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平成14年度(2002年)研究報告

 事業名 医学医療に関する研究助成
 団体名 笹川保健財団  


II. 終末期医療におけるQOLの向上に関する研究
1. ホスピスチャプレンとしてのスピリチュアルケアのあり方に関する研究
六甲病院 緩和ケア病棟チャプレン 沼野尚美
 
I. 研究の目的・方法
 終末期にある癌患者のQOL向上において、患者の持つ「スピリチュアルペイン」に対するケアにも眼を向ける必要がある。最近は、「スピリチュアルケア」をテーマにした研修会も開催されるようになり、関心は高まってきた。それゆえにスピリチュアルペインに対する理解は、特にホスピス医療者の間では、少しずつ深まってきている。
 スピリチュアルケアのためだけのスペシャリストとしての職種はないが、チャプレンはチームの中で、スピリチュアルケアを豊かに提供する人として期待されている。しかしその一方で、年々緩和ケア病棟承認施設が全国に増えているにもかかわらず、チャプレンはどこででも必要とされる働き人ではなく、チームの中でのチャプレンの認知度は低い。それはなぜであろうか。
 筆者自身がチャプレンなので、チャプレン側の問題点に注目して考えてみたいと思った。それゆえに、スピリチュアルケアのあり方に関してのチャプレン自身の問題点を明らかにするために、チャプレンが今後、より必要とされるワーカーとして成長するために、チャプレンのスピリチュアルケアへの現在の取り組みが他のチームメンバーにどう評価されているのかを探ってみた。
 
II. 研究の内容
 まず5月にアンケートIを作成し、緩和ケア病棟承認施設97ヶ所に発送した。ホスピスチャプレンの存在場所と人数の確認、そしてチャプレンがいる施設といない施設のそれぞれの理由を知ることを目的とした。
 6月にアンケートIIを作成し、職員チャプレンがいる施設22ヶ所に発送した。アンケートは、チャプレン用とドクター・ナース用の2種類を用意し、チャプレンには、自分のスピリチュアルケアに関して答える形を取り、ドクター・ナースはチャプレンへの期待を込めて答える形をとった。どちらのアンケートにも5つの質問が含まれていて、チャプレンのスピリチュアルケアに関わる人柄、チームワーク性、そしてケアの実践の3面からの意見を得ることを目的として実施した。
 7月から12月にかけて、アンケートIIに答えたチャプレンの中から8人を選び、実際訪問してスピリチュアルケアのあり方に関してインタビューをし、今の悩みや今後の目標をふくめて話し合った。また、チャプレンといっしょに働いた経験のある看護師(主任か師長)8人を選び、訪問してインタビューを実施した。どのようなチャプレンであってほしいかを人柄、チームワーク性、ケアの実践の3つの面から意見を求めた。
 
III. 研究の成果
1. 結果
1)アンケートIより
 2002年2月現在97承認施設に師長宛てで発送し、89施設より回答(回答率92%)。そのうちチャプレンがいると答えたのは26施設(そのうち4施設のチャプレンは職員ではなくボランティアチャプレンだった)いないと答えたのは63施設だった。ホスピスに関わっている職員チャプレンの数は、正職員19人、非常勤職員5名だった。
 
なぜチャプレンがチームメンバーに入っているのですか。26施設回答(複数選択可能)
1. 経営母体がキリスト教系、仏教系だから。 19
2. 経営者の方針 19
3. 宗教的援助を必要と感じた。 14
4. 心のケア全般への必要を感じた。 22
5. その他(  ) 0
 
 チャプレンには、宗教的援助だけでなく、チームとしては心のケア全般への援助に対する期待があることがわかった。
 
なぜチャプレンがチームの中にいないのでしょうか。63施設回答(複数選択可能)
1. 経済的理由からチャプレンを仲間に入れる余裕がない。 13
2. チャプレンをチームメンバーとして入れたいと思いながらも適当な人物がみつけられない。 12
3. 経営母体が宗教的なカラーを持っていないから 43
4. チャプレンを仲間に入れることによってホスピスが特定の宗教カラーを持つことを恐れる。 7
5. チャプレンの存在の必要性を感じていない。 6
6. チャプレンのよくないイメージやチームワーク上の心配からあえてチームの中に入れたいとは思わない。 0
7. その他(  ) 7
 
 その他として、「公的医療機関のために特定の宗教を入れることができない」との意見が5施設からあった。また、「チャプレンについてよく理解していない」「チャプレンよりも医師や看護師の人数を増やすことが先決と考える」という回答があった。
 チャプレンがいないと答えた施設の中には、医師、看護師以外に、心や魂のケアに関わっているとして、臨床心理士、音楽療法士、パストラルケアワーカーの存在をあげた施設が4ヵ所あった。
 
2)アンケートIIより
 24人の職員ホスピスチャプレンに発送し、17人のチャプレンより回答があった。
 
チャプレンとしての勤務状況 チャプレン17人回答
正職員 13人
非常勤 4人
  
ホスピス病棟専任 6人
一般病棟兼務 11人
 
チャプレンとしての チャプレン
1年未満 1人
1年〜3年未満 5人
3年〜5年未満 5人
5年〜10年未満 4人
10年以上 2人
 
チャプレンの宗派 チャプレン
プロテスタント 13人
カトリック 3人
仏教 1人
 
 医師・看護師用のアンケートを各施設4人に答えて頂くようセットして、チャプレンがいる22施設へ発送した。88人のうち72人(医師19人、看護師53人)から回答があった。
 
ホスピス勤務年数について 医師
19人回答
看護師
53人回答
1年未満 1人 0人
1年〜3年未満 10人 17人
3年〜5年未満 3人 23人
5年〜10年未満 4人 10人
10年以上 1人 3人







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