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2.3 増速時に回転が追従しない
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1)燃料詰まり
(1)配管系が細い
 機関が要求する量の燃料は、配管径が細過ぎると短時間内に送油できなくなり、増速しようとしても回転が迅速に追従しなくなる。従って規定内径以上の銅管又は鋼管を用いて配管しなければならない。
(2)フィルタの詰まり
 濾器のエレメントが目詰まりすると、通過面積が極端に減少するため、機関が要求する量の燃料を送油できなくなり、増速しようとしても回転が追従しなくなる。
 従って濾器は定期的に分解清掃又はエレメントを交換しなければならない。
(3)フィードポンプ入口フィルタの詰まり
 フィードポンプの入口には、アイ形接手をユニオンボルトで連結されるが、この部分のユニオンボルト内部に金網式濾器が設けられている。長い間にはゴミが詰まり、機関が必要とする燃料を供給できなくなり、増速しようとしても、回転が追従しなくなる。
 従って2〜3年毎に金網を清掃しなければならない。
 
2)燃料系に空気混入
(1)吸い込みヘッドが大きすぎる
 フィードポンプと燃料タンク油面の落差が1m以上になると、フィードポンプの性能が極端に低下したり、自吸不能となり、燃料送油ができなくなる。従って増速時の回転追従が困難となる。
 フィードポンプの吸込みヘッドは、最大限1m以内になるように、燃料タンク(送油口位置)を配置するか、吸込みヘッドが1m以上になる場合は、別に送油ポンプを設けなければならない。
(2)余剰油戻り管の空気混入
 噴射ポンプの余剰油は、通常、フィードポンプ入口へ戻すが、フィードポンプが性能低下した場合に、余剰油が極端に減少して空気を混入し易くなり、微小な孔などから空気を吸入してしまう。このような場合は、余剰油戻し管を燃料タンクヘ戻すようにしなければならない。
(3)燃料配管からの燃料漏れ
 フィードポンプのサクション側に極く微小な燃料もれがある場合は、そこから空気を吸い込み、徐々にエアが蓄積されて送油不能となる。
 
3)吸入空気量不足
(1)換気不良
 機関室の換気が不足すると、給気量が不足し出力低下するので、増速時の追従性が悪くなる。また換気不足は室温の異常上昇を誘発するため、機関性能の低下を助長すると共に排気温度が上昇し、益々悪影響を及ぼす。従って最低限度、必要とする換気量を得るようにしなければならない。
(2)室内温度が高い
 機関室内の温度は、通常40℃まで、最悪でも45℃以下としなければならない。それ以上に室内温度が上昇すると急激に性能低下するので、増速時の追従性は悪化する。また排気温度が異常に上昇するので機関の熱負荷過大によるトラブルを誘発する。
 従って十分な換気量を得て、室内温度を低下させなければならない。
(3)エアクリーナの詰まり
 プレクリーナやペーパ式エアクリーナなどが目詰りを起こすと給気量が不足し、燃焼に必要な酸素が欠乏して出力低下するので、増速時の追従性が悪化する。
 エアクリーナは定期的に清掃又は交換しなければならない。
(4)過給機の性能低下
 タービンホイールのカーボン付着、コンプレッサホイールの汚れ、シールリング、ベアリングなどの焼付きなどが起こると、タービン回転が重くなり、増速時の追従性が悪くなるので、十分な給気量をシリンダ内へ供給できなくなり、出力低下して機関増速時の追従性が悪くなる。
(5)排気抵抗が大きすぎる
 排気管の管径が細く、曲がり個数が多い場合や、排気の冷却水によどみができたり、出口が水中に没したりすると、排気抵抗が過大となり、出力低下して増速時に回転が追従しなくなる。
 背圧(バックプレッシャ)を測定して下記の値以下になるように排気管を改善しなければならない。







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