動物プランクトンが記録されました。先ほどの植物性プランクトンや79種の海草が分かっています。そしてサンゴ虫は、ナミエット島において164種が確認されました。46種が一般的なもので、18種はファミリーでした。南沙諸島海域では147種のサンゴ虫が発見されています。39種のモロスも発見されています。政府が関心を持つ開発により西沙諸島での漁業資源開発が行われています。こちらは2001年から始まったものですが、800から1,
000の漁船がこの西沙諸島で漁業を行っています。また将来的には、中国、台湾、香港などからの漁船がこの地域で漁業を行います。この地域では漁業が行われていますが、あいかわらずダイナマイト等を使う破壊的なやり方や、化学物質を使う漁法が続いています。これらは海洋資源に大きな影響を与えており、生物多様性にも大きな影響を与えています。またサンゴの過剰な開発、乱獲などが行われることにより、この地域での回復が難しいのではないかと考えられています。更に船の航行方法により群島に影響を与えているのではないかと思われています。この地域においては、800から1,
200の漁船等が往き来しています。最低限の数字では200から300隻の船による漁業が行われています。波の穏やかなときには漁船等が1, 200隻でることがあります。それとモンスーンもこの地域のサンゴの発達に大きな影響を与えていますし、強風も影響しています。ありがとうございました。
(座長 Dr. Guerrero) 非常に内容の濃いご説明をありがとうございました。ではパネルディスカッションの前に一つコメントをいたします。
南沙諸島についてはそれほど申し上げることはありませんが、海洋資源の開発について伺います。私たちはR&Dプログラムという事業を行っています。これはいわゆる天然資源、海洋資源の研究を行うものです。またベトナムの方がおっしゃったように、我々もこうした海洋研究を行っていますので、もっと詳しい説明を知りたい方は私の方に来て下さい。私が係わった研究に基づいて紹介しますが、中国の方が紹介したように、サンゴ礁の状況は非常によいと思います。しかしダイナマイトや青酸カリなどを使った漁業によって、サンゴは被害を受けています。この地域にはグルパーやナポレオンフィッシュなどの魚がたくさん生息しており、監視船が密漁などの摘発を行っています。ベトナム、台湾と共に協力して南シナ海での研究を行っています。インドネシアとも科学者間で共同研究を行っています。この地域に生息するジャイアントクラブの生息数を増やすための努力も行っています。フィリピンでもそうです。また良いニュースとしては近隣諸国の協力の下にこの研究を行っていますし、時には集まってサッカーをしたりもするので、非常に親睦を深めるというかたちでは上手くいっていると思います。海洋資源の保護の観点から、研究、監視、コミュニケーションに関して、国際的な協力の余地があると思います。そして現地の生物多様性保護のために協力ができると考えられています。以上が私からのコメントです。政治抜きの学術的なコメントということで、これくらいにとどめておきたいと思います。ありがとうございました。
(座長 Dr. Chua) フィリピンのプロジェクトについてのご説明をしていただきました。ではここで参加者の皆さんと共に、ディスカッションを積極的に行っていきたいと思います。またこの海盆等についての話し合いができればと思います。南シナ海の研究で、リスクについての話し合いが行われました。また今朝の例では中国の方からのご指摘もありましたが、すでに様々な形での情報提供が行われています。数多くの情報がサイトに掲載されているので、この点についても説明しておきたいと思います。もう一つ申し上げたいのは、国際的なインターナショナルコーラルリ一フネットワーク(ICLARM)がコネクティビティーの研究として南シナ海におけるサンゴ礁の共同研究を行っています。南シナ海に面した全ての国が参加しているわけではありませんが、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナム、台湾が参加しています。今の段階では中国は参加していませんが、ノンコマーシャルのリーフスピーシスというものでサンゴ礁の研究対象を選んで、対ソロモン諸島などでサンプルを選んで研究を行っています。この中では遺伝子的な関連性について研究を行っていて、商業的な開発の危機にさらされていないものを選んで研究を行っています。この分野についてはまだ多くの余地が残されていると思いますが、これまでは小規模な形での遺伝子レベルの関連性について研究が行われてきただけです。しかしここでもっと一般的な指摘をさせていただきたいのは、科学の役割そして科学が提供できうる知識について、そしてそれによって国家間の架け橋が築けるのではないかと考えています。私は個人的に科学は非常に重要だと考えています。どのような天然資源があるか、どのように関連性があるのかを理解する上で科学は非常に重要だと思います。また最近世界で起きている紛争を見る限り、仮定的に、つまり資源が存在するということが紛争の発端になりうることがあります。