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(座長 Dr.Holmes)沿岸地域の定義というのは誰もわかっていないわけですから、それが問題です。次の講演はベンゲン先生です。インドネシアのボゴール農工大学で教えておられます。
 
(Dr.Bengen)ありがとうございます。私のプレゼンテーションは他の2人の方のプレゼンテーションを補うものです。ICLARMの問題とそれ以外の話をする前にICLARMの問題を紹介します。
 まずインドネシアの話ですが、インドネシアは世界で最も多くの島々で構成されている国です。インドネシアと他の東南アジア諸国との違いは、インドネシアが17,000の島からなっていることです。そのうち6,000の島に名前がついています。この島々には人が住んでいます。しかし考えなくてはいけないのは、この全ての距離を考えてみるとインドネシアの西の部分と東の部分との距離が5,000kmもあるのです。そしてインドネシアには約300の民族と50の言語が存在します。これら全ての地域の中で様々な観葉生物等を見つけることができます。マングローブの30%はインドネシアにありますが、経済危機によりすべての資源は今、減ってしまいました。政府には自治法22条がありますが、これは地域レべルで天然資源を管理する権限を持つというものです。政府は天然資源を管理する場合にはこの自治法を守らなければなりません。沿岸資源管理では、様々なグループ、様々な民族、言葉がありますが、インドネシア人の多くはこれが包含的なオペレーションであるということを理解していません。これは資源のユニークな保護策であるということを考えなくてはなりません。デシジョンメーカーのレベルから言うと、同じ理解である必要がありますが、もっと下のレベルの人達になると教育の問題もあります。同じコンセプトは考えられていません。政府は地方政府に対してこの理解を深めてもらおうという試みをしています。第2に沿岸資源管理とはどのようにして様々な海洋資源を利用していくかということです。もし沿岸海域の資源を管理したい場合にはバランスを考えなくてはなりません。自然のシステムとのバランスです。自然のシステムを、社会システムを考えることなく管理することは出来ません。従って、最適化した地域のソーシャルシステムを含めた形で考えなくてはなりません。そして今、沿岸資源の話をする時に総合経済的、機関的な様々な要素を含めた形での統合を考えなくてはなりません。私は学術の分野の大学で働いていますが、また同時に私は政府の沿岸資源管理の機関で仕事をしています。そして大きなUSIDのプロジェクトにも関っていますし、ICLARMアジア銀行によって資金が提供されているプロジェクトにも関わっています。これは様々な分野が交錯関与している総合的なプロジェクトです。
 なぜ我々はICLARMを必要とするのでしょうか。まず持続可能な資源の利用、そして環境の保護ということを考えた上で持続可能性を確保していかなければなりません。そして2番目に複数の資源をそして矛盾を解消するということです。様々な矛盾がインドネシアの中でその観点で存在しています。殆どが社会的な摩擦です。自然資源の利用に関して起こっているのです。中央政府はどのようにしてこういったお金を地方政府に均等に分けていくのでしょうか。例えばインドネシアでは、いくつかの地域で摩擦を起こしています。最も豊かな地域であっても、他のエリアでも摩擦があります。パプア、イリアンジャヤも摩擦や衝突を起こしています。今この資源の統合という部分では、そういった様々な沿岸地域における摩擦を減らしていかなくてはなりません。例えばパプアにおいては10kmにごとに違う民族、言葉が存在しています。従って様々な問題が発生し総合的に管理することが難しくなっています。3番目に各機関間の計画マネージメントの改善が必要です。これは本当に重要なコーディネーションの問題です。コディネーションを行う省があるのですが、実際には行われていません。これが非常に問題なのです。そして機能的な方針と機能の統合です。様々な関与者間の方針そして機能的な作業の統合です。そしてエコシステムの健全化、公共的な部分のリスクを避けることが必要となってきます。インドネシアにおいてはまだまだ状況はそれ程悪化していないと言えるのではないかと思います。