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平成14年度(2002年)研究報告

 事業名 医学医療に関する研究助成
 団体名 笹川保健財団  


II 研究内容・実施経過
教材作成
(1)バリアフリー版は原図どおり線図として点図化を行った。作成にあたっては県立盲学校教員視覚障害者、健常者各1名の協力を得て、特に登場人物などの形、点の密度の評価を受け、2度の検討会開催及び2回の添削を受け、改訂版第3版(1. 緩和ケア、2. 麻薬、3. 胃ろう)をアンケート用教材とした。初版、第2版で指摘された問題点を以下示す。
 
第1回
平成14年7月29日
於:石川県立盲学校
米田、中田教諭
宮本、大嶋、学生1名
1. 点図については原図にこだわらない。
2. 必要な情報を邪魔しないようにし、1頁に収める情報はできるだけ、少なくなるようにする。
3. 図と図をあけて、図を独立させる
4. 強調したものにする。例として人では顔の比率が大きくする
5. 登場人物(アリ)は小粒にしてしまう。ただし、輪郭が必要である。
6. 例えばアリというイメージがない(見たことがない)から考える
7. カブトムシは角だけ強調する。
8. ベッドは横向きはわかりにくい、真横、真上から見たもの(患者が寝ている)
第2回
平成14年7月29日
於:北陸大学薬学部
米田、中田教諭
宮本、大嶋、毎田、学生1名
1.     点のリズムは無い方が輪郭を意識する(できる)
セミ:イメージとして胴体が厚み(つぶす)、角は細く(線)
カブトムシ:厚みのあるものはつぶす
アリ:米粒(もっと小さく)
メガネ:つるを付ける
2. 実体のサイズである必要はなく、存在をアピールさせる方がよい
3.  大きさと視野のバランスを考える
触れる範囲は指三本であたる(触れる)
4.   人物の識別について
人:登場人物が多い場合、頭のつぶし方で識別するなどして工夫する。(顔でなお認識)
子どもは毛が多いなどと区別させる。
5. 色を形で捉えるのは難しい(聴診器)、式弱者では濃い色(赤)などが捉えやすいが、絵本として考えればよい。
 
アンケート調査結果
(1)県立盲学校
 バリアフリー版「緩和ケア」、「麻薬」に対して内容が「理解できた」についてはそれぞれ30、44%、用語の説明については「理解できた」の36%で、理解し難かった理由として84%が語句が難しいと回答し、その他文章が長い、漢字が多いがそれぞれ8%であった。登場人物に対しては83%が「理解できた」との回答を得た。自由回答として聞きなれない言葉や漢字が多かったとの回答があり、アンケート調査に協力いただいた教員側から「読む側の理解力」、全盲の子どもでは実物のイメージがないため、特に動物などは理解しにくいとの指摘があった。
 
(2)県立視覚障害者協会
 18名(若年性・先天性障害者4名、中途視覚障害12名)の協力により行ったアンケート調査の結果、バリアフリー版「緩和ケア」、「麻薬」「胃ろう」に対して内容が「理解できた」についてはそれぞれ33、44、28%、用語の説明については「理解できた」の28%で、理解し難かった理由として語句が難しい30%、その他文章が長い11%、登場人物に対しては89%が「理解しにくかった」と回答した。18名のうち、点字の読書きができる8名では内容について「緩和ケア」、「麻薬」「胃ろう」それぞれに対して63、75、50%が「理解できた」と有意に高い回答率示しており、ボランティアによる口頭説明があっても「絵」と「音声」のみでは十分な理解は得られなかった。自由回答として、登場人物が多く、区別しにくいこと、本のサイズ、点字のミスの指摘など、具体的な指摘があった。
 現在、詳細を検討し、改訂版の検討を行っている。点字については市販の自動翻訳ソフトを使用したが、専門用語の説明などでは十分に対応できなかった。一方、絵の大きさ、点の間隔などについては特に問題はないとの90%以上の回答を得た。
 
