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3)高速機関(小形舶用機関)の防振据付
 小形舶用機関では防振ゴムを機関取り付け足と船体側機関台の間に入れ、機関振動の船体への伝達を減衰させる方法を採っており、その方式はプロペラ軸の連結駆動方法により、次のように分けられる。
(1)据付方式
(1)機関とクラッチが一体形のものに用いられる方式(5・19図
 防振据付の一般例を5・19図に示す。
 防振ゴムはプロペラ駆動による推力(スラスト)が受けられる構造になっている。
また、機関の振動でプロペラ軸も振動するので、船尾管にシールスタンを用いる。
この場合、クラッチ出力端からスタンチュウブまでの中間部の長さ(図中の「L寸法」)がある程度以上必要である。(一般的には500mm以上必要)
 
5・19図 機関とクラッチが一体型機関の防振裾付例
(拡大画面:21KB)
 
(2)機関とクラッチが別体形のものに用いられる方式(5・20図
 防振据付の一例を5・20図に示す。
 プロペラ駆動による推力は固定されたクラッチで受けるので、防振ゴムはプロペラのスラストに関係なく機関振動の吸収を行うことを重点としたものになっている。
 
5・20図 別体形の防振据付例
a. アングルドライブ
 
b. Vドライブ
 
c. アウトドライブ
 
d. 大形機関
 
(2)防振ゴムの選定と据付
(1)防振ゴムの選定
 防振ゴムの種類、仕様、使用個数などは、機関の重量、プロペラ軸の連結駆動方式などにより決定されるので、適用機種についてメーカの仕様による。
 防振ゴムの種類の一例を5・21図に示す。
(2)据付
 機関の据付は、メーカの据付マニュアルによるが、一般に防振ゴムの場合、ゴムのへたりを考慮して機関側が高くなるよう芯出しを行う。(5・22図参照)ゴムのへたりによる沈み代はメーカの設定値による。
 また、防振ゴムの機関重量によるたわみ値のバラツキが各ゴムで1.0mm以内となるようにシム調整を行う。
(3)配管
 排気管、冷却水管、燃料油管等は、たわみ性のあるものを用いる。
a)排気管の接続
 排気たわみ管継手を用いる。(5・19図参照)
 この場合、たわみ管継手は圧縮時の方が強度が大きいので、自由長より5mm前後圧縮した状態で取り付ける。
b)冷却水、燃料油管その他
(a)概ね、ゴムホースを用いるが、特に支持のある場合を除き、直管状態で取り付ける。曲げて使用する場合は、最小曲げ半径とする。
 また、ねじれた状態で取り付けないこと。
(b)φ8以下の銅パイプは2〜3回ツル巻き状にしたダンパ巻きを行う。
(c)機関の各配管の出入口に取り付けられるバルブ、コックなどは、ルール上及び構造上支障のない限り、船体側に装着し、振動の大きい場合は振れ止めを行う。
(3)防振ゴムの点検、交換
 防振ゴムはゴムの性質上、へたりによる沈みが発生します。メーカに指示された定期点検を実施し、たわみ量が指示値(使用限度)越えれば芯出しを行う。また、たわみ値が定められたクリープ許容値を越えた場合、あるいはゴム部に亀裂、剥離などが見られるときは交換する。(交換は1個のみでなく全数交換すること。)
(4)前部動力の取り出し
 機関とクラッチが一体形のものは前部動力の取り出し(Vベルト直引き)が可能ですが、ベルトテンショナの取り付けと、テンショナ設定時の機関移動量に制限があるので、メーカの防振ゴム据付マニュアルによること。
 
5・21図 各種防振ゴム
 
 
 
 
5・22図 芯出し
(拡大画面:11KB)
(A)別体形

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(B)一体形 







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