我々としては政府当局と協力をし、あらゆるレベルで資源の保護を考えていかなければならないのです。中央政府そして地方自治体全てのレベルで協力していかなければなりません。私達は観光を推進していきたいと考えています。特に沿岸域においてはエコツーリズムを推進しようと考えています。ICLARMの目的はインドネシアではどういったものでしょうか。我々としては海洋環境の質の保全を目指しています。そのために我々はこういった地域を管理、保護していかなければなりません。そして沿岸域の管理を推進していかなければなりません。こういった地域は貧困層が多いわけで、住民の収入源を剥奪してはならないのであり、社会経済的な局面も考慮にいれた管理が必要になってきます。こういった全ての要因を統合してICLARMを考えていかなければなりません。第一に環境、生態系の保護を考えていかなければなりません。サンゴの保護も重要です。ですからインドネシアにはたくさんの島がありますが、こういった沿岸域だけではなくいろいろな海域の島々に散在するサンゴ礁を保護していかなくてはなりません。従って、問題は単に沿岸域だけではなく他の地域も含めて考えなくてはなりません。インドネシアのマラッカ海峡ではこういった分野においても環境問題が台頭しています。例えば石油の輸送に関しても管理されなければなりません。セレべス海の地域においても観光が盛んです。こういった地域に石油タンカーなどが寄港する状況も発生しています。ですからこれに対しては運輸省、環境省が商業活動と観光を合わせた沿岸域管理を行っていかなければなりません。
 それからもう一つの問題では、地方自治体、県、町、中央政府のレベルで、それぞれのレベルにおいて政策の一貫性を持って行われるかを考えていかなければなりません。情報の共有も必要でしょう。県、州レベルにおいても独立した沿岸管理規制が導入されていますし、また県のレベル、州のレベルにおいて異なった規制が導入されているのが現状です。従っていかに垂直で統合していくかということ、それから水平だけでなく、垂直のレベルにおいても一貫性を持たせていくことを考えることが重要です。ブナカ地域という場所がありますが、ここは保護地域で中央政府によって管理されています。しかしながら地方自治体政府でも観光地としてこの地域を促進していきたいと考えています。ですから中央政府とそれから地方政府との間に利害の対立が起こっています。インドネシアのブナカ地域は中央政府としては保護したいが、しかしながら地域の観光局としてはこの地域を観光化していきたいと考えているのです。このような利益の対立もあります。ですから皆さん方にご理解いただきたいのは、ICLARMということをお話した場合には漁業の問題だけでなく、我々は社会システムと天然資源システムとのバランスをはかりながら管理していく必要があります。それに受益者がここに関わってきます。その地域のコミュニティーに対しても、NGOに対して、民間企業、地方自治体、政府、こういったものが関係者ということになりますが、ICLARMインドネシアではいろいろなプロジェクトを推進するにあたって、特に資源管理のプロジェクトを推進するにあたっては、受益者並びに関係者に対してもコミュニケーションを図っていかなければならないということです。ですから下のコミュニティーのレベルから上のレベルまで、いろいろなコミュニケーションを行って行かなければなりません。戦略的な計画はもちろん、中央政府レベルで行わなければなりません。決定についても下のレベルまで伝達されなければなりません。例えば、バリ地域においても石油会社が開発を進める計画があります。しかしながらそういった場合には、その地域の漁業者にどのような問題が起こってくるかを考慮した形で進めなければなりません。全ての意味で統合が必要なのです。リゲタンという島では、最初の段階でいろいろな問題が起こっています。これは国際的な局面もふくまれいる問題ですが、この地域において私たちにはいろいろな利益の対立と問題が起こっています。東南アジア、インドネシアとフィリピンとの間において同じような沿岸域の問題が起こっていると思います。スマトラはインドネシア、シンガポール、マレーシアに挟まれているわけですから、ここにおいては一カ国だけではなく、その他の国際的な協調が必要になってきます。
