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V 「末期がんの方の在宅ケアデータベース」作成
1. 概要
 
 平成13年度の財団法人 笹川医学医療研究財団の助成による在宅ホスピスケアに関する研究により、末期がん患者の在宅ケアを担う医療機関のデータベースが作成され、ホームページ「末期がんの方の在宅ケアデータベース」として平成14年6月1日にインターネット上で公開された。末期がん患者を対象とした在宅ケアを実施している医療機関の情報が広く国民へ行き渡るようになったのは朗報であるが、まだ登録医療機関が少ないため、新たな登録を推進することやデータベースのメンテナンスが今後の大きな課題である。
 今回の研究助成の一部はこのデータベースの一層の充実(掲示板の新設、リンク先の拡大など)やメンテナンスにも用いているので、医療機関の登録状況、利用状況、マスコミでの取り上げ、学会などでの発表などについて概略を報告する。また、これまでの登録医療機関一覧を<資料3>として示す。
 
2−1 登録状況
 ホームページ開設当初、登録医療機関は393であり、この医療機関全体でのがん患者の在宅死数は約1,600名であったが、約7ヶ月後の平成15年2月20日にはそれぞれ450機関、1,843名となり、登録医療機関の数とそこで関わった在宅死の数は著明に増加している(表V−1)。しかしながら、この登録医療機関でカバーしている在宅死数は日本国内のがんによる在宅死数の1割に足りない。平成15年以降も、登録数の増加に向けて力を注ぎたいと考えている。
 
表V−1 ホームページ開設時、ならびに2003年2月末における
登録機関数と登録医療機関における在宅死数合計      
年月日 時期 医療機関登録数 登録医療機関における在宅死数合計
平成14年6月1日 ホームページ開設時 393 約1,600名
平成15年2月20日 研究期間末 450 1,843名
 
 本ホームページが社会に対してどの程度貢献しているかの評価のひとつとして、アクセス数を分析することが有効である。平成14年6月1日のホームページ開設から平成15年2月28日までの9ヶ月間のアクセス数は13,381件であり、月平均1,911件、一日平均約64件であった。
 次項に示す新聞や雑誌等による紹介の後はアクセス数が伸び、1日平均300件以上のアクセスがある場合もあった。
 
 本ホームページの有用性、重要性について多くのマスコミが認め、各紙面で紹介している。平成15年2月末日までに本ホームページを紹介したメディア名、掲載欄、掲載形式、内容を表V−2に示した。
 
表V−2 本ホームページを紹介したメディア名、掲載欄、掲載形式、内容
年月日 メディア名 掲載欄、掲載形式 内容
H14.7 月刊がん 特別ページ データベース紹介
H14.7.21 読売新聞 健康欄 データベース紹介
H14.7.31 All About Japan 健康・医療>>介護>>「よく死ぬことはよく生きること」 データベース紹介
H14.9 Home Care Medicine 「今月のホームページ」 データベース紹介
H14.9.29 読売新聞 「やさしい介護学」 「治療内容に高まる関心」
H14.11 がん治療最前線 メディカルニュースダイジェスト データベース紹介
H15.2.22 朝日新聞 医療面 シリーズ癌 家で最後を過ごす
 
2−4 学会での発表等
 本データベース、ホームページは以下の協議会、研究会で発表した(表V−3)。
 
表V−3. 学会等での発表
年月日 学会など名称 場所 発表者 演題
H14.7.8 全国ホスピス・緩和ケア病棟連絡協議会 静岡県
浜松市
川越厚 全体会でのデータベース紹介
H14.7.12 在宅医療研究会 千葉県
木更津市
川越厚
松浦
「在宅ホスピス・緩和ケア実施医療機関情報のデータベース化」
H14.8.24 第23回鎮痛薬・オピオイドペプチドシンポジウム ランチョン・セミナー 東京都
文京区
川越厚 「在宅ホスピス・緩和ケアにおける疼痛緩和の実際」
H14.11.23 死の臨床研究会 群馬県
高崎市
松浦
川越厚
「在宅ホスピス・緩和ケア実施医療機関情報のデータベース化」
H14.11.30 青森県医師会講演 青森市 川越厚 「在宅でのホスピス・緩和ケア −初級から上級へ−」内でデータベースとその集計結果を紹介
H14.12.23 島根県浜田市講演 島根県
浜田市
川越厚 「在宅緩和ケアをめぐる課題と展望−課題と解決のためのポイント−」内でデータベースとその集計結果を紹介
H15.01.25 東京都医師会講演 東京都
新宿区
川越厚 「末期がん患者の在宅での疼痛緩和」
H15.01.31 福島市医師会講演 福島県
福島市
川越厚 「在宅ホスピス・緩和ケアにおける疼痛緩和の実際と問題」
H15.03.06
(予定)
Asia Hospice Pacific Conference 大阪市 松浦
川越厚
Home Care Service for Terminally−Ill Cancer Patients in Japan
H15.04.26
(予定)
沖縄市医師会講演 沖縄市 川越厚 「在宅でのホスピス・緩和ケア −初級から上級へ−」
 
 本事業は財団法人笹川医学医療研究財団の助成で行なわれた。関係された財団の方々に心よりの感謝の意を表します。フォーカスグループ・ミーティングの質的分析に関しては、聖路加看護大学の大金ひろみ氏に多大なご協力をいただき、厚くお礼申し上げます。また、データベース作成にあたり、貴重なデータを提供してくださった諸団体、各医療機関の関係者に深く感謝いたします。







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