(座長 Dr.Holmes)このフォーラムでは敷田先生をはじめ何名かに発表をしていただきます。実践している方には非常に役立つ場だと思います。経験の交換やいろいろな認識をする上で重要だと思います。
(Dr.Holmes)まず最初に背景の話をしたいと思います。私の祖父のアドバイスから紹介しますが、沿岸管理、相互管理についてです。これは常に変るので範囲が重要になります。過去の活動をレビューしてみるといろいろな記録が残っていると思います。この問題は3000年も前にホモサピエンスの人類が現れる前から、沿岸地域は発展を繰り返してきました。
次に1950年代から2つの主な影響を見てみます。1つは人口の増加で、これは世界的にみられるものです。もう1つは沿岸地域の資源の集中的使用により人口が増えたためで、そしてもう1つは経済的、社会的、文化的な変化によるものです。沿岸地域で必要なそこに関連するビジネスが発展してきたからです。例えばその1つが観光ビジネスです。沿岸管理の目標は私達もサザンクロス大学の生徒に話したのですが、目標が必要だということです。ここに参加している多くの人は日々沿岸管理に関与されていると思いますが、常に問題をキャッチしておくことは非常に難しいことだと思います。私の祖父のアドバイスに従うと、沿岸地域を科学的、生態的資源で使っています。その資源のいくつかは直接管理できない物もあります。例えば物理的なものといえばスペースを使うということ、港湾そして水路です。それと内陸へのアクセスのためそういった物理的な操作もされなくてはなりません。千葉湾では500mに渡る様々な保護工事が行われています。これは物理的な操作の1つです。生態的なシステムには直接手を加え管理することは出来ません。内部までは入っていけないのです。我々のやりたい方向には管理出来ないのです。従って管理はある種の資源の使い方に限られます。そして前提としては、自然のシステムの管理は我々の必要としている生態系のサービスに関与するものだと思います。持続可能な発展、そして生態的な部分はまた同時にメンテナンスプロセスを維持することでもあります。では沿岸管理の目的は何でしょう。何を達成しようとしているのでしょうか。まず21世紀にこの地球の中で沿岸資源の最大利用をしなければなりません。海洋国家はその部分からフルに利用を行っているわけですが、田舎の遠隔地の守られたエリアもありますし、その沿岸地域の殆どの部分は観光その他に使われています。持続可能な形で資源を管理していかなければなりません。そして維持の一つとして我々は自然のプロセスを保護、維持していかなければいけないということがあげられます。ビジネスコントロールの活動に関しては様々な方法があります。この資源の使用方法、そして何が出来るか出来ないかについての議論になり、そのテーマとして現在の自然資源の利用法、集中利用があります。生態的メンテナンスとプロセスについての議論、エコロジカルサービスのサポート、その他のサービスの利用の話になります。資源の将来の状態についても議論が必要です。それと可能性として考えられる将来の利用方法、また理解しなくてはいけないのは自然の影響です。どういった自然の災害があるか影響を与えるかということを理解しなければ、プロセスを管理することは出来ません。また理解しなくてはいけないのは、人間を使った場合の効率的な管理はどのようなものがあげられるかということです。どのようなコントロールがなされるべきか、しなくてはならないかという観点があります。皆さんご存知だと思いますが科学の分野では生態的プロセスの一部の理解をいろいろな人が語っていますが、事実、沿岸生態系はかなり理解されてきています。そして最大限に利用しなくてはなりません。ただしっかりと理解しておきたいのは自然の影響です。生態系に与える影響をしっかりと理解できていないということです。地域レベルで例えば我々はこの資源の人的な利用というものを理解できていません。そしてまた皆が知っていることとしては、通常ローカルなデータが欠けているという事です。どのようにサポートされているかというデータが足りません。一般的には知っていると思うのですが、実際どのような言葉で管理がなされているかということはローカルベースではわかっていません。各地域の情報が充分ではありませんし、科学的なアプローチを含めてまだ様々な問題があります。しばしば多くの社会的な問題もありますし、従って人的活動を管理することにはいろんな部分が関与しますし、政府、民間企業も関与します。そういった機関は法的な整備が必要ですし、様々な国によって政府機関も違うし、立法機関のバックアップが必要です。つまりその機関の間のコミュニケーションが必要となり、いろいろなレベルでそれが発生します。まず個人個人のコミュニケーションが一番多いのです。