 さてインドネシアにおいて大きな問題となっているのは、まず沿岸海洋資源をいかに管理していくかです。これをいかに人々に理解させるかということ、それから沿岸域の管理をどういうふうにしていくかを考えなければなりません。適切なプランニングが行われなければなりません。現在の段階ではきちんとしたプランニングというものが沿岸域の管理に対して構築されていません。従って、これによっていろいろな問題が起こっています。第一に沿岸域管理法という法律を導入する必要があります。これにより包括的かつ統合されたアプローチを沿岸域管理に適用することができるのではないかと思います。それからまた沿岸地域のコミュニティー並びに資源のユーザーとのコーディネーションが十分になされていないということ、こういった地域住民の考え方そして彼らの経験を盛り込んで我々が沿岸域の管理をどのように行っていくべきかを考えなければならないのです。沿岸域管理に関しては地域の関与が必要となってきます。またその他としては、特定の管轄当局が決まっていないことが問題点です。インドネシアの沿岸域を誰がコントロールするのか、管轄はどこになるのかが明確化されていないのが問題です。これにより天然資源の崩壊が加速化するというのも一つの現状です。ですからこのような不明確な状況によって適切な規制化並びに法令化がなされていないのが問題です。現在の段階では野放し状態にあるのが現状です。それからもう一つは、非適切な政治的な意図があるということです。1981年以降、政府のいわゆる高いレベルにおけるコミットメントがないのが問題ですが、これはどうしてでしょうか。1988年、海洋関係の産業は経済が右肩上がりの成長を遂げていました。スラバヤ市の南の方の地域では、インドネシアでタンバックスといっている養殖を行いました。これによってかなり収益を上げることが出来るようになりました。こういった活性化されている経済活動が海洋分野において起こっているがために政府としては法令化、規制化を進めてこなかったのです。政府にとってもこれはお金が入ってくる経済活動なので、そういった意味で規制化が遅れ、また政府のコミットメントがなかったという背景がありました。これが沿岸域管理の遅れをもたらしているということは事実です。沿岸域並びに海洋資源の管理は急務です。タイについても状況説明がありましたが、インドネシアで起こっている問題を皆様方にお見せしたいと思います。これはバリ近くの地域です。ここには昔、サランガアイランドという島がありました。この島でカメが群生していたのですが、前の政権がこの地域を破壊してしまいました。この辺で埋め立てを行ったのです。それと同時に反対側が侵食したという状況があります。そしてまた同時にバリ空港が建設され、このような建設が進むことによりバリのビーチが破壊されたのです。従って私たちは総合的なプランニングの話をしなければなりませんでした。インドネシアの場合は、プランニングではきちんとした調整がなされておらず、また総合的なプランニングが欠落していることが問題です。そしてもう一つここは離島ですが、ここで港湾の拡張工事が行われています。この地域はサンゴ礁の地域です。この拡張工事を行うことにより、天然資源が破壊されつつあるのです。こういった状況を鑑みてNGO並びに我々が運輸省に圧力をかけ、拡張工事に関して再考を促しているというのが現状です。インドネシアにおいては、これ以上土地が必要とされているのでしょうか。インドネシアには未利用の多くの島があります。ですから、我々は埋め立てをしてまで土地を拡張しなければならない状況にあるのでしょうか。それでも埋め立ては継続しています。そして新しくできた土地には、ビジネスセンター、スーパーマーケット等を作っています。ブナンカンでも問題が起こっています。北部のセレベスではどのようにしてこの問題を止めるのかが議論になっています。そしてまたインドネシアでの大きな問題はソーシャルダラーです。インドネシアのマングローブの部分は経済危機の後、海老の価格が高くなってしまい、現在どれくらい投資しなくてはならないのかを考えています。ある生産性の高い地域においては機能が減ってしまいました。従ってこの地域を機能させなくてはいけません。そしてどのレベルに投資したらよいかという問題があります。