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2. シップリサイクル(議題3関連)
 
(1)プレナリーでの審議
 コレスポンデンスグループのレポートの報告がコーディネーターよりなされた後に、我が国よりこの問題はUNEP、ILOと協力を行いつつも、IMOが主導的にこの問題を解決すべきこと、船舶の解撒ヤードヘの最終航海前の有害物質除去は最終航海の安全性の観点から対応できる範囲に限界があり検討が必要であること及び現存船のインベントリーリストの作成についても対応できる範囲に限界があり検討が必要である点を指摘した。バヌアツは解撤ヤードヘの最終航海の安全性の確保は重要であるとして我が国の意見に賛同し、詳細についてはワーキンググループ(WG)にて検討することとなった。
 ノルウェー、デンマーク、ドイツ等の多くの国よりWGにおいて船舶のリサイクルに関するガイドライン案に含まれる文言について精査を行うべきとの指摘があり、WGにて検討を行うこととなった。
 イランよりリサイクルヤードを選択する基準が現在はなく、WGにおいて検討を行うべきであるとの意見があり、基準を作成する必要があるかどうかも含めて詳細についてWGにおいて検討することとなった。
 インドより、解撤予定船舶が解撤ヤードヘ引き渡されるまでの船主の責任をどのようにして維持していくべきか検討を行う必要があるとの指摘があり、この問題について旗国及ぶ寄港国の責任と合わせて詳細についてWGにて検討することとなった。
 WGにおいては、以上の点も含めて船舶のリサイクルガイドライン案全般及び総会決議案全般について検討を行うこととなった。
 
(2)WGでの審議
 
(イ)解撤ヤードヘの最終航海における安全性の担保
 プレナリーに引き続き我が国より船舶の解撤ヤードヘの最終航海前の有害物質の除去については最終航海における安全性を担保する観点から、詳細な検討を行う必要がある旨指摘したところカナダを初めとして各国の賛同が得られ、結果としてガイドライン案に解撤ヤードヘの最終航海の安全性を確保する必要がある旨の文章がガイドライン案に追加されることとなった。従って、最終航海前の船舶の準備に関しては、解撤ヤードヘの最終航海の安全性を十分考慮しながら実施することが合意された。
 
(ロ)現存船のインベントリーリスト作成
 我が国より現存船のインベントリーリストの作成については対応できる範囲に限界がある旨指摘を行ったところ、現行のガイドライン案においても既にできる範囲でインベントリーリストを作成することという文章がガイドライン案に入っているとの指摘があり、結果としてガイドライン案は現行案のままとなった。従って、現存船のインベントリーリスト作成に関してはできる範囲で実施することが合意された。
 
(ハ)解撤予定船舶に対するPSC
 我が国よりこのガイドライン案は現時点においては勧告であり、PSCのスキームに乗せるべきではない旨指摘を行ったところ、多くの国の賛同を得た。結果として、解撤ヤードヘの最終航海前の船舶に対するPSCは通常のPSCのみを行い、リサイクルガイドラインに関する事項は含まないことが現時点において合意された。しかしながら、この問題について更なる検討が必要かどうかについてFSI小委員会の意見を聞くこととなった。
 
(ニ)船舶に含まれる有害物質のリスト
 船舶に含まれる有害物質のリストの作成に関しては、DE小委員会及びBLG小委員会にその作業を委託することとなった。
 
(ホ)リサイクルヤードの選択に関する基準
 船主がリサイクルヤードを選択するための基準を作成することは有意義である点が認識されたものの、基準作成に関してはIMOにおける検討事項の対象外である点が合意された。
 
(ヘ)船舶の所有者の交代に関する法的問題
 船舶の所有者の交代に関する責任の継承の問題については、技術的な問題ではなく法的な問題であることから、法律委員会において検討を行うべきであるとの意見が大勢を占め、結果としてこの問題の検討に関して法律委員会に委託することとなった。
 
(ト)リサイクルヤードにおける受入施設
 MARPOL73/78条約附属書I第12規則にて規定されている油に関する受入施設を解撤ヤードにも設けるべきであるとの提案がワーキンググループにおいてなされたが、議論の結果関心のある国は委員会に対して文書を提出し、提出された文書を基にして改めて議論することとなった。
 