部門ごとのコミュニケーションの問題もあります。また私の経験から話すとオーストラリアの二つの州でターフのデパートメントからの特有の問題がありました。これらの問題のポイントはコミュニケーションでした。そして資源に関する方針についてどのように管理されるべきか、役には立つのです。人々が同じ方向に向かって仕事をしているという意味ではいいわけですが、私の見方では問題の解答は出ませんでした。もちろん社会的な問題も存在します。そのニーズも急速に変わってきています。どのようなかたちで悪い影響を資源に与えているか、これは自分達の利益のために使っているパターンが非常に多いのです。オーストラリアの場合ですと例えば商業部分、レクレーションフィッシングの部分です。そういった人は我々の環境を破壊し、生活を犯しているとお互いに議論しています。最近のオーストラリアでの議論ですが、コミュニティーを巻き込んだ相談、議論です。これは常に重要なことですが、いろいろなプレゼンテーションがこのコンファレンスの中でコミュニティーを巻き込んだ形で議論されています。どのような人的活動が適正なのか自然資源自体が問題を明らかに持っている場合はむしろ簡単です。コミュニティーレベルで議論し、そうしたコミュニケーションも彼らが使う資源について決定を下さなければなりません。それを適用するのはやさしいことです。政府の管理、政策に従っていればそれは可能なことなのです。主要な問題として考えられるのが、私の理解ではいろいろな海洋国での共通ポイントですが、エコシステムそして生息地の劣化、悪化です。ファーストステージでは、まずエコロジカルサービスが依存する最初のステージです。これは世界海洋諸国間にとって共通です。これはしばしば乱獲や湿地の埋め立て、産業による環境破壊、漁獲等の問題も発生しています。問題はここで挙げられている優先順位のリストの中であげられている問題を皆さんは共有されていると思います。公害問題は資源を無駄に使っているという事です。例えば漁業問題。これは国によってそれぞれ異なると思います。計画という観点からいうといろんな国で皆さんから詳細についてお話いただけると思いますが、皆さん計画という点に関してはそれぞれ意見をお持ちだと思います。そしていろんな国がこれを問題として見ています。そして施行という問題です。
それでは何が起こって来るのでしょう。私の考えではシステムの管理をどうやって行っていくか、こういった方法が適切である、これが機能するであろうということが出来るでしょうか。何か皆さん方で良い例があれば私に知らせていただきたいと思います。私達オーストラリアの経験によると、あらゆる状況にあわせて変化させていくということが最も成功する方法ではないかと思います。そしていろいろな状況が変わってきています。パラメーターも変わっています。人口が増大し、技術的な用件も変わってきているので、こういった内容を勘案して我々はどのように管理していくかを考えていかなければなりません。経験や実績に基づくことが重要です。私達は、状況は今までの経験に基づいて今後の方策を講じていくことが出来ない状況にあります。私達が直面しているのは世界的に同じような問題です。我々がこういった文化をべースとして今後何をしなければいけないかということはもちろん大切です。しかしながら我々が相互に情報を交換し何をしていかなければならないかを考えなければなりません。私達には協力する分野があります。これにはインフォーマルな形で協力関係を確立していくことが出来ると思いますが、問題が何なのかを検討することもお互いにやっていくことが出来るのではないかと思います。今日のプレゼンテーションの中でもいろいろな話が出ましたが、我々の成功を保障するものは無いのです。この会議に参加していらっしゃる皆さん方はいろいろな所でお話になっていると思いますが、系統だったアプローチをとって生態系を管理していくことが必要であると言われてきました。例えば科学的な要因なども考えていかなければならないし、科学物質なども管理していかなければならない、そしてこういった管理というものを考える場合には、我々としては資源の利用を今後どう行っていくか、そして今後早急に必要とされるのは資源をどのように利用していくかを考えなければならないということです。では、私達アジア太平洋地域の人々がとらなければならないアプローチはどんなものでしょうか。いろいろな問題があります。しかしながらこういった問題に対して解決策はまだ見出されていません。皆様方で興味のある方がいるのであれば参考資料がありますのでご覧頂きたいと思います。ありがとうございます。
(座長 Dr.Shikida)次の講演はホウ先生です。台湾からおいでになり、地方自治体に勤務されています。特に台湾の問題がどういう問題であるかということをお話いただきたいと思います。ホルムス先生と同じように技術的な観点というよりは全体的局面からお話をいただけると思います。