コミュニティーをベースにして社会的な部分を考え、マングローブエリアを開拓することを考え、シルフォーシルモデルという形で作っています。マングローブ80%を育て、その周りの20%の部分が活用されるポイントというものです。社会的にポイントを加味しなくてはなりません。そしてローカルコミュニティーがこの部分に依存することが出来るでしょうか。その部分のバランスをとらなくてはなりません。多くの地域ではマングローブに関して自然界での必要性が理解されていません。ある地域では、また開発中の部分としてはイスカリマンタンがありますが、ワーカンベターではマングローブの伐採問題が深刻です。98年以降80%は減ってきています。この問題に基づいていくつかのプログラムをインドネシアでは作ろうとしています。まず地域レべル、そして国レベルでこのプログラムで教育システムを作っていかなくてはなりません。そしてこのプログラムはコーディネーションが足りませんでした。人的な資源もありませんでした。そしてセクター間の協調もありませんでした。このため教育機関の能力と人材を育てていかなくてはならのいのです。そしてリハビリという点で保存という観点の投資をしていきます。そしてADPの資源の保護、インフォメーションシステムの開発を行います。我々はもちろん情報は持っていますが、部門間でバラバラに使われています。真の意味での情報がありません。一つの機関、一つの部門としての情報がまとまっていません。沿岸管理に関するコミュニティーの参加がまだ大きなレベルでは行われていません。コミュニテイーべースの管理、沿岸管理の貧困問題では、60%の人口が沿岸地域に住んでいて、多くは貧困に悩んでいます。地方自治体そして海洋資源の管理の問題。そして地方自治体の権限の強化です。地方自治体の権限を増やしていかなくてはなりません。海洋及び沿岸域の貿易の開発も必要です。これは持続可能な開発という形にならなければなりません。そして沿岸地域のコミュニテイーの人達の生活の代用となるような物を提供していかなくてはならないのと、沿岸地域の住民に対するそういった物の提供を行うのです。これら全ての問題が解決されることを希望しますが、どれくらいかかるかはわかりません。これらには一つのプロジェクトの中でも様々な問題を解決していかなくてはなりません。以前、あるプロジェクトがあって、そのプロジェクトが終わった後には何も残っていませんでした。従ってプロジェクトではなくプログラムというものを作っていかなくてはならないのです。将来いつかインドネシアで沿岸域管理が改善されていくことを期待いたします。ありがとうございました。
 
(座長 Dr.Holmes)この時間を利用して、重要な問題についての議論と対策を話し合ってみたいと思います。まず何か出来るものについて、そして何も出来ないものについて議論をして見たいと思います。後半のグループでは、政府の政策が充分でないといった話が出ました。政府を突っつくことは可能ですが、それを早急に行わなくてはなりません。政府の方針が足らないことで問題が発生しているということがありました。そして統一性も必要ですがそれがない。そして最後には5年、10年で実行されることは期待しますが、この科学の部分、非科学の部分を統合して行うことによって、よりそれが早く達成されると思います。私と敷田先生で考えたのですが、4つの分野が統合されなければならないと思います。それは科学と非科学の部分に統合したアプローチで、2番目が権力の分散と組織化そして法律の分散化の話です。そして3番目がコミュニティーの参加です。オーストラリア以外の他の国のことはもちろん私にはわかりませんが、インドネシアの話しでは、ローカルコミュニティーの参加が非常に重要だということです。これを議論してみてはいかがでしょうか。そして4番目は意思決定のシステムです。主導権がバラバラになっているということをべンゲンさんが話していたように、海洋資源をサポートして他の所の資源の利用に回してはどうかということです。そしてなぜ完全に考えられていないかというと、きちんとした決定システムが出来ていないからです。
