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2.6 燃料装置
 ガソリンエンジンとディーゼルエンジンでは使用燃料油が異なる。従って、その燃料装置も一部異なる。
 ガソリンエンジンの燃料装置にはキャブレータを用いるものと噴射装置を用いるものとがある。ここでは、一般的なキャブレータを用いるものについて述べる。2・132図はキャブレータを用いた燃料装置で燃料(ガソリン)と空気とを混合させてシリンダに供給するキャブレータ、燃料をキャブレータに送る燃料供給ポンプ、燃料中に混入している水分やごみなどを取り除く燃料フィルタ、燃料を蓄えておく燃料タンク及び各部を連結する燃料パイプなどで構成されている。
 
2・132図 燃料装置
 
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2・133図 燃料装置
 
 ディーゼルエンジンの燃料装置として、2・133図はA重油を使用する中小形高速ディーゼルエンジンの燃料装置で、燃料(A重油)をシリンダ内に噴射する燃料噴射弁、高圧燃料を燃料噴射弁に送る燃料噴射ポンプ、燃料を噴射ポンプに送る燃料供給ポンプ、燃料中に混入している水分やごみなどを取りのぞく燃料フィルタ、油水分離器、沈殿槽、燃料を蓄えておく燃料タンクおよび各部と連結する燃料パイプなどで構成されている。
 
1)燃料タンク
 ガソリンエンジンの燃料タンクは2・134図に示すように合成樹脂又は鋼製で、鋼製の場合には鋼板をプレス成形し、溶接加工製の缶で、内部は錫又は亜鉛メッキの錆止めをしてある。燃料タンクには燃料給油口、燃料取出し口、燃料計取付口、ドレンプラグ等が付いている。タンク内部には運転中の動揺による燃料の波立ちを防ぐためとタンクの補強を兼ねて仕切り板やそらせ板で内部が2〜3室に区切られている。燃料計は液面に浮かべたフロートの上下する量を電気量に変換して計器に指示している。
 
2・134図 燃料タンク
 
2)沈澱槽
 構造は、2・135図に示す如く縦長の円筒形の内側に仕切り板を設け、上部から入る燃料は矢印の如く仕切り板の下側を通り上部の出口に抜けるようになっている。
 燃料が仕切り板の下側を迂回して流れる間に、比重の大きな水分やゴミなどが沈澱して下部に溜まるようになっており、溜った水やゴミは時々コックを開き排出してやらねばならない。
 
2・135図 沈澱槽
 
 沈澱槽を選定する場合は、十分な容量のものを選ばなければ、内部の流速が早くなり、水分やゴミが沈澱するひまもなく、そのまま出口に流れてしまう恐れがあり、沈澱槽の役目を果たさなくなるので可能な限り容量を大きくして流速を落としてやる必要がある。
 
3)油水分離器
 直接噴射式高速ディーゼルエンジンは、燃料噴射弁の噴孔が小さく、燃料中に含まれるゴミや水分を嫌うため、殆どの機関には油水分離器が沈澱槽の後に取り付けられている。
 構造は2・136図に示すように内部に特殊なエレメントが入っており、燃料が通過するときに水分やゴミなどの不純物を遮断して底部に沈澱させるようになっており、下部に堆積する不純物は時々コックを開いて排出する。油水分離器は大形の排出コックを設けた一種の燃料こし器であり、内部のエレメントは一定期間使用すると効果が低下するので定められた時間で交換することが大切である。なお、使用燃料中に含まれる水分や不純物などの多い粗悪燃料を使用することが当初からわかっている大形機関においては遠心式油水分離器(ピューリファイヤ)などの併用も必要である。
 
2・136図 油水分離器
 
4)燃料供給ポンプ
 ガソリンエンジンの燃料供給ポンプは、タンクの燃料をフィルタを通してキャブレータに圧送するものでダイヤフラム式フューエルポンプが使用されている。
 ディーゼルエンジンの燃料供給ポンプは燃料噴射ポンプに燃料を供給するもので、小形機関にはボッシュ式フィードポンプが、また中大形機関にはトロコイド式やベーン式フィードポンプが使用されている。
(1)ダイヤフラム式フューエルポンプ
 2・137、138図に示すような構造をしており、一般に隔離板を介してシリンダヘッドなどに取り付けられ、2・137図に示すタイプはエンジンのカムシャフトに設けられた偏心カムによって駆動される。ロッカアームのリターンスプリングはロッカアームを常に偏心カムに押しつけ、高速でのロッカアームのおどり及び騒音の発生を防いでいる。またフューエルポンプによって送られた燃料は、消費分より余分に圧送しており、この余った燃料をフューエルタンクに戻すため、フューエルポンプはオリフィスを介して燃料タンクヘのリターンパイプを備えている。また、2・138図に示すタイプは2サイクルガソリンエンジンに使用され、クランクケース内の圧力の変化(負圧と正圧)によりダイヤフラムを駆動している。
 
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2・137図 フューエルポンプ
 
2・138図 フューエルポンプ
 
(2)ボッシュ式フィードポンプ
 2・139図に示すような構造をしており、ピストンはポンプ室内のカムの動きと内部のスプリングによって往復運動を繰り返し燃料を送り出している。燃料の供給圧力が、規定値以上になると、バイパス回路から作動する圧力が、戻しバネ力に打ち勝ってピストンをシリンダ内に押し込み戻らなくするため、カムは空回りして送油が止まる。吐出側の燃料油圧力が下がると、ピストンはバネに押されて元の位置に戻され再び送油が始まる。なお、上部にプライミングポンプがあり、燃料系統の空気抜き用として使用する。
 
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2・139図 ボッシュ式フィードポンプ
 
(3)トロコイド式フィードポンプ
 2・140図に示す如くポンプ本体内に歯数の異なるインナロータとアウタロータが偏心して組み付けられており歯と歯のスキマの変化により送油する方式である。
 
2・140図 トロコイド式フィードポンプ
 
(4)ベーン式フィードポンプ
 ベーン式フィードポンプはケースと偏心したロータに数本の羽根溝を切り、これに羽根(ベーン)をはめ込み、ロータが回転すると羽根が飛び出して燃料を圧送する方式である。
 吐出圧が規定値以上になった場合は、リリーフ弁が働き燃料を吸入側に戻すようになっている。
 
2・141図 ベーン式フィードポンプ







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