(Dr.Hou)私は沿岸の問題について、そして沿岸域の管理についての評価を話したいと思います。特に廃棄物、沈澱物の管理が非常に難しく、人間の活動によってこういった問題が増大しています。また同時にこういった廃棄物や排水を軽減するという活動が台湾でも進められています。台湾には島の中心に山岳地帯があり、その地域ではかなりの雨が降ります。この大雨により砂利などが沿岸地域に流されてしまうといったことが起こります。そして秋になるとこういった沈澱物が川や港湾地域に堆積するという大きな問題が起こっています。河川の改善そして構造的にいかに川というものを保護、管理していくかも考えなければなりません。そしてこういった沿岸地域における沈澱物の管理が必要になってきます。川底を掘り下げるということも一つの大きな問題になっています。川は川底がかなり砂利によって流されてしまうといった問題が起こっています。これに対応するための機械工学的かつ何らかの建設技術が適用されなければならないため、これにより上流から沈澱物が沿岸域に流出するのを防がなければならない状況です。これに関してアクションがとられなければなりません。こういうような上流から出来るだけ沈澱物が流出し、また同時に川底の侵食を軽減するという方策が講じられなければなりません。台湾においては農業が盛んで農業用水として川の水を使っています。川や地下水から新鮮な水をポンプで取り入れ農業用水に利用しているのが現状です。こういったポンプを使い、川の水を引き上げる時に沈澱物が紛れ込んでしまうという問題も起こっています。今朝の講演でも話が出ましたが、二酸化炭素の問題もあります。二酸化炭素のレベルが海水面においても上昇しています。そしてこれにより沿岸地域の環境問題が起こっています。ここで申しあげたいのは沿岸地域の80%が侵食の問題に悩んでいるということです。それからまた同時にこれら侵食された沈澱物が沿岸地域に堆積してしまうという問題も出ています。それと同時に人間の生活によって沈澱物の量がさらに増大しています。台湾の山岳地帯には3,000m以上の高い山が多く、こういった山で侵食が起こり、堆積物が流出して沿岸地域の沈澱物になってしまうという傾向も起こっています。このような状況から、沿岸地域の発電所が影響を受けることも起こっています。浄水の供給、電気の供給、農業用水の供給に沈澱物が大きなマイナス影響を与えていることも現状で起こっています。これは侵食によって起こってくる弊害です。現在、台湾は途上国から先進国に移行しようと頑張っています。こういった工業化、産業化の流れの中で侵食並びに沈澱物の問題が起きているということも現実です。ですから私達の抱えている沿岸域の問題を理解して頂いて、いかに沿岸地域の管理を進めていくかということを皆様方にもお考え頂きたいと思います。このような侵食の問題をどのように解決することが出来るかということですが、いくつかの重複するスライドがあるので、この地図を見ていただき侵食されている地域を見ていただきたいと思います。ここで示したほとんどの地域で侵食が起きています。その他いろいろな場所で侵食が起きています。特に台湾の沿岸域で起きているのが現状です。ここにはキールンホー川(基隆河)、シンテンチー川(新店渓)、タンシュイホー川(淡水河)という3つの川が合流する地域があります。これは台北湾と呼ばれている港湾ですが、ここでご覧になれるように沈澱物が川から流れ込んできています。これにより港湾地域の海底が埋まってしまうということが起きています。これをいかにメンテナンスしていくかが必要なことです。バイパスを敷設することによって、またもう一つはポンプステーションをこの地域に敷設することによって沈澱物を除去し沿岸域を管理することも可能です。将来も台湾が保護されていかなければならないし、海運輸送の中心地ともなっているのだから管理していく必要があります。最近の沿岸の水際線はだいたい10mぐらい毎年伸びています。
