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2・3級舶用機関整備士更新講習会指導書

 事業名 舶用機関整備士の資格検定事業
 団体名 日本舶用機関整備協会 注目度注目度5


4)人命救助支援装置エンジン非常停止装置
商品名「かえる」解説
株式会社 ビッグ・エッグ
(執筆:ヤンマーディーゼル株式会社)
はじめに
 今日に至るまで漁船漁業者及び、プレジャーボート利用者において「一人乗り乗船者」の海中への転落事故が年を追うごとに、また利用者が増加するに伴い増加傾向に有る。
 海上保安庁の統計では169人/(2000年)の人が悲しい事故に遭遇している。勿論事故で不明になる人も悲しいが、残された家族の方には説明するまでもなく悲しい。
 又、救助には近隣漁港から僚船が、海上保安部からの救援、捜索活動などの環境から判断すると誰かが何かの装置を開発して、必ずなくさなければならない重大な事故であることを感じずにはいられなかった。
 約3年半程前、これら事故に遭遇した人の命を救えないだろうか、救うための支援ができる装置が出来ないものだろうかなど提案から生まれ開発された装置が、以下紹介する人命救助支援装置、エンジン非常停止装置「かえる」である。
 漁業者は一日の操業を終え、プレジャーボート利用者は楽しい一日が終わり無事に必ずお家に「かえる」ことが通常であり、万一不幸にも海中へ転落したとしても必ず自船に「かえる」「かえれる」事が出来る装置を願ってネーミングしたものである。
 以下、開発の経緯から信頼性の確認そして完成までの経過などに付いて解説したい。
 
開発のコンセプト
 「かえる」の基本動作 「かえる」の発信機の電源がONされて、受信機のエンジン停止機能が待機中になっている時、漁船、プレジャーボート利用者が誤って海中へ転落した場合、転落者の首に吊るしている「発信機」アンテナが海水面へ出ると同時に発信機の水漏れセンサーが感知、エンジン停止信号発信(発信機の緊急ボタンでもエンジン非常停止が可能)船体に取り付けの受信機アンテナがエンジン停止信号受信エンジンがストップする」同時に船体も速力を失いいずれ停止する。
 期待:停止した船体が転落者の近くにあり転落者は自力で帰船、乗船できる環境を作る装置であり、また停止と同時に夜間の場合パトライトの点灯、警報器を鳴動させて近辺船舶に事故を知らせ救助を待つことも出来る。
 当事者は乗船後、携帯電話、船舶電話などで事故の状況など連絡、報告すれば良い。
 また、この装置は、甲板漁労機器の運転中の事故も多い。不幸にも事故に遭遇したときのエンジン非常停止装置としても利用できることも考えられる。
 
エンジン非常停止装置の紹介
1)商品名「かえる」について
(1)装置は発信機(アンテナ付き)と受信機及び受信用アンテナの装置に分類される。
(2)発信機(アンテナ付き)は乗組員が常時首に吊るし上着ポケットなどに入れ携帯する
 常時水に浸る所、常時飛沫がかかり溜まる個所などへの携帯は誤作動の可能性が有る。
(3)受信機は船内に固定装備してDC12又は24Vの電源を取り入れる。
 基本動作のエンジン停止用タンブラースイッチの他に3個のタンブラースイッチが装備されている。
必要に応じ救助用装置(例:赤色パトライト、警報機など)の電源として取り出す事が出来る。(注意:バッテリー容量)
(4)受信用アンテナはブリッジ上など船外に装備。付属のコードで受信機へ配線する。
2)「かえる」装置類のPHOTO
 
(1)発信機(アンテナ付き)
寸法:W45mm×D15mmxH65mm
重量:50g(電池、含ストラップ)
 
 
(2)受信機と受信用アンテナ及びコード
寸法:W160mm×D42mm×H80mm
重量:320g(取付け金具、除アンテナ)
 
3)一般的条件
(1)船舶へ装備するための条件(以下、詳細は取り扱い書等参照)
(1)本装置が装備出来る対象エンジンはエンジン停止装置で「電気ソレノイドかエンジンストップモーター」を完備しているエンジンが搭載されている船舶に装備できる。
(2)停止ソレノイド電流容量が1Aを超えるものは外部リレーの追加装備が必要である。
(3)エンジンに電気ソレノイド停止装備ができていない場合には同装置の追加装備が必要である。
(2)一般的条件(装置の概要)
(1)通信方式:単信方式
(2)伝送信号:デジタル信号
(3)電波形式:F1D
(4)周波数範囲:426.2625〜426.8375MHzで12.5KHz間隔の48波の1波
(5)使用温度範囲:-10℃〜60℃
(3)発信機(送信機アンテナ長さ500mm付き)
(1)送信出力:10mW以下
(2)電源:DC3.0Vボタン電池(CR2032)1個で動作約200日/年×8時間/日の対応
(3)発信方式:水晶発信方式(電池残量が20%で電源LEDがゆっくり点滅)
(4)発信操作条件:水漏れ検出センサー感知状態で、又緊急ボタン操作でエンジン停止信号発信。但し、アンテナが海面上に出た時に発信する。
(5)構造:防水構造(IP57・防塵、防水)、電源ON、OFFLED、緊急ボタンを装備
(6)専用NO:発信機のみオーダーする場合の必須NO、受信機とNOが異なると作動しない。
(4)受信機
(1)受信アンテナはλ/4ホイップアンテナ
(2)電源:DC12V〜24Vで動作
(3)受信方式:FM方式
(4)受信感度:12dB SINADの入力が-3dBμ以下
(5)構造:前面に電源スイッチ、リセットボタン、N01〜N04のタンブラースイッチ、各電源LED、装置用専用NO(オーダーする時に必要な専用NO)が付属する。
4)装置の実践プレジャーボート及び漁船へ装備時の実験状況PHOTO
(1)プレジャーボートでの信頼性確認実験時の装備状況を示す。
 