 もう一つ私の国で2001年に実際に起きたことですが、みなさんはオーストラリアを詳しくはご存知ないと思います。東の部分に非常に近いところで、南緯29度あたりは雨や洪水が多いところです。そして年によって差が激しいのです。86年に大雨がありました。また87年にも洪水がありました。そして88年に2回、89年に1回、そして2001年にも起こるという、非常にばらつきがあります。リッチマンリバーという土地がありますが、ここはかなり農業用の開発が進んでいます。その土地を生産用に開拓するために農家の人達は洪水を避けたいとして、洪水用のはけ口を作りましたが干上がってしまったのです。そして何が起こったかというと、酸性の土が四価の硫黄から酸素によって曝露されず、水路に堆積物が溜まるとpH値が極端に上がります。硫黄は化学の分野では需要が多いのです。そして99年から2001年の間に何が起こったかというと、雨量についていろいろなことがあったのですが、システムがきちんとそれを排出しなかったのです。堆積物が溜まって積み上がっていきました。柔らかい堆積物とかなりの硫黄がその部分に捉えられ酸化され、2001年にはフィッシュキル、バーナンという川が3ヵ月に亘って無生物化するという打撃を与えて、レクレーショナルであれ商業用であれ漁業に大きな影響を与えました。基本的な問題は何かというと排出システムの欠如です。ここでは2つのシステムが考えられます。一つは排出システムの問題はデザインの問題で、設計が充分でなかったことです。そしてトロピカルな地理的検討をしようということから、どこに置くべきかという位置的な検討、どのように傾斜をつけるかという構造の話になりました。まずブルドーザーを入れて工事をする事になりました。基本的に効率的ではないシステムが作られてしまうのです。硫黄が堆積してしまうわけですから、その長い間13年問も洪水がありませんでした。そしてそれが堆積して何も出来なくなってしまったのです。もう一つ興味深い点はいろいろな議論があり、農地に関して何が原因だったかということですが、ニューサウスウェールズ州において考えられる原因は何かを考えました。しかし農業の分野で一般にこれを発表はしませんでした。確かに酸素が無かったために魚は死んでしまったのですが、なぜ酸素が足りなかったのでしょうか。もちろんその理由はいずれの省も理解していますが、主要な人達の間には溝があり、そしてオーストラリアの農家がびっくりしたのですが、2つの省の間で論戦があり最終的には一緒に協力をして解決にあたりました。数年間に亘って、ユーザーにとって受け入れられる対策を考えました。これはフラグメンテーションをリードするということを分散化し、どのようにして統一していくかという話です。これは排泄物に関する例ですが、フラグメンテーションの分散化の管理は農業分野には適切なこれらの項目を満たさなくてはならないという項目があったのです。例えば傾斜や取水地に関して今度は農林水産省は何が起こっているのかを、最終的には決定システムがうまく機能しなかったのです。これは私の経験ですが非常に良く起こっている問題です。州レベルそして地方レベル等、オーストラリアで起こっていることです。権力が分散化されてしまっていますし、オーストラリアだけの問題ではないと思うのですが、いかがでしょうか。問題は同様だと思います。私たちは殆どの場合が保護の情報を科学者や環境保護団体から流されるのではなく、保護というものは中央から行われていくべきだと思います。そしてそれぞれの専門家のアドバイスを求めるということが正しい流れではないかと思います。というのは最終的に物事が決定された後にアドバイザーに意見を聞くことが多いので、やはりその前の段階で専門家の意見を聞くことが必要だと思います。従ってトップの政治家達はやはり専門家を関与させた段階で決定をしなければならないことを理解すべきだと思います。あなたがプレゼンテーションの中で話していたことですが、システムがどういうふうに機能するかを理解すべきと話していました。私も専門家が全体的なシステムがどういうふうに機能するのかということを知らないのが一つの大きな問題であると思います。この分野の専門家のジョン・ベンジー(Prof.JohnA.H.Benzie)がシドニーから来ています。私の今のコメントですが、両方とも正しいと思います。経済的な局面からも考えられなければならないと思います。オーストラリアのシステムでは、総合的な計画を構築するために適切なシステムが立てられつつあります。しかしながら課題、問題を解決するにあたっては科学者が関与していないケースが多いのです。