例えば10年前に社会科学者達が警鐘をならしていたのは、今後天然資源が枯渇していくため紛争が起きるだろうということでした。例えば漁業資源は過剰漁業によって資源が減り、各国が天然資源をめぐって争うのではないかと言われました。また世界各国で多くの国々がそれを仮定として選んでいました。これは漁業に限ったものではありません。こうした研究で明らかになったのは実際に生じている紛争は、天然資源が減少しているということではなかったということです。そして今状況は一変していると思います。天然資源が入手できるということが紛争の原因となって、各国がその天然資源をめぐって闘いを繰り広げています。ですから、南沙諸島の問題はそこに存在する天然資源が明らかになればなるほど、紛争がかえって起きるのではないかと思います。例えば原油、天然ガス、そして漁業資源などを考えてみれば更に紛争が起きる可能性が増えるのではないかと思います。
(座長) 非常に興味深いご質問でした。パネリストの皆さん、会場にいらっしゃる皆さんの中で、コメントをしたい方もいらっしやるかもしれませんが、その前に歴史を振り返ってみたいと思います。と言うのは、南沙諸島をめぐる闘いは20世紀の後半に生じています。南沙諸島の情報が明らかになればなるほど、天然資源が紛争のきっかけを担ったのがわかります。その意味で60年代、50年代、40年代には南沙諸島については誰も心配していませんでした。人々がそこに何があるのか知れば知るほど、誰でもそこに行って旗を立てることができたのです。しかし今非常に政治的にデリケートな問題になってしまっています。みなさんもご存じだと思いますが、それを指摘した論文があります。南沙諸島にある天然資源としての石油の量ですが、当初考えられていた量よりは少ないのではないかと言われています。また主権の問題もあります。各国は依然そうした基調に基づいて展開しているのだと思います。というのは国威が係っているからです。そこで、我々はどのような役割が果たせるか、どのような新しい情報を入手できるのか、そしてそれによってより広範な協力、相互の国の理解というものを深められればと思います。
(Dr. Crosby)私は強い信念だけで知識ベースを広げるだけでなく、学問的な能力を向上させるだけでもなく、学問を通じて私たちが長期的に資源を保存し上手く使っていく能力も高められるのではないかと思っています。中東ではヨルダンでもイスラエルでもそういった方法を採ってきましたし、それで上手く成功しています。世界各地でこういうことを行うについては政治的な困難がありますが、中東ほど難しいところは他にはないと思います。実際に興味深い問題の質問として取り上げられたのは、国際的なサンゴ礁のイニシアティブを、また各国のサンゴ礁プログラムとして私たちはどこが産卵場なのかを知りたいのと、それが解れば漁師がそこに行ってみんな取ってしまうでしょう。こういった資源についてどこに何があるかが分かればそれを取ってしまう、利用してしまうという仮説があります。知識だけを求めて、知識ベースを拡大するということでは終わらないのです。それよりももっと積極的に先取りをして知識を使ってそれを共有していき、最終的には反応するということでそれぞれの個々の組織がそれを利用することになるでしょう。もちろん知識がそこで得られ、そして最初は強調していくでしょうが、知識を得るということで資源をうまく管理することに上手く繋がっていくのかどうか、それが上手くいった実例があることを私は申し上げました。
(コメント 1) 私は再確認したいと思いますが、ちょっと違う文脈から見てみたいと思います。国のプライドがあり、場合によってはそれがある特定の決断に達することがあります。国と国との関係は非常に実際的であることもあります。より多くのことが資源について解ってくればくるほど答えが実際的になるという傾向が強いと思います。石油・ガスの問題は置いておいて、非常にエキサイトメントで利益を生むものであるため、天然資源としてその地域にあるものが適切に管理されず劣化してしまう。そしてそれに対するアクセスを持っていたとしてもそれが失われてしまいます。生物的な天然資源においてもこのシステムがどう動いているかを知ることが、実際に利点になるかという問題があります。そこから上手く利用できる人は、なんとか最適な利用の方法を考えなければいけません。それからもう一つは、南沙諸島の南シナ海における役割は、現在の国境紛争以上のものがあると思います。天然資源の利用の仕方を最適化するということは、こういった資源についての知識が最大限に利用されてこそ産まれるものだと思います。他に何かご意見があればどうぞ。