(チ)船舶のリサイクルガイドライン案全般
 ガイドライン案全般について一通り審議が行われたが、時間の関係から多くの部分について更なる検討を行う必要がある旨合意された。なお、今次会合において変更された箇所は全てスクウェアブラケットに入れて今後特に検討が必要な箇所とすることで合意された。
 
(リ)総会決議案
 総会決議案全般について審議が行われたが、時間が不足していたこと及び総会決議案の内容は船舶のリサイクルガイドライン案の内容が固まってから審議を行う必要がある旨指摘があったことから、引き続き検討を行うこととなった。なお、グリーンピースよりガイドライン案の実施状況についてMEPCに報告を行うべき旨総会決議に含めることが提案され、この点についても今後検討していくことが合意された。
 
(ヌ)コレスポンデンスグループ及びワーキンググループの設置
 船舶のリサイクルガイドライン案及び総会決議案についてさらに詳細な検討が必要である点が合意されたことから、委員会に対してコレスポンデンスグループ(CG)を再設置すること及び次回MEPC 49においてWGを設置することを要請することとなった。
 
(3)プレナリーでの審議(WG審議後)
 WG議長より、WGの結果報告(MEPC 48/WP. 12, MEPC 48/WP. 12/Add. 1)がなされた。インタータンコよりCGにおいて船舶のリサイクルガイドライン案に関し文言の精査のみならず、実質的な問題についても検討を行うべきとの意見が出され、サイプラスがこれに同意した。結果、再設置されたCGにおいてガイドライン案に関し文言の精査のみならず、実質的な問題についても検討を行うこととなった。また、MEPC 49にて改めてWGを設置することが合意された。
 船舶の所有者移転に関する法的問題については、法律委員会に検討を委託する前にCGにおいて法的側面の明確化等について検討を行っていくことが合意された。
 バハマよりグリーンパスポートの作成及び実施に関する船舶の建造国の役割を明確にすべきとの指摘があり、今後検討を行っていくこととなった。
 今回WGにおいて船舶のリサイクルに関するガイドライン案及び総会決議案の検討を行ったものの、時間の関係からまだ検討すべき点が多く残っていることが確認された。従って、今後再設置されたコレスポンデンスグループ及びMEPC 49のWGにおいてさらにガイドライン案及び総会決議案について詳細な検討を行い、2003年秋の第23回総会において採択することを目標とすることが改めて確認された。
 
3. 強制要件の改正の考察及び採択(議題5関連)
(1)Condition Assessment Scheme(CAS)の改正
 CASはMARPOL73/78条約附属書II第13G規則で定義されるCategory1及び2の船舶に対し船齢により要求される延命措置としてMEPC決議94(46)として採択されているが、その具体的な実行のための検査プランとして「CASモデル検査計画書(Model Survey Plan for CAS)」が前回のMEPC 47において同決議の改正案として作成・承認され今次会合での採択のため回章されていた(MEPC 48/5)。本改正案については蘭よりeditorialな修正が提案されたところ、Mr. Charalambous(Cyprus)を議長とするドラフティンググループ(DG)においてテキストの修正が行われ、改正案についてはプレナリーにおいて採択された。
 なお、「CASモデル検査計画書」については、今次会合で採択された改正案が発効する予定の2004年3月1日より前にCASを実施する船が存在する事から、CAS実施の便宜を考慮し既にMEPC/Circ. 390として発行されていたところ、改正案が採択されたことから実施においては本改正を使用することを推奨し、本改正案が発効した時点で同Circularを失効させることが確認された。
 本件に関連し、CASの決議においてIMOに要求されている「CAS情報の締約国間での情報公開のためのデータベース」がすでに構築されていることがIMO事務局より報告された。
 
(2)1973年の油以外の物質による汚染の場合における公海上の措置に関する議定書(公法議定書)
 公法議定書に添付される物質の改正が回章されていたが(MEPC 48/5/1)、前述のDGにおいてeditorialな修正が行われた上、プレナリーにおいて採択された。
 