科学者が非常に片寄った見方をすると、コミュニティーにとってはあまり利益にならないような考え方をするととられるケースが多いのです。ですから最終的な意思決定は非常に小さなグループで決定されてしまい、これに専門家が関与していないというケースが多いのです。従って技術的な専門家、これは社会学それから環境その他の分野の専門家も含めて意思決定がなされるべきだと思います。やはり環境が破壊されるという問題を考えると技術的な専門家を初期の段階から関与させ、最終的に意思決定がなされることが必要ではないかと思います。専門家を初期の段階から関与させないことで意思決定がなされるというところが問題ではないかと思います。これは非常に興味深いポイントだと思います。マイケル・クロスビーさんもおっしやっていたのですが、彼のプレゼンテーションの中で紅海の問題を挙げていました。学際的なアプローチを最初の段階からとるべきです。これによって問題の対処をすべきであることが指摘されました。そして現在の段階においては科学者がコントロールしていないという事が紹介されました。お金を出す人々が意思決定をしているという事が紹介されました。従って初期の段階から海洋関係の専門家をからめる必要があり、すべての関係者を関与させるべきなのです。特にこの紅海においては計画をする人、自治体、科学者達全ての関係者が問題解決のために協力し合うべきであり、これが非常に重要であるという指摘がありました。出来るだけ情報を共有して問題解決にあたるべきだという指摘がありました。
 これと同様にあなたの指摘は非常に重要だと思います。私は間接的に聞いたのですが、この紅海で構築されたモデルは、まず戦略を立てる、そして戦略が構築された段階で専門家グループを会議させ、最終的に詰めを行いそれに基づいて実施されると伺いました。ボストン港の対応においても10年以上前に訴訟が起こりました。ボストン市が一般の住民に対する義務を果たさなかったという訴訟です。どの当局が関与したかはわかりませんが、市当局がボストン港を補修するために100万ドルを供与しました。しかしながらこの意思決定にあたっては、専門家のアドバイスは必要ないといわれ、技術の専門家その他の人々を関与させなかった背景があります。そして最終的な意思決定は市レベル、そして連邦レベルで決定され、実施されたということです。今後15年に亘って何十億というお金がボストン港の補修のために使われると聞いています。従ってこのような巨大プロジェクトにあたっては、魚種の保護も考慮に入れられるべきだと思います。私自身、学際的にプランニングの段階で専門家を参加させる必要があると思います。ですから意思決定者並びに弁護士等のみが関与するのではなく、その他の専門家もプランニングの段階で関与させるという事です。これに関しては皆様からご同意をいただけると思います。
 我々の教育制度のもとでは、非常に一般的な教科を学ぶのです。資源の管理を考えた場合は、教育制度の中に初期の段階からカリキュラムが組まれるべきであると思います。これは非常に重要で、初等教育の段階からこういった科目が導入されるべきです。後の段階でこういった知識を習得しても充分な効果が出ないと思います。私自身は大学院コースで教えていますが、私のアプローチは沿岸域並びに資源管理を考えた場合には、やはり専門家のアプローチだけでなく学際的なアプローチが必要だと思います。ですから必要とされるいろいろな知識、専門分野というものを考えていかなければならないと思います。いくつか申しあげたい点があるのですが、皆様方の意見があれば、いろいろ意見を頂きたいと思います。その他にコメントはございませんか。もう一つの点としてあげることはコントロールが分散化しているということです。いろいろな団体や当局が関与して、規制の分野においても法の分野においても権限が分散化しているという問題があります。アメリカでもオーストラリアでも、オーストラリアの場合には州レベルで政策が決定されていて、それぞれが異なった政策をとることになりますが、これが連邦レベルでいう分散化しているということです。この法令はそれぞれに整合性がないのです。例えば肥沃な土地に関しても一貫した規制、法令というものが出来ていないということです。ビクトリア州の例では、国立公園の沿岸域の漁業の問題なのです。ここには漁業法が導入されています。