III 研究成果
 マスメディアから一方的な情報やバーチャルな体験だけではなく、日常から話し合っていく機会を得る、またその機会が障害などを共有して行える必要がある。今回は、絵本は年齢を超えて、利用しやすいツールであるという観点に立ち、教材作成を行い、特に視覚に障害のある学童、一般人に評価を依頼した。その結果、多くの問題点はあるが、このような教材作成により医療用語の啓発も含めて
(1)この教材を利用して、生命倫理の用語を理解する。また親と子が、あるいは友達どうし、子供と先生が生命について考える機会を得る。
(2)教材の共用によって障害を理解する。話し合いを通して医療従事者自身が専門性を日常に提供できるとともに医療のあり方を考える機会を得る
ということが実践できることが示唆された。現在、日常の使用での問題をより抽出するために作成した教材(第3版)をアンケートに協力いただいた施設に提供(パネルスピーカー貸与)し、継続利用をいただいている。また、本内容をオフラインCD版の作成、インターネットオンライン配信、北陸大学薬学部病院薬学教室ホームページにより、医療機関などへ提供し、状況に応じて教材の形態を選択できるように試み、内容の評価を仰いでいる。現在、所有の機器では大量生産には向かないことと、製本化が一部手作りであるため、バリアフリー版作成は時間がかかっているが、近隣県への盲学校等へも配布準備にかかっている。
 
財団宛て提出物
バリアフリー版 「メディおばさんの木陰で」 各2部
1. 緩和ケア
2. 麻薬、
3. 胃ろう
 
CD版 「メディおばさんの木陰で」 2部
内容:1. 緩和ケア、2. 麻薬、3. 胃ろう
 
IV 今後の課題
 今回、絵本という年齢に関係なく使いやすいツールを選択したが、アンケート調査の結果から、理解を深めるためには登場人物の限定、本のサイズ・強度などの配慮が必要であった。また、今後、より簡便に場所を問わず、利用できるように、音声を冊子内に組み込むための検討(メモリサイズ、価格)、障害を問わず共通の教材(音声は感知式パネルスピーカーを利用)が利用できるユニバーサルな観点に立ち、バリアフリー機能(点字、立体画、音声)をできるかぎり、すべて組み込んだ教材としての開発が必要である。
 バリアフリー機能は健常者が利用しても都合のよいものであるが、現在は福祉機器、教材などとして開発され、一般の教材との共用性は低い。
ユニバーサルデザインの原則は(1)公平に利用できる、(2)利用において柔軟性を持つ、(3)単純で直感に訴える利用法である、(4)認知できる情報である、(5)エラーに対する寛大さを持つ、(6)少ない身体的努力で利用できる、(7)接近や利用のためのサイズと空間がどこでもとれる、などであるが、今回のアンケート調査中でも、特に情報提供に関わる部分は障害=特殊扱いとなり、十分ではない。より、共用品(教材)の普及活動が必要である。
 
V 研究の成果等の公表予定
学会発表
1:第62回国際薬剤師薬学会議(FIP)
 平成14年8月31日〜9月5日、Nice(France)
 The Universal Booklet for Bioethics Education
 Taeyuki Oshima, Naomi Nagai, Chieko Maida, Etsuko Miyamoto, Naohiro Sugita
 (初版使用)
2:第4回子どもの心・体と環境を考える会学術大会
 平成14年11月23日(東京)
 演題:医学用語啓発のためのバリアフリー冊子作成を通したバイオエシックス教育の試み
 宮本悦子、大嶋耐之、毎田千恵子、長井奈緒美、橋本真由美、杉田尚寛、栢野真佐子、高田宗明(口頭発表:第3版のスライドによる紹介及び県立盲学校でのアンケート調査結果を一部発表)
3:アンケート調査結果および改訂版の展示及び学会発表予定
 
展示発表
1. 第7回石川緩和ケア研究会
 平成14年7月6日 (金沢)
 初版 バリアフリー版「緩和ケア」、「麻薬」
 宮本悦子、大嶋耐之、毎田千恵子、杉田尚寛、栢野真佐子、高田宗明
2. 第4回北陸PEG・在宅栄養研究会
 CD版(コンピュータ使用)、バリアフリー版「胃ろう」
 平成14年11月24日(金沢)
 杉田尚広、奥村義治、山岸明美、橋本真由美、長井奈緒美、毎田千恵子、大嶋耐之、宮本悦子
 
論文
投稿準備中:日本医療薬学会雑誌







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