4. 小委員会の報告(議題9関連)
(1)FSI小委員会の報告(MEPC 48/9/1関連)
 FSI 10の審議結果が報告(MEPC 48/9/2)について、審議がなされた。パラ2.5のPSC時のdetention通報に関し、バヌアツ等より、寄港国からのdetention通報が適切に旗国になされていない(連絡先のアップデートがなされていない等)との意見がなされた。一方、我が国は、detention通報が旗国になされていないことは非常に問題であるが、本件は寄港国の問題だけでなく、寄港国側が通知しても旗国側の通信事情等によりに通知が受領されないと等の旗国側の問題でもあること、また、改善策の一つとしてwebsiteの活用すべきとの意見をなし、ノルウェー等がこれを支持した。審議の結果、議長より、旗国側も含めdetention通報の改善(websiteの活用を含む。)が提案され、次回、FSI小委員会で検討することが合意された。なお、その他事項については、特段の意見なく、報告が了承された
 
(2)総会決議A.847(20)の見直し(MEPC 48/9/3関連)
 FSI10において合意された、旗国の実施強化を図るため、条約等の実施に対する旗国援助に関するガイドライン(総会決議A.847(20))の見直し(将来の「旗国実施コード」の作成等)について、審議がなされた。サイプラスが、本件は旗国だけでなく、寄港国も含めて検討することが適切であるとの意見をなし、フィリピン等が、「旗国実施コード」の対象はIMO関係条約に限定すべきとの意見をなし、また、英国が、FSI小委員会に提案した転籍の問題も含めて検討すべきとの意見をなした。議長より、大勢が本件を支持していることが確認され、上記各国意見を含め、本件の検討を行うことが了承された。
 
5. 他の機関の活動(議題10関連)
(1)モデル監査スキーム
 冒頭、議長より、モデル監査スキームの詳細な内容についてはC89で検討を行うこととなっており、今次会合においては、時間の制約により、方向性の議論のみを行うことにしたいとの要請があった。
 文書MEPC 48/10/5に記載されるモデル監査スキーム、合同作業グループの設置及び当該スキーム中のMARPOLに関連する事項については、我が国を始め、英、米、フィンランド、サイプラス、独、フィリピン、韓国、リベリアから当該文書の内容を支持する発言があった。一方、ブラジルよりは、作業部会にどのようにTORを与えるのか疑問であることと、当該スキームの実施は時期尚早である旨の発言があった。
 強制スキームについては、米、バヌアツより、自己監査については、米、サイプラスより反対が表明された。
 また、バハマより、(イ)監査をする者には途上国が含まれるべきであり、アドミニストレーションのバランスをどのようにするのか、(ロ)監査を受ける際の言語の障害があること、(ハ)誰がコストを負担するのか、という指摘があった。
 結果として、(イ)モデル監査スキームは任意スキームか更に検計を要すること、(ロ)合同作業部会の設立に合意することとされたが、その一方で、自己監査を含むインド提案及び強制スキームを含むベリーズ提案、上述のバハマの指摘並びにMEPC 48/10/5のANNEXについての更なるチューニングは、同作業部会で将来検討すべきものとされた。
 
(2)ISMコードにおける主要な不適合に関する手続
 ISMコードにおける主要な不適合に関する手続については、MSC75でMSC/MEPCサーキュラー案が作成され、今次会合で承認することが求められていたものの、主要な不適合によってDOCが無効になった際の手続に関するIACSの指摘(文書MEPC 48/10/8)を受け、英より、サーキュラー案パラ5の最後の文章(In such a case, however, at least one ship of each type operated by the company should be verified.)を削除すべきとの提案があったところ、同提案どおりMSC/MEPCサーキュラー案を修正することとなり、MSC76に承認を求めることとなった。
 
6. 条約の状況(議題11関連)
(1)MARPOL73/78条約附属書IVの発効
 事務局より、MARPOL73/78条約附属書IVが発効要件を満たし、2003/9/27から効力を有すことが報告された。本件に関し、我が国は、MEPC 44で同附属書の改正案が作成されているところであり、また、同委員会で附属書IVの実施に関するMEPC決議(MEPC. 88(44))が採択されていることから、現行附属書と当該改正案の取扱いについて、事務局の見解を尋ねた。これに対し、事務局より、次の回答がなされた。
(イ) 改正案は、条約に規定する改正手順に従い、条約発効後のMEPC(2004開催)で正式に採択され、その後効力を有する予定である。
(ロ) 現行附属書と改正案の関係については、法律的な問題も存在するため、IMOの法律部と調整を行い、その取り扱いに関するガイダンスを次回MEPC 49に事務局から提出する予定である。
 
