4. 海上安全における技術援助プログラム(議題14関連)
プレナリーにおいて以下の4項目について審議が行われた。
(1)安全に関する技術協力活動の進展状況
事務局より提出文書(MSC76/14)に基づき2002年の技術協力活動について報告が行われ、引き続き提出文書(MSC76/14/3)により各地域における海上保安強化のためのセミナー/ワークショップの実施状況が報告された。
(2)2004−2005年の海上安全及び保安関連技術協力
総合技術協力プログラムの一環として海上安全及び保安強化の主題の優先度付けが事務局提出文書(MSC76/14 Annex 2)をベースに検討され、次の6項目を取りあげる事に合意した。
(イ)IMO基準に基づいた船舶及び港湾施設の保安対策の確立
(ロ)IMO条約及び強制規定の有効な実施
(ハ)STCW条約に基づく教育訓練、評価、試験などの強化の為の海事関連主官庁に対する援助
(ニ)海事関連主官庁に対する人的資源強化の為の援助
(ホ)漁船の安全強化のためトレモリノス議定書及びSTCW−F条約批准の促進
(ヘ)海事教育訓練機関への援助
(3)IMOモデルコース プログラム
事務局の報告(MSC76/14/1)を受け、引き続きこのプログラムの進展状況を次回会合(MSC77)に報告するよう指示
(4)PSC MOU事務局員に対する第2回ワークショップ
ワークショップの状況が事務局より報告されたが(事務局文書MSC76/14/2)、キプロスはワークショップによる本委員会への勧告の幾つかは、まず本委員会で十分に審議した上で必要ならFSI小委員会に参照すべきと提案し合意された。そして事務局に次回会合(MSC77)ヘワークショップの報告書を審議のため提出するよう指示した。また今後のワークショップはこの審議結果をみるまで中断する事となった。
5. 作業計画(議題20関連)
(1)MSC77における議題
MSC77の議題は以下のとおりとした。
Decisions of other IMO bodies
Consideration and adoption of amendments to mandatory instruments
Large passenger ship safety
Bulk carrier safety
Measures to enhance maritime security - Outcome of the 2002 SOLAS Conference
Proposed IMO Model Audit Scheme
Places of refuge (Prestige関係も含む)
Dangerous goods, solid cargoes and containers (report of the seventh session of the Sub-Committee)
Radio communication and search and rescue (report of the seventh session of the Sub-Committee)
Fire protection (report of the forty-seventh session of the Sub-Committee)
Training and watch keeping (report of the thirty-fourth session of the Sub-Committee)
Ship design and equipment (urgent matters emanating from the forty-sixth session of the Sub-Committee)
Bulk liquids and gases (urgent matters emanating from the eighth session of the Sub-Committee)
Flag State implementation (urgent matters emanating from the eleventh session of the Sub-Committee)
Technical assistance subprogramme in maritime safety
Role of the human element
Formal safety assessment
Piracy and armed robbery against ships
Implementation of instruments and related matters
Relations with other organizations
Application of the Committee's Guidelines
Work programme
Election of Chairman and Vice-Chairman for 2004
Any other business
またWGは以下の3つの議題について設けることとなった。
Bulk carrier safety
Measures to enhance maritime security−Outcome of the 2002 SOLAS Conference
Proposed IMO Model Audit Scheme
なお、MSC77の会期は2003年5月28日から6月6日である。
また、Prestige号事故関係の新規作業項目提案文書の提出期限は、2003年2月15日まで延長された。
6. その他(議題22関連)
(1)国際セイフティネットマニュアルの改定案(MSC76/22/6、MSC76/22/9)
(イ)事務局からMSC76/22/6、ロシアからMSC76/22/9の紹介が行われた。
(ロ)デンマーク、ノルウェー、オランダ、フランス:COMSAR6の審議結果を尊重すべきであり、ロシアの提案は受け入れられない。
(ハ)日本:COMSAR6の審議結果を支持するが、ロシア提案については次回COMSAR7において更なる検討を行い、この結果新たな問題が明らかになれば改めて回章に付すべきである。
(ニ)以上の議論を踏まえ、議長は、COMSAR6の審議結果を採択、回章に付すことを確認するとともに、次回COMSAR7においてロシア提案を審議する旨総括した。なお、当該ロシア案には日本海北西部のNAVAREAが関与するところ、ご検討お願い申し上げる。
(2)船舶通航業務(VTS)要員の訓練と証明に関する基準(MSC76/22、MSC75/23/9)
(イ)国際航路標識協会(IALA)からMSC75/23/9の紹介が行われた。
(ロ)我が国は同提案に対し、支持を表明した。
(ハ)これを踏まえ、議長はIALA提案通り、回章の改訂の実施について総括した。
(3)船舶の図面、マニュアル及び書類へのIMOナンバーの適用(MSC76/22/1, IACS)
IACSより、船舶に備置義務を課している多数の図面、マニュアル及び書類については、船名等が明記されていたとしても変更等がなされれば特定することが困難になることから、特定するためにIMO船舶番号をマニュアルに付すことにつき、提案があった。米は、本件は審査作業項目提案に該当するため、政府以外のObserverがそのような提案をすること、及びその他の事項の議題にて検討することに難色を示した(米は、その他の事項の議題の下に新作業項目提案をすることに強く懸念を示している)。
議長より、今後は新作業項目提案はすべてその議題の下に文書を提出することを強くメンバーに要請したが、今次会合では、この文書を受け付ける旨提案があり、MSCはこれを了承した。
内容については、FSI対して、その他の議題の下に本件の進め方について一般的に検討しMSC77へ報告するよう指示した。
(4)船員に対する操作要件マニュアル(MSC 76/22/4, MSC 75/23/1, Sec.)
