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22)羽根展開面積
 羽根展開面積とは伸張図で円孤上にある各羽根断面を一直線に延ばした状態でのプロペラ羽根の面積を言う。プロペラ形状を表現するのに、通常この展開面積が用いられる。なお、伸張面積と展開面積とはほぼ等しい面積である。(3・28図参照)
3・35図 伸張図と投影図の関係
 
23)羽根投影面積比
 羽根投影面積比とは投影面積をプロペラの全円面積で割った値である。
投影面積比=投影面積/全円面積
 
24)羽根伸張面積比
 羽根伸張面積比とは伸張面積をプロペラの全円面積で割った値である。
伸張面積比=伸張面積/全円面積
 
25)羽根展開面積比
 羽根展開面積比とは展開面積をプロペラの全円面積で割った値である。
展開面積比=展開面積/全円面積
 
26)平均羽根幅
 平均羽根幅とは1つの羽根の展開面積を羽根の長さで割った値を言う。
平均羽根幅=展開面積/羽根数×(プロペラ半径−ボス半径)
 
27)平均羽根幅比
 平均羽根幅比とは平均羽根幅をプロペラ直径で割った値を言う。
平均羽根幅比=平均羽根幅/フロペラ直径
 
28)羽根レーキ(傾斜)
 羽根レーキとは3・34図に示すように羽根傾斜は軸心に垂直な面に対するプロペラ前進面の基線の傾きを言う。
 羽根傾斜は通常プロペラの場合、船尾側方向に5°〜12°位傾斜しているが、高速艇などの場合、傾斜のないものや、船首側方向に傾斜しているものもある。船尾側方向に傾斜しているプロペラはプロペラ羽根先端と船体との間隙を大きくするには良い方法であり、また船首側方向に傾斜しているプロペラは高速艇などで回転に基づく遠心力を利用して、少しでも羽根根元部の応力を減じて、羽根厚さを薄くするための工夫である。
 
29)ウォッシュバック
 ウォッシュバックとは3・28図に示すようにプロペラ羽根の各断面で前縁側および後縁側が前進面基準線より反り上がった状態を言う。一般に羽根前縁側に付いている場合が多いが、羽根断面によっては、後縁側に付くこともある。
 
30)スキューバック
 スキューバックとはプロペラ羽根の設計中心線と羽根先端とのずれの距離を言う。
 
31)スキュー角
 スキュー角とはプロペラ羽根投影図において、プロペラ軸中心と羽根幅中心線の羽根先端の点とを結ぶ直線とプロペラ軸中心から羽根幅中心線へ引いた接線とがなす角度である。通常型プロペラの場合、スキュー角は7〜8度であり、ハイスキュープロペラの場合は25度以上である。(3・37図参照)
 
32)プロペラキャップ
 プロペラキャップとは3・28図に示すようなプロペラナット用の覆いを言う。プロペラボンネットまたは冠とも言う。プロペラキャップの内部にはプロペラ軸の防食のためのグリースなどの充填材を充填する。小型プロペラの場合プロペラキャップはプロペラナットを兼ねることもある。
 
33)プロペラの回転方向
 プロペラの回転方向は3・36図に示すように、船が前進しているとき、船尾側から船首側を見て、プロペラが時計の針と同じ方向に回っているものを右回りと言う。その逆のものを左回りと言う。
 1軸船では普通右回りのものが多く使われるが、漁船など、減速機などの関係でまれに左回りのプロペラもある。特に小型機関の場合左回りのものもある。
 2軸船では、右舷側プロペラは右回り、左舷側プロペラは左回りとなるのが普通であり、これを外回りと言う。まれには右舷側プロペラが左回りで、左舷側プロペラが右回りの場合もあり、これを内回りと言う。
 1軸船の場合、右回りプロペラは船の前進時に船尾を右舷方向に、船首を左舷方向にふれ回す性質がある。左回りプロペラはこの反対のふれ回り性質がある。プロペラの回転方向は非常に簡単なことであるが、実際にはよく問違いをおこすので、十分注意が必要である。
 
3・36図 回転方向
 
34)固定ピッチプロペラ
 固定ピッチプロペラとは羽根がボスに固定され、ピッチ角が変えられないプロペラのことを言う。通常使用されているプロペラである。
 
35)可変ピッチプロペラ
 可変ピッチプロペラとはピッチ角を船の前進から後進まで自由に変えることができる機構をもったプロペラを言う。(3・43図参照)
 
36)一体型プロペラ
 一体型プロペラとは羽根とボスとが一体に鋳造された構造のプロペラを言う。(3・28図参照)
 
37)組立型プロペラ
 組立型プロペラとは羽根とボスとを別々に作って組み立てたプロペラを言う。可変ピッチプロペラは一種の組立型プロペラである。
 
38)キー付きプロペラ
 キー付きプロペラとはプロペラ軸とプロペラボスとのはめあい部にキーを用いて取り付ける構造のプロペラを言う。これは従来からのプロペラ取り付け方法で、中小型船のプロペラはほとんどがキー付きプロペラである。(3・28図参照)
 