7. MARPOL73/78条約及び関連規則の実行及び効力の推進(議題12関連)
(1)MARPOL73/78条約条約の報告の件(MEPC 48/12)及びMEPC/CIRC. 380の結果(MEPC/12/2)
 議長から、強制的なMARPOL73/78条約の報告に関しFSI 10小委員会での指摘事項及び報告率の低い現状の説明があった。メンバー国が外交上のチャンネルを通すよりもIMOに直接に報告すれば、状況は改善されることが合意された。
 さらに、MARPOL73/78条約附属書IVの締約国からの管轄水域での汚水の排出及び利用可能な港の受入施設に関する情報の報告について結果報告の説明があった。
 
 これに関連して、ノルウェーがMARPOL73/78条約附属書IVを批准したことが報告され、合計88ヵ国が批准し、批准国の世界商船隊のトン数割合が50%を超えたことが報告された。それによって、MARPOL73/78附属書IVは2003年9月27日に発効する。
 
(2)CASデータベースの件(MEPC 48/12/1及びMEPC 48/12/3)
 議長及びシンガポールからCASデータベースについて説明がありノートされた。
 EQUASISのデータベースに、CAS適合船であることを表すマーク及びCASの適合証明(State of Compliance)の内容を組み込むために、IMOに対して情報の提供及び公開データベースでの利用を求める件に関しては、豪州の提案により適合証明の停止及び取消し並びに適合証書の拒否を除いて、発行された適合証明の明細に関する情報をEQUASISに組み込むことが合意された。さらに、適合証書が発行されてから取り消された場合には、すべての関連事項はシステムから削除される。
 
(3)旗国のコメントの公開(MEPC 48/12/4)
 フランスから本文書の説明がありノートされた。各国の支持表明によってPSCで航行停止を受けた船舶の旗国からのコメントを、IMOからEQUASISに提供し公開することが合意された。
 
(4)ROPME及びMEMACの活動(MEPC 48/INF. 5)及び油性スラッジを低減するための均質化装置(MEPC 48/INF. 13)
 議長から標記文書の紹介がなされノートされた。
 
8. MARPOL条約及び関連コードの実施及び執行の促進(議題14関連)
(1)MAPOL73/78条約附属書III物質の評価クライテリア(MEPC 48/14関連)
 ドイツから提案文書(MEPC 48/14)の説明がなされ、今後、関連の委員会等で本件の検討を行うことが了承された。なお、サイプラスより、DSC小委員会の作業計画に本件を含めるべきとの提案がなされ、「議題18作業計画」において、本件検討の議題をDSC小委員会に含めることがあわせて了承された。
 
(2)MARPOL73/78条約附属書Vの改正提案(MEPC 48/14/1関連)
 本件提案は、条約改正事項であることから、本議題で検討するのは適切でないとして、提案国であるオーストラリアが本件提案を取り下げた。
 
(3)MARPOL73/78条約附属書I第13G規則のタンカーカテゴリーの解釈(MEPC 48/14/2関連)
 1982/6/1以前に引き渡しされたカテゴリー2油タンカーは、カテゴリー1にすべきとするロシア提案(MEPC 48/14/2)について、我が国より、タンカーカテゴリーは十分な議論をした上で、規則化したものであり、ロシア提案の内容が不適切であることは当該規則上明確であること、また、当該提案は現行規則の改正となることから本件議題で扱うこと(解釈論で扱うこと)は適当でないとの意見をなし、オランダ、中国、シンガポール及びギリシャが我が国意見を支持し、結果、本件提案は却下された。
 
9. 船舶の防汚塗料の使用による有害影響(議題15関連)
(1)プレナリーでの審議
 事務局より、AFS条約に引用されFSIで検討を行っている次の3つのガイドラインについて、FSI10での審議状況が報告された(MEPC 48/15)。
・船舶の防汚方法の検査及び証書に関するガイドライン
・船舶の防汚方法の監督(PSC)に関するガイドライン
・船舶の防汚方法の簡単なサンプリング採取に関するガイドライン
 