事務局より、船員の操作要件に関するマニュアルが、CD-ROMの形式により、2002年末を目途に出版されることが報告され、ノートされた。このCDが、SOLASで要求されるマニュアル本と同等とみなせるかは、今後検討することとなった。
(5)Equasis情報システム(MSC 76/22/5, Sec.)
事務局より、Equasis管理ユニットのディレクターは、MOUの修正案を管理委員会のメンバーに承認のために回章したこと、及びIMOについてもECと同様の免責事項を現在のEquasis免責の中に加えたことを伝えるレターを発出したことの報告があり、ノートされた。
(6)国際安全NETマニュアルの改正(MSC 76/22/6, Sec., MSC 76/22/9, ロシア)
事務局及びロシアから、提案文書が説明された。改定案では、付属書1(改定案添付)でマニュアル中の語句の改定及び付属書3(マニュアル添付)の差替え、付属書2(改定案添付)で付属書6(マニュアル添付)が差替えられるが、ロシアから付属書6に記載されていた、航行警報及び気象警報におけるエリア指定(長方形・円形)の削除に対し、航行警報及び気象警報のエリア指定も残すよう提案され、COMSAR7で詳細を審議し、改定案の承認を行なうこととした。
(7)IACS品質システム証書スキーム(QSCS)に関するIMO/IACSの協力(MSC75/23/2, Sec.)
スペインは、recognized organization(IACS Class)で行うことに問題はないと述べ、バヌアツが支持した。本件については従前の例に因る旨、合意した。
(8)船舶に対する有害汚染防止システムのコントロールに関する国際条約の外交会議からの報告(MSC /75/23/4, Sec.)
2001年10月1〜5日までIMO本部で行なわれた、船舶に対する有害汚染防止システムのコントロールに関する国際条約の外交会議で、当該会議で当該条約及び決議が採択されたことが報告され、ノートされた。
(9)国際健康規則の改正(MSC 75/23/6, Sec.)
WHOの国際健康規則の改定が現在行なわれている。本件対しWHOから協力の要請がIMOにあり、事務局は、船舶の衛生設備に関するWHOのガイドラインの改定作業に参加している。委員会は、事務局に対し、今後も参加し、本件の進捗を報告するように指示した。
(10)ICONSの船舶の安全に関する調査報告(MSC 75/23/8, オーストラリア)
オーストラリアより提出の本件に対し、委員会は、FSI及びSTW小委員会で検討することをノートした。
(11)IMO会社識別番号について(MSC 75/23/11, 英、仏)
IMO会社識別番号の実施について、英国及びフランスから提案があり、委員会は、FSI11に新規作業プログラムに組み入れ詳細な検討を要請し、MSC77にその他の作業の事項として扱うこととした。
(12)海上輸送の安全評価に関するセマティック・ネットワーク(MSC75/INF. 16, マルタ、英国)
ECプロジェクトである本件の情報が提供され、委員会は、ノートした。また日本から2003年に本プロジェクトが終了することから最終報告を要望した。
7. プレステージ事故関連
(1)スペインはプレステージ事故の概要とスペイン沿岸の海洋汚染の状況について述べ、今後の対策として海洋汚染防止条約規則以前の単船側のタンカー及び危険物搭載船のEEZ内航行及び使用の禁止、旗国に対する査察、PSCの強化、船級協会による設計強度の確保、救助のための援助における避難水域に関する検討が必要であると主張し、これらに関する作業項目提案をIMOへ提出する用意があることを表明した。フランスはスペインを支持し、フランスも同様の措置を取る旨表明した。
一方、旗国であるバハマは、船長がスペインに勾留されているため事情聴取ができないこと、船長は乗組員を退船させた後、機関長、一等航海士と共に船に残り、ウィンチ動力を失った船で曳航索を取る作業など勇敢に行動しており、勾留にはあたらないこと、本船の事故が構造破壊とするのは早尚であると述べ、スペインに対して船長を直ちに釈放するよう要求する措置を取っている旨表明するとともに、事故調査報告書が纏まり次第IMOへ提出するとした。
EU代表は、緊急EU大臣会議の決定(MARPOL Annex I 13G規則の更なる前倒し導入他)を紹介するとともに、本件をIMO MEPC49及びMSC77へ向けて文書提出する用意があることを述べた。
モロッコは、スペイン及びフランスを支持しつつ、フランスと同様の措置を取る旨表明した。
オニール事務局長はMSCとして本事故にどう対応すべきか検討すると述べた。MSC議長は本件事故に関連して検討課題の提案があれば第77回MSC(2003年5月)で検討すること、そのための作業項目提案文書の提出期限を2月28日まで延長することを提案し、MSCはこれに合意した。
(2)また、会合最終日、マルタが沿岸国等のマルタ籍タンカーに対してとった措置(EEZからの排除)について、国際法上問題ありとして強く抗議をし、バハマ、ロシア、ライベリア、中国、マーシャル諸島がこれを支持した。これに対し、フランスは自己の正当性を主張し、スペイン、モロッコが支持をした。
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