満潮時に国立公園の中で使ってはいけない漁具に対する規制があります。ですからこういう国立公園の規制によってどのような漁具を使うかという制限が加えられています。このような問題は他の国にもあるでしょうか。私が思ったのは立法機関が分散化していると困難が生じるということです。オーストラリアでの問題はその政策が困難を取り除くことが出来るかというポイントでした。ただ問題はそれぞれの部署の人を一緒に働かせるのは難しいということです。一度、立法を行って考え方の方向と変化を示せば良いとは思うのですが、どなたかこの点についてコメントいただけますでしょうか。インティンブルークはマングローブの最も良いエリアなので、ここは観光用に開拓されています。この結果はまだわかりませんが、多くの人はそれに反対しています。誰が最終決定をすべきか、そして何をなすべきかという問題があります。連邦政府でモニタリングをしているマングローブに詳しいピーター・セインツがいるといいのです。この問題は立法の問題ではなく管轄の重複です。基本的にもともと決定は州法に基づいて行われました。決定、解決は環境アセスメントプロセスの中で行われました。これはセーフガードを含んでいます。つまりそれによって有効な資源を保護し、それが悪影響を出さないということです。おそらく確固たる意見を出すとそれを回避しなくてはならなくなるということがあります。その考え方があったのだと思います。もし連邦政府レベルでの話になると、あるプロジェクトを持ってこのインターアクションとして2つの局のレスポンシビリティの差があり、私の会社はライトペリフバーパーカー・オーソリティーの仕事をしています。現状モニタリングや最初の主要なバリアリーフの管理を行っています。その特定な例に関して見ると、州政府は決定を拒否し連邦にゆだねました。そしてそのマネージメントは2つの大きな建設工事のプロジェクトに関与しました。州政府が代表したマネージメントコミュニティーがありました。しかし全体は連邦で管理されていました。州ももちろん権利を有していのですが全体は連邦でカバーされたのです。いつも別々のプロジェクトをやっているので、エンジニアの専門家を最初の段階から入れた方がいいと思います。あるプロジェクトを引き受けてウェットランドシステム等の人工的な湿地のアドバイスをしました。初めて日本に行った時に困ってしまったのですが、クライアントのところで設計が違っているとのアドバイスから構成を直してくれますかといわれました。このシステムの結果、何ができるのかだったのですが、そしてそれが良いかどうか判断しなければなりませんでした。このため専門家を早い段階で集めることは非常に重要だと思います。この主要なプロジェクトであるヒンシュンブルックのようなプロジェクトは、その点の影響を受けています。つまりデザインが最初から正しかったかどうかという問題があったからです。マイケル・クロスビーさんが今朝ディフィニションの話をしました。このガスティットと州政府レベルでリンクをされていればいいのではないかという話でした。国連総会において資源管理の話がありましたが、オーストラリアの状況を話すと、オーストラリアは今、国際的な疑問を持っています。条約に批准し実施されたのですから、連邦や政府はより一層の努力を統合のために行っています。そしてプロセスを拡張し協議会のメンバーになりました。日本、中国、オーストラリアも協定書を作りました。生息地の管理に関して、これは州法によって行われました。これは国家の法律ではありませんでした。従って国は州のレベルをコーディネートしましたし、うまくやっていたと思います。そこで結局国際的なオブリゲーションをうまく果たした例はあるでしょうか。特にこの状況で非常に有効だったのは問題が国としての方針がクリアではなかったことです。少なくとも中央の政府が決定を下せるような形のシステムが必要なのです。もう一つはコミュニティーの参加です。これはタイとオーストラリアの経験だけの話しだけで終わりたくはありません。他の方々はどの程度までコミュニティーの参加についてお考えになったでしょうか。その参加がより重要になってきていることについてはどう思われたのでしょうか。







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