(コメント 2) 私も今の発言と同じ考えを持っていますが、適切な学問の利用の仕方がより広い文脈からの回答に繋がるのではないかということです。例えば、持続可能な資源の利用は、基本的に資源を示した活動のコントロールとガイダンスによるものだと思います。そうなると人間の活動をコントロールしなければ資源の搾取もコントロールできませんし、持続可能性も維持できません。ですから結局は何に帰着するかというと、人間の活動をコントロールするパワーになると思います。パワー、権力、権限が存在し、国際的に協力することができるのであれば学問的な問題に答えることもできるでしょう。それは基本的に管理者、科学者等いろいろな分野の専門家が協力するということで、クロスビー先生が話されたことからも生まれてくるでしょう。しかし実際に何にどのような利用価値があるのか、どのように利用する事ができるのか、どんな利用方法が使えるのか、その方法の中でどれが一番破壊的で、どれが利用に対して一番集約的で、自然のメンテナンスプロセスを上手く活用できるものであるのか、また持続できるのか、生態学的なプロセスがこの生態系に対していい面で働くように持っていくことができるかということです。私自身の考え方は、一旦この管理という問題を見ると、ある角度でどんな人間的な活動を私たちが指導しコントロールし、指摘、規定する事ができるかという問題があります。そしてその次に、学術的な側面として管理の問題が出てくると思います。ですから私も科学者の端くれであり、マネージャーの端くれでもありますので、情報マップを作り、これが必要な情報であり、その情報を共有し、上手く使っていくことができるのではないかと思います。
(コメント 3) 非常に大きな挑戦課題だと思いますが、どの程度まで管理の手法がこの段階で考えられるのだろうかと思います。これまで過去においても努力がなされ、何らかの合意を導こうとしてきました。この情報収集についてこれは充分には解決されていないと思います。より複雑性を増しています。私たちが想像以上に複雑な問題であると言わざるを得ません。
(座長 Dr. Guerrero) では中国からご参加のパネリストに聞いてみたいと思います。私たちがもっとどのようにして科学の面で天然資源や生物多様性の保護、保存に貢献できるのだろうかと思います。そして南沙諸島にはどのようにしたら貢献ができるのだろうかという疑問です。過去の問題を十分理解した上で前進する方法があるのでしょうか。もう少し協調的なやり方で科学者が力を合わせてこういった環境的な問題に対処していく方法があるのでしょうか。現在は、南沙諸島の相互的な環境保護の努力をはじめるスタート地点に立っているのだと思います。私たちはお互いがお互いの立場を知り、お互いの意見を知り、その上でお互いの立場を理解することが第一だと思います。そしてその上で国際的な協調、協力、努力が必要です。国境の問題が絡んで非常に微妙な問題ですから、私自身もなんとかトラブルには巻き込まれたくないと思います。しかし人々が一緒に座って過去について歴史的な伝統についても考え、そして現在のスタート地点について考え、人類全体の将来について考えるときは、何らかのいい方法が見つかるはずだと思います。それから管理者、政府の人々、学問をやる科学者も一緒になってもっと多くの知識を得ていかなければならないと思います。多くの意志決定をしなければいけないのですが、個人の意志があったためにトラブルが起こるということも多かったと思います。
(Dr. Quiaomin) 私たちは、段階的な一歩一歩を進めるというやり方を取っていきたいと思います。この問題をどう解決するかはここでは答えが出ません。問題なのは、私たちが海洋科学技術についての会議からの結論として、何らかの勧告をPACONから行うことが国際的な協調、努力になるということで、現在の状況をより充分に認識し、南沙諸島における将来起こりうる変化について話しあい、そしてそれについて勧告することに価値があるのを認識することです。私はワン先生に全面的に賛成ですが、どのようにしてこの非常に複雑な問題を解決するかです。行うべきかどうか、望ましいことなのかどうか、科学の面から望ましいことかどうかということをまず考えるべきではないでしょうか。いろいろな本を見ても、また国際的な会議も沢山あります。本もたくさん出ていますし、どれを見てもはっきり書かれていることは資源管理というものは知識が多くあればあるほど上手くいくだろう。そして科学的な評価も上手くいくだろうというつながりがあります。こういったことを是非私たちが注目すべきだと思うのですが、これについてパネリストの方々は実際に価値があると思っていらっしゃるでしょうか。フィリピンとベトナムの方からも発表がありましたし、マレーシアの方ともお話致しましたが、そこでは国際的な何らかの活動が既にスタートしているということでした。そういった活動を継続し、拡大することに価値があるというふうに思っていることが表明されていましたが、それについて他の方々はいかがでしょうか。