では次に川底について申し上げたいと思います。これは法的には違法の場合もありますが、様々な資源が建設に使われています。川からの堆積物は減ってきています。ホワイトサンエリアは下流の方でバリアがかなり侵食されています。沿岸部の堆積物は北東部のライアン川における適切な規制が存在していません。この沿岸地域は丘が侵食されています。北東部では台風の波浪で浸食されてしまいました。ここの細かい粒子が移動されてしまっています。こちらも同じです。不適切なエンジニアリング工事の結果です。タイゾン港もその一つですが現在非常に大きな商用の港湾になっています。これが堆積をもたらしています。そして防波堤の側にももたらされています。この部分は北部の防波堤です。この下流の部分は非常に酷く侵食されています。地図でお分かりのように99年には70年の海岸線からかなりひどく、700mに渡って侵食されていますがこれはなぜでしょうか。フォーマンフィッシャリー港というのも一つのケースです。ここの防波堤の工事によって起こっているのです。最近の変化では、侵食された堆積物がハーバーエリアに移動したためです。この原因は工事によるものです。工事前には堆積物はこの方向に向かっていました。でも工事後はその堆積物がこのような形になってしまいました。もう一つの問題で、例えばゴールデンコーストという大学の側ですが、これは海底に向けての工事によって下流側が侵食されました。多くの地下水は水と養殖のために移動しています。そしてポンピングされ、その圧力サプレイアーの部分の圧力が減ってきてしますのです。1972年の段階の海岸線でもコンクリートの防波堤工事によってこのような状況になりました。93年〜99年の6年間分析をして平均的な沿岸ラインは毎年11m後退しています。水位の上昇は年間約6.79mmです。
結論ですが、沿岸の侵食は台湾における緊急性を要する問題です。これらを保護するのには多額の資金が必要となると思いますが、沿岸ラインを安定化させる必要があります。もし沿岸で工事が必要な場合は、まず物理的な性質を理解する必要があります。台湾においては生活スペースが限られているので、この開発の傾向は避けられないのです。そして将来においてより優れた評価が必要になります。計画と管理という持続可能な開発のためにはホルムス博士も話したように必要になってきます。そしてまた沿岸のプロセスと侵食の問題が非常に特筆されています。協力的な科学的調査システムが必要であると同時に緊急性を要します。そして重要な情報というのが必要になってきますし、人的な侵害を減らすためにも緊急に必要となります。最後ですが非常によいビーチエリアの自然保護はレクレーション、生態系保護の部分では、沿岸管理においてビーチを守るためにウォーターフロント・レクレーションエリアを人的被害から守ること、そしてかつてこの部分はこれまでに工事の土砂が排出、あるいはいろいろな石や灰などが排出あるいは堆積されてきましたし、高速交通機関を作るために砂等が採取されてきました。それは3,000ヘクタールにわたる非常に長く沖合にまで及びました。この黄色の部分はコンテナの部分で、グリーンの部分はウォーターフロントの工業地域です。クリーム色が沖合の空港です。これらは将来作られる空港の部分です。排出、排水も減らされています。さらに陸地と沖合の間でもレクレーションエリアが存在します。ここには漁港が存在します。ここは商業港と漁港を分けるかもしれません。従ってこの部分は工事に関する沿岸の管理が必要になります。沖合の空港はこのようになっています。このウォーターポートの部分の先端に海上輸送と航空輸送のモデルがあります。これらは我々の国ではすでに開発が始まっています。将来のグローバルレベルのロジスティクスを考えた上でのものです。沿岸地域の管理はポートマネージメントでもあります。ですから我々はウォーターレクレーションエリアを持てることを非常に幸せだと思います。沿岸地域の管理は非常にエンジニア的であり、科学者にとっても重要です。社会的、経済的にも人的にも非常に重要です。ありがとうございました。
(座長 Dr.Holmes)次のスピーカーは、タイのチュラロンコン大学のスダラ先生です。
(Dr.Sudara)様々なこのような問題はいろいろな所で起こっています。そして各地域から我々は学んでいます。通常何を学ばなければならないのか充分理解できませんが、いろいろなところから問題をピックアップして、他の国ではどうしているのかを見て、現在他の所では何が行われているかを知らない状況が多いのです。これは発展途上国だけの問題ではなく、先進国であっても同じ問題を抱えています。我々はシステムを使いすぎているという問題です。そしてどのようにこれと共存していかなければならないか、より良い利用法は何かを考えなければなりません。タイは海洋、漁場に依存している部分がかなり多いですが、しっかりした海洋に関する方針がありません。自然の資源がこのままだと減ってしまいます。タイは海洋的に世界でも最も生産性の高い国だといわれています。漁場という意味で言うと、当時はオープンスペースだったわけです。みんなが使える場所だったわけです。そしてある時から排他的経済水域(EEZ)が出来てしまいました。そして様々な問題が発生してきました。多くの船が我々の漁場で操業をしています。そしていろいろな状況が発生してきました。これは政府文書として残されていますがこれらのプロセスは常に発生しています。