(イ)船舶の防汚方法の検査及び証書に関するガイドライン
 本ガイドラインはAFS条約ANNEX4/Reg1(4)(a)でその作成が要求されており、FSI10でガイドライン案が作成され今次会合においてMEPC決議としての採択が求めらている。
 本案についてはノルウェー(MEPC 48/15/1)等から検査の具体的な方法・書類の内容等に関し一部修正が提案されており、それぞれ説明があった。また米国から防汚システムの変更または取替えあるいは小さな修理(small repair)について具体的なパーセンテージを決めておくべきとの提案(MEPC 48/15/5)の説明があった。
 これらの提案に対し我が国より、
(a)ガイドライン案およびノルウェー・AWESの修正案は基本的に支持できるが、塗料確認の書類審査においてMSDS(Material Safety data sheet)のみを認めるべきとなるノルウェーの修正案については、OECDのメンバ国のみがMSDSを有しており、その他の国は問題が生じることから、同等の書類を認めるべきとする「or similar」を原文どおり残すべきこと、
(b)米国の主張する「small repair」についてパーセンテージの設定は、船の大きさにより大きな差異が生じることから適当ではないこと、
等を主張した。
 また、サイプラスより「flag administration」、「shipowner」等のガイドラインの語句について他の条約と用語の整合性を取るべきとの意見、英国より検査においては書類やサンプリングだけでなく「on Site survey」として塗装の全体状況を検査において確認するべき必要性が指摘された。
 これらの意見を踏まえて議長より、ドラフティンググループ(DG)にて本ガイドライン案を見直すよう指示があり、我が国代表団の吉田氏を議長とするDGが設置された。
 
(ロ)船舶の防汚方法の監督(PSC)に関するガイドライン
 本ガイドラインについては、現在FSIで審議中でありコメントがあればFSI11に文書を提出する旨議長より要請があった。
 
(ハ)船舶の防汚方法の簡単なサンプリング採取に関するガイドライン
 独より本ガイドラインの作成は早急に進めるべきであり、MEPC 44/3/7でもサンプリングに関して関連する文書が提出されているとの発言があった。本件についても議長より現在FSIで審議中でありコメントがあればFSI11に文書を提出する旨要請があった。
 
(ニ)AFS条約ANNEX1に記載される対象物質について
 FSI10においてIACSは、AFS条約ANNEX1に記載すべき物質として非殺傷生物の有機スズなどが入った塗料が該当するかなどについて、対象物質の明確化をもとめるコメントを提出しており今後の課題とされていた。本問題については我が国よりMEPC 48/15/3として、TBT検出の問題点や判定基準の設定を提案する文書を提出し、非生物殺傷の有機スズの閾値の設定や当面の本条約の対象物質をTBT・TPTとすべき旨の説明をおこなったところ、ノートされFSIで今後の検討資料とされることなった。
 
(2)DGでの審議(船舶の防汚方法の検査及び証書に関するガイドライン案)
 DGにおいては、FSI 10で作成された「船舶の防汚方法の検査及び証書に関するガイドライン」案をベースに、ノルウェー、CEFIC、AWES及び米国の提出文書ならびにプレナリーでのコメントをもとに、項目毎に検討が行われた。
 我が国がプレナリーで指摘した書類の件については、FSI 10の原案通り「or similar」が残されることとなった。「small repair」についてはDG出席者の大勢はパーセンテージの設定の必要性を認め、「一般的な補修は検査の必要がないが、補修がAFS適用範囲の25%以上に行われた場合には、AFSが変更されたこととする」とテキストが修正された。
 
(3)プレナリーでの審議(DG審議後)
 DG議長より、DGで作成された「船舶の防汚方法の検査及び証書に関するガイドライン」案の説明があり、特段の議論はなくMEPC決議として採択された。また、ノルウェーより、条約の発効前であっても、本ガイドラインを適用し、早期に検査を行うべきとの意見がなされ、我が国及びオランダがこれを支持し、結果、了承された。







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