(座長Dr. Chua) 私はいくつかの指摘をしておきたいと思います。アプローチとしては、まずサイエンスの問題をどのようにしてここに持ち込むのか、その問題にどう焦点を当てていくかという光のあて方です。国際的な協力・協調が必要なのか、地域的な協力・協調が必要なのか、あるいは2国間の協力・協調が必要なのか。こういった問題も一つの考え方だと思います。まず最初の質問として環境的な集合的な努力で、環境問題について国際的な協調・努力をする価値があるのか、そしてどのようにして前進したらいいかです。私たち全ては、個人の資格でこの会議に参加していますが、ここでの議論は誰かをトラブルに巻き込むという様な性質の議論であってはならないことを確認しておきたいのです。誤解を生じないようにということで座長から申し上げておきます。この問題をうまく取り扱っていきたいと思うからです。一つは経済開発、発展という側面、もう一つは保護という側面があります。これはもちろん経済開発に伴っていろいろなものが全部上昇していきます。人々が力を合わせてディスカッションするのも、そこから生まれます。これは学問的な学術的なディスカッションで、もちろん将来はそれが重要になってきますが、それでも非政府組織だけでなく、国連等が是非注目してここに力をあわせるという側面を強化していただきたいと思います。プロジェクトとして人々が力を合わせていろんなディスカッションをすることも将来の推進力になると思います。
(Dr. Crosby) 簡単に申し上げます。PACONは政治的には中立なグループです。その立場から南沙諸島の環境問題についての純粋に学術的な提言を行うのに適切な立場にあると思います。それに加えて、この会議の開かれ方を見ると、非常に注意深く選ばれていると思います。つまりこれまでのいろいろな各当事者が、中立的な立場で会合が出きるように、各国の科学者ひとりひとりが何らかの貢献をできるようにという配慮がなされていると思います。
私は今日皆さんが行ったディスカッションに賛同してはいますが、いくつかの疑問点もあります。例えば科学的な研究や漁業の問題は非常に難しいと思います。私が伺ったところでは、南沙諸島の多くの島々では、軍事的な拠点もあるといわれています。そうした場所は入るのは非常に危険なのです。ではそこでは漁業は行われてはいないのでしょうか。それとも専門家もその地域に入ることができないのでしょうか。その点での事実背景を伺えればと思います。
(コメント 4) 今朝のディスカッションに私は非常に感銘を受けました。南沙諸島は海洋の生物多様性の要になる場所だと考えています。ですからその意味での提言は必要だと思いますし、また協力も必要だと思います。しかしいま話すべきはこれからどのように協力すべきかだと思います。これは近隣諸国だけでなく、即ち、この南シナ海と南沙諸島に面する6ヵ国だけでなく、国際的な協力が必要だと考えています。ここで伺いたいのはこのような協力体制をどのように作って行くかです。私はこの協力関係に非常に高い関心を持っていますが、どのような形でそのシステムを作っていくのか。その件について話し合いが出きればと思っています。
(コメント 5) 私も同じ意見です。というのは、この環境問題は非常に広範な問題だと考えているからです。しかしまずこれは国際的な問題だということ、そして2つ目はこの地域においての決議案が必要だということです。また今回のようなプレゼンテーション、ディスカッションは非常に興味深くまた専門家にとっても関心が高いものです。ですから、我々はこれからももっと協議を重ねるべきだと思います。またどのような形で対応していくか。それを考えるべきだと思います。
(座長Dr. Chua) では各国政府はどのように考えているのか、見解はご存じでしょうか。
(Dr. Crosby) 私が知る限りでその質問に対するお答えを頂ければ、これまでの学際的な研究、そして私が係わってきた各国にまたがる国際的な協力関係に基づいていえば、非常に価値があるということです。もっと包括的なインターナショナルな場合二国間のこともありますし、もっと多くの国々について捉えることもできますが、この持続的な形での海洋資源の開発のため、そうしたことが必要だということで価値があります。そして2段目はもしそれに価値があるとしたら、どのような形でその制度を作るかということです。また私の中東の経験から申し上げれば、諮問委員会などの設置が必要だと思います。この委員会の中には関係当事者の代表が参加し、科学者としていわゆる天然資源を管理する立場の方々の参加が必要だと思います。またどうやってそのような形でこの国際的な科学プログラムを計画し実行に移すかです。その基本的な責任は、この諮問委員会に係っていると思います。ですからその意味では既にIUCNという国際的な機関がありますから、ここがこの問題についての提言を行っています。2002年3月に台湾で会議を開き、決議案を出しています。先ほど私が申し上げましたがこの決議案は既にそのほかの機関によって採択されており、前進を始めています。ですから国際的な機関が本当にこれが大事なのかを考えるべきですし、既に一つの国際的な機関がこのような決議案を採択しています。そこでPACONは一つの課題として設定したいと思います。それはPACONは環太平洋をまたぐ専門家の集まりだからこれを母体として、ここに集まっている皆さんに対し、このような形での決議案をPACONが後押しし、採択してくれることを願いたいと思います。そうした好機を我々は今抱えていると思います。そしてそれをサクセナ教授、堀田教授にも提言したいと思います。ではIUCNがこのような形で同じような勧告を行うのか、そしてPACON等がその件についてノーコメントを貫くのか。この件に関してコメントを行うべきではないのでしょうか。何かを行うことがPACONの意義だと思います。私は補足的に申し上げたいのですが、こちらは堀田先生に申し上げたいと思います。このフォーラムを将来のための提言ということにしていただければと思います。例えば2年毎に我々は南シナ海のフォーラムを開いています。そして私たちには更なるディスカッションが今後も必要だと思います。例えば意見や問題、そしてお互いの違いを埋めるための努力も必要だと思います。そうしたことを提言したいと思います。