しかし、我々には基本的な国の方針が存在しませんし、我々は経済のいろいろな団体が政府に圧力をかけ重要な政策を導入させようとしています。特に我々の沿岸域をどのように管理していくかということに関して経済団体が圧力をかけていますが、まだ現在のところは規制が導入されていません。そして私達の国の沿岸域はEEZになっていますが、いろいろな問題が起こっています。それは20マイルぐらいの海域においていろいろな問題が起こっています。我が国のEEZは200マイルぐらいありますが、この200マイルをカバーしていかにこの地域を保護していけるかという方策はまだ考え出されていません。我々は政府に要請して、タイ湾の海域で何らかの生産的な措置を講じて欲しいと要請しています。いろいろな資源があるからです。そして特にこれは沿岸漁場においていろいろな資源の宝庫になっているからです。漁民が現在の段階において、彼らが生き残ることが出来るような漁獲量をあげることが出来ないという問題です。漁民がなかなか収穫をあげることが出来ないのです。そして沿岸から3kmぐらいでも、地方の漁民は充分な収穫をあげることが出来ないという状況なのです。従って、大型の水産会社が大きな漁船を駆使し、さらに遠洋海域において乱獲を行う状況が起こっていて、これも問題になっています。農業でも同じような問題があります。他の国でも同じような問題があると思いますが、漁業の問題も経済ゾーンにおける大きな問題になっています。従って、このEEZにおいて他国とも何らかの形で協定が結ばれなければならないと思います。
タイ湾の海域はかなり漁業の生産性が高い地域です。40年前を振り返ってみると、300kgぐらいの大きな魚を収穫することが出来ました。しかし現在ではいろいろな問題が起きています。その中には富栄養化も起こっています。公害や排水によって水域の富栄養化が起こっています。タイの沿岸域はマングローブによって囲まれています。密林のような所が多く、ここも非常に生産性の高い地域です。例をあげるといろいろな資源が豊富なのです。マッドクラブを密林地域の沿岸地域でかなり捕獲することが出来ます。しかしながら最近はこういった地域でも、従来の15%または20%ぐらいしか収穫することが出来ない状況になっています。これが問題なのです。ひとつの地域では、農業地域において侵食が起こっていることも問題です。これは密林地域だけでなく、山の上のダムを建設することが一つの原因になって川の侵食が起こり、農地が侵食されています。そして川の水を他の用途に使うため川の水の流れを変えて、他の方面に流すということも行われるようになりました。これによって沿岸域における侵食が大規模に起こっています。この問題を我々は認識しなければなりません。沿岸域で洪水が起こっていて沿岸地域沿いのマングローブの密林地帯にも洪水が溢れ出すという状況が起きています。それからもう一つは、漁業の問題も起こっています。こういったマングローブが水域の富栄養化を引き起こす原因の一つにもなっています。これにより例えば貝類や魚類に対して害を与えるようになってきており、この富栄養化の状況はマングローブによって引き起こされているため、これに対して対処していかなければなりません。ここは従来沿岸から約1km離れていた地域です。侵食がこういった地域にまで影響を及ぼしてしまう問題が起きています。我々はこの問題についていろいろ話をしており、その他の地域においての経験とも情報交換をしたいと考えています。他の地域でもやはりマングローブに関する侵食が起きています。これに関する解決策は現段階では導き出されていませんが、非常に大きな問題になっています。台湾が海老の養殖を中止したので、タイは現在養殖を推進しています。しかしながらこの養殖によって、マングローブ林の破壊が起こっています。2〜3年経つとこのマングローブに病気が起きて沿岸域が破壊されるという状況が起こります。大きな養殖場が建設されている場所では、多量の水を使いポンプで水を揚げて養殖場の管理を行っていますが、こういった作業によって沈澱物の問題が起こります。一つの特定の地域の海老の養殖を行った後の状況を見ていただきたいのですが、砂が失われています。養殖が行われて数年経つと、例えば5年位経つと砂の侵食が起こり、沿岸線が破壊されてしまう状況が起こります。そして沿岸線沿いの道までも破壊されてしまうということが起こっているので、どのような形で海岸沿いの道路を保護管理していかなければならないかも考えなければなりません。私たちは経済活動を尊重していかなければなりません。パタヤでは観光を奨励しています。そしてここは観光によって外貨を稼ごうとしている地域です。昔はここに素晴らしい砂のビーチがあり、観光客がこのビーチを歩き回っていましたが、数年後にこの砂のビーチが破壊されました。ここに1m位の壁を立て、できるだけ砂のビーチを保護しようとしました。しかし、砂のビーチが徐々に侵食されているというのも事実です。