(1)発信機の操作状態(アンテナの取付け)
左、緊急ボタン操作 右、水漏れセンサー
 
(2)受信機とアンテナの仮取付け状態
(2)実践漁船での信頼性確認実験時の装備状況を示す。
*発信機の発信状況
(1)岸壁及び船内の乗組員が首に吊るし実験等を実施した。(仮想乗組員転落者が艫の端に見える、ご苦労様でした)
(2)受信機とアンテナの船体取付け状態
 
受信機用アンテナ
 
アンテナと赤色パトライト
 
受信機取付け
 
漁船のブリッジ計器盤取付け
 
人命救助支援装置、エンジン非常停止装置「かえる」の信頼性確認結果
1)試作品信頼性確認実験結果(プレジャーボート実験記録から抜粋)
*試作品実験日 :平成13年2月20日
*主機関 :ヤンマーディーゼル(株)製、4LH−UTZAY型、80.9KW/3000rpm
*実験船 :ヤンマー船、Toprun FX29Z型
*船名 :OCTAGON II
*実験場所 :ヤンマー造船(株)本社、岡山事業部
 
(1)プレジャーボート信頼性確認実験結果評価表(抜粋)
回数 計測距離m
発信機〜受信機
計測時の発信機の
状態と操作方法
船舶の状態
エンジンrpm
船舶停止
距離 m
エンジン停止
秒/操作総合結果
1 3 前向き、緊急ボタン 係船、アイドル中 0.5/OK
6 10 背を向け、緊急ボタン 同上 0.5/OK
7 20 前向き、緊急ボタン 同上 0.5/OK
8 50 建屋陰、緊急ボタン 同上 0.5/OK
9 50 前向き、緊急ボタン 走行中、600 30 0.5/OK
12 50 前向き、緊急ボタン 走行中、2000 50 0.5/OK
14 50 発信機を水侵、
エンジン停止自動発信
走行中、3000 60 0.5/OK
(注) 以下アイドル中=アイドル回転でエンジン運転中。OK=完全にエンジン船体共停止
 
2)量産品信頼性確認実験結果
*実験船 :上記1)の実験船と同じ
*量産品実験日 :平成13年7月12日
*実験場所 :ヤンマー造船(株)本社、岡山事業部
 
(1)プレジャーボート信頼性確認実験結果評価表(抜粋)
回数 計測距離m
発信機〜受信機
計測時の発信機の
状態と操作方法
船舶の状態
エンジン rpm
船舶停止
距離 m
エンジン停止
秒/操作総合結果
1 3 前向き、緊急ボタン 係船、アイドル中 0.5/OK
12 80 背向き、緊急ボタン 係船、アイドル中 0.5/OK
13 50 前向き、緊急ボタン 走行中、1500 25 0.5/OK
16 50 前向き、緊急ボタン 走行中、3000 50 0.5/OK
17 1000 前向き、緊急ボタン 走行中、3000 不明 0.5/OK
19 50 発信機を水侵、エンジン停止自動発信 走行中、3000 25(逆風) 0.5/OK
21 5 仮定、転落水中1m後0.5mUP自発信 走行中、600 20 0.5/OK
22 5 同上 係船、アイドル中 0.5/OK
(注)
21、22項は、木棒2mの先端個所に発信機を衣切れで巻き縛り、発信機アンテナを0.5mUP個所に配置した装置を作り、仮定乗船者が海中転落後人体が浮き上がり停止信号を発信してエンジンを停止させる実験を実施した。
 
(2)信頼性確認結果(評価)
*実験要領に基づいてエンジン停止実験結果全てエンジンは停止した。
*船舶の走行中エンジン停止信号発信操作に於いてエンジンが停止、いずれも船速が落ちその後船体も停止した。
*船舶の停止位置は逆風の場合には追い風時より転落者のより近くで船体は止まることも知見した。
*基本動作以外にもパトライトを装備して、エンジン停止と同時にパトライトを点灯させる実験も実施。これもまた確実に作動する事が確認出来た。
(3)実験中のPHOTO
 
(拡大画面:34KB)
 
岸壁で停止信号発信
 
仮装置による実験中
走行中転落時を想定







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更新日: 2019年9月21日

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