(Dr. Saxene) 私自身は問題が何なのか熟知をしておりませんが、イン・ワン先生からのコメントを伺い、ジャン先生の研究を伺いました。また時にこの座長をなさっているチュア先生のコメントも伺い、国際協力の重要性について紹介されました。ですからその意味では提言を行うべきだと思います。また明日のミーティングではワン教授などが結果報告という形で決議案としての意見を提起できるのではないかと考えています。
(コメント 6) まずここで申し上げたいのは、わたし自身は南沙諸島についてそれほど知らないのですが、しかし午前中のジャン先生の包括的な監視プログラムについてのご説明を聞きました。ここでわかったのは、まだ問題は存続しているということです。今日の午後はロング先生がベトナムの問題について紹介して下さいました。またウィリアムズ先生が現在行われているプログラムである国際的な協力について紹介していました。またPACONのこの地域への関心というものもあるのでPACON自体がこのようなプログラムを、そしてこうしたプロジェクトを集めてそれを育成していけたらどうかと思います。お互いのフォーラム担当者、研究グループというものがそれをお互いに相互に情報を交換しあい、PACON自体がそれを監視プログラムという形で強調し、そしてお互いに補完的な形で研究を行うことができればと思います。その方が新しいプロジェクトを一からはじめるよりは簡単だと思います。
(コメント 7)もちろん皆さんは協力する事が必だと実感していますし、このシステム全体を見て研究するために必要だと考えています。しかしそれをスタートさせるためには、各国が正式にお互いに連絡を取り合うことが必要だと思います。というのは各国においてそれぞれ成すべきことが数多くあるからです。例えばPACONのような学術、研究団体が国際的な機関や省庁と協力できればよいと思います。そしてこの地域全般に及べばと思います。また資金を得ることによってこうしたプログラムを存続することができれば、考えているよりもっと早く進むと思いますし、また相互の関係にとってもより強固なものになると思います。また何をどのように行うかということ、そしてその計画段階においては資金の供給を考えていかなければならないと思います。
(Dr. Bengen) その件について私の意見を3つに分けて申し上げたいと思います。まず南沙諸島を資源の面から見た時に、資源があるという場合には紛争の火種になることは否めないと思います。しかし南沙諸島はインドネシアの他の島々と同じで、再生可能ではない資源というものの観点から見るべきだと思います。というのは、この資源が再生可能な資源ではないということです。サンゴ礁や魚などのような再生可能な資源を考えた場合、そうしたものはIDカードを持っているわけではありません。これは全地球市民のものなのです。そしてこの生態系は地球市民のものなのです。ですから2つ目の点として南沙諸島を見た場合、協力のためにはこのような再生可能な資源に焦点を置くべきだと思います。たとえば資源としての漁業は、ベトナムでは違う情報があるかもしれません。また中国でもその方法は違うかもしれません。しかし草の根レベルの人たちは同じ資源を利用しているのです。科学的面での貢献のために、科学的委員会を設置し立ち上げて潜在的な条件を判断し、生体系のシステムを考えるべきだと思います。また政治の影響を受けない、独自の意見を乗せるべきだと思います。例えば、インドネシアでは最近東ティモール問題がありました。また東ティモール海峡においては、天然ガスや石油資源などの問題がありました。そうした点では協力できるのではないかと思います。共通の資源をどのような形で利用するか、そしてその資源を一国の国益のためのみならず、全ての国々そして世界のために使うことはできないかを考えるべきだと思います。こうした中、再生可能な資源という場合、問題は難しくなります。ですから科学がどのように貢献できるか、こうした天然資源を管理するためにどのように貢献できるか、この地域においてどのような活動ができるか、もし我々が科学的な委員会を設置する事ができれば、その科学的委員会が潜在的な条件を考えることができればそれを南沙諸島に適用し、その情報をこの地域の国の政策に活用できればと思います。
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