ここはタイにとって非常に大きな一大観光地なので、何が出来るかからこの地域に道路の建設が進められました。しかし、この道路は海岸線沿いに建設されましたが、これが一つの大きな原因にもなったのです。政策決定者は出来るだけその道路を迅速に建設することが出来るようにということで決定したため、海岸沿いで道路建設が行われました。他の地域を例にとってみると、これも非常に大きな観光地なのですが、誤った形で道路の建設が行われているということがわかると思います。観光地の景勝スポットが破壊されるのです。新しい建設が行われることにより観光に対して景観が破壊されたので、観光だけでなく、非常に小さな町の島に渡ることが出来るよう、アクセスの道路を建設しました。この道路と橋が建設されることによって水が流れることが出来なくなり、それによってここに堆積物が溜まり、湾の海底が非常に浅くなり、海岸線が破壊されるという状況が起こっています。ここで私たちはこの沿岸域を考えた場合、海岸線だけでなくその周辺においてどういった活動が行われ、それが沿岸域にどういった影響を与えるかを考えていかなければなりません。沿岸地域ではいろいろなトラブルがしばしば起こっています。埋め立ても侵食も正しく行わないと大変なことになります。わたしが指摘したいのは、非常に重要なポイントです。つまり相互的沿岸域管理が全ての国にとって必要です。これは発展途上国だけではありません。先進国であっても理解する必要があります。何をしなくてはいけないのか、何を進めていけばいいのかを理解する必要があります。さらに技術に依存する部分があります。技術は自然のプロセスと共に歩んでいかなければなりません。そうでないともう一つの技術がまた別の問題をもたらします。これはしばしば起こっていることです。特に専門家が外国からやってきて、その地域の状況を理解しない場合があります。国際的な機関から専門家がやってきてアドバイスし設計をしますが、彼らは細かいことまで理解していないのです。どのような問題が起こるのか、彼らが達成したいのはどのような状況が起こっているのかを理解しなくてはいけません。従って政府に提出しようとしているのは方針を決めることです。タイが必要としているのは海洋に関する政策が必要なので、これは緊急性を要します。このあたりの地域を検討し、潜在性をあるレベルまで持っていく必要があります。そして何をすべきなのか、どの地域に対して何をすべきなのかを考える必要があります。そうでないと何力所にもわたって何かを落とし、多くの問題が発生します。その潜在能力が必要な機能を果たすのかどうかを考えなくてはなりません。我々は政府に対し、失われつつある資源を活性化するように要求します。我々の知識を使って地域の人を巻き込んでいく必要があるのです。そういった情報をオンタイムに集めていく必要があると思います。ありがとうございました。
(座長 Dr.Holmes)何かテクニカルな質問はありますか。あるいは一般的なコメントでも結構です。
(質問)スダラ先生ありがとうございます。海洋開発にポリシーがないという事でしたが、その中でも最も政府機関が行っている主な政策とは何でしょうか。沿岸域という法律的な定義とはどういったものでしょうか。
(Dr.Sudara)そのような活動に対する法的定義はありません。各機関あるいは部門は独自の部分のみを見ています。例えば漁業に関して、産業グループは産業の観点のみしか見ていません。都市計画は都市計画の観点しか見ていません。それぞれの部門が他との関わり合いを考えていないのです。例えば非常に生産性の高い部分、地域について、ここは卵を産んだりする部分ですが、電力部門の人が来て電力施設を作ってしまい、水を冷却するためにかなりの希少生物を失っているのです。この事業が単純に他の所に行ったならばそれ程大きな問題は発生しなかったかもしれません。観光局では最も大きな拡大政策を持っていますが、実際に多くの地域の問題を理解してはいません。従って政策というものがきちんと存在しません。法律はたくさんあるのですがお互いに衝突している状態です。2番目の質問ですが沿岸地域に関して、コースタルゾーンの定義は難しく、かつ制限を加えることが非常に難しいのです。沿岸地域は土地と水を巻き込んだ部分ですから、一部として考えなければなりません。土地の拡張部分と考えなくてはなりませんし、またそれぞれに影響があるわけです。沿岸線の外でもその部分が沿岸部分として考えられない場合もあるので、何mまでという定義がないわけです。ありがとうございました。
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