39)キーレスプロペラ
 キーレスプロペラとはプロペラ軸とプロペラボスとのはめあい部にキーを使わずにプロペラを押込み、コーンパート部の摩擦力によって固定し、取り付ける構造のプロペラを言う。
 
40)一定ピッチプロペラ
 一定ピッチプロペラとは3・32図に示すようなピッチが羽根の根元から先端まですべて等しい(一定)プロペラのことを言う。
 
41)逓増ピッチプロペラ
 逓増ピッチプロペラとは3・32図に示すようなピッチが羽根の根元から先端にかけて徐々に増加しているプロペラのことを言う。
 
42)逓減ピッチプロペラ
 逓減ピッチプロペラとは3・32図に示すようなピッチが羽根の根元から先端にかけて徐々に減少しているプロペラのことを言う。
 
43)ハイスキュープロペラ
 ハイスキュープロペラとは3・37図に示すようなスキュー角の大きいプロペラを言う。一般にスキュー角が25度以上のものを指す。
 
44)ダクトプロペラ
 ダクトプロペラとはプロペラの外周または前方にダクトを装備し、同一トルクにおけるプロペラのスラストを増加させ、推進効率の向上を図ったプロペラを言う。ダクトプロペラの羽根輪郭は3・33図に示すようなカプラン型が採用される。
 
45)スーパキャビテーションプロペラ
 スーパキャビテーションプロペラとはプロペラの翼面上に積極的にキャビテーションを発生させたときに、より高い性能を得ようとするプロペラを言う。高速艇に採用され、羽根断面形状はクサビ形をしている。
 
46)サーフェスプロペラ
 サーフェスプロペラとは船体航走時にプロペラの大半を水面上に露出させた状態で作動させ船体の抵抗を小さくすることにより、プロペラの露出によってプロペラ効率が低下しても船の推進性能を高めることができるプロペラを言う。高速艇のプロペラに適用される。
 
47)二重反転プロペラ
 二重反転プロペラとは前方、後方の2個のプロペラを適当な逆転機構によって互いに反対方向に回転させ、推進効率の向上を図ったプロペラを言う。
 
2.2 プロペラの構造
 プロペラの構造は数枚の羽根とこれらの羽根を保持すると共にプロペラをプロペラ軸に固定する役目をするボス(CPP又はFPPで羽根をボルトで取付るものはハブ)とから成っている。この羽根とボスとが一体に鋳造されているのを一体形プロペラといい、羽根とボスが個別に鋳造されて、羽根の根元部において、ボスにボルトで締付け固着したものを組立形プロペラというが、現在では特殊な場合以外は殆んど使用されていない。通常のプロペラは一体形のプロペラであり、殆んどは固定ピッチプロペラである。固定ピッチプロペラは初めに設計し、製作したピッチをプロペラ使用中に変更することができない。プロペラボスはプロペラ軸に押込まれ、ボス船首側はプロペラ軸スリーブの船尾端とプロペラボスの間に海水が浸入しないように、3・16図および3・17図に示すようなパッキンゴム(Oリング)を装備する構造としている。通常は3・17図に示すようなパッキン押え方式が用いられる。プロペラはプロペラ軸に所要の押込量で押込まれた後プロペラナットで締付け、固定される。プロペラナットは保護のためボンネットで覆い、ボンネットの内部には海水浸入などによる腐食防止のためグリースなどを充填する。またプロペラボスの空所にもグリースなどを充填する。
 
1)キー付きプロペラ
 キー付きプロペラとはプロペラボスとプロペラ軸とのはめあい部にキーを用いて取付ける構造のプロペラである。
 プロペラボスコーンパート部の1個所にキーみぞを設け、またプロペラ軸テーパ部に設けたキーみぞにキーを植込んだ状態でプロペラ軸のコーンパート部にプロペラを押込む。この時プロペラボスのキーみぞとプロペラキーが嵌合するとともに、プロペラボスコーンパート部の面とプロペラ軸コーンパート部の面との間に摩擦力が発生する。この摩擦力とキーの作用によって主機関のトルクをプロペラに伝える。
 
2)キーレスプロペラ
 キーレスプロペラとはプロペラボスとプロペラ軸とのはめあい部にキーを使わずにプロペラを押し込みコーンパート部に発生する摩擦力によって固定する構造のプロペラである。キー付きプロペラの場合、主機関の高出力や1回転中のトルク変動が大きい船舶ではプロペラキー溝部分の応力集中による大きな応力が作用し、プロペラ軸の船首側のキーみぞなどにクラックが発生することがある。これらの損傷に対する防止策とともに、プロペラの取付けおよび取外しの容易な構造のプロペラキーなし(キーレス)によるプロペラのプロペラ軸への装着が考えられたのが、キーレスプロペラである。







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