4)ニイガタZペラ
株式会社 新潟鐵工所
1. Zペラ新シリーズ
(1)はじめに
ニイガタZPシリーズは1970年にZP−2型が完成した以降、多くのユーザの方々のご愛顧により数多くの販売実績と御好評をいただいてまいりました。この間に蓄積された数々のノウハウと最新の技術を導入し、より一層使い良い高性能なZペラを目指し新シリーズとして1988年にZP−21型を開発致しました。以来、お客様のニーズにお応えし、各馬力レンジに応じた新シリーズを開発して参りましたので以下簡単に紹介致します。
(2)主要目
〔表−1〕主要目
形式 |
ZP−09 |
ZP−10 |
ZP−11 |
ZP−21 |
ZP−31 |
ZP−41 |
ZP−21/2A |
ZP−21/3A |
ZP−21/2A |
ZP駆動用主機関 |
6NSDL-Z
or
6L22HX |
6L22HX |
6L22HX
or 6L25HX |
6L25HX |
6L25HX |
6L26HX
or 6L28HX |
6L26HX
or 6L28HX |
6L26HX
or 6L28HX |
連続最大 |
PS |
〜1000 |
〜1300 |
〜1500 |
〜1550 |
〜1600 |
〜1800 |
〜2100 |
〜2600 |
出力 |
KW |
〜735 |
〜956 |
〜1103 |
〜1140 |
〜1177 |
〜1324 |
〜1544 |
〜1912 |
入力軸回転速度(mm-1) |
1400/1000 |
1000 |
1000/750 |
750 |
|
|
750 |
750 |
減速比 |
3.656/2.525 |
2.711 |
2.91/2.21 |
2.45 |
2.45 |
2.265 |
2.75 |
3.416 |
プロペラ回転速度(mm-1) |
383/396 |
369 |
344/339 |
306 |
306 |
331 |
273 |
220 |
プロペラ直径(mm) |
1500/1600 |
1750 |
1900 |
2000 |
|
|
2200 |
2700 |
プロペラ形式 |
ニイガタ4翼スキュードカプラン形(コルトノズル付き) |
潤滑方式 |
油浴強制循環式 |
旋回制御装置及び旋回速度 |
主機駆動油圧式(PTO方式)又はモーター駆動油圧式 180度/約10秒 |
Zペラ乾燥質量(t) |
9.5 |
11.0 |
12.5 |
14.0 |
14.0 |
14.0 |
18.5 |
25.0 |
主機関乾燥質量(t) |
3.4or7.1 |
9.1 |
13.0or11.9 |
13.0 |
13.0 |
13.5or16.5 |
13.5or16.5 |
16.5or22.0 |
|
(拡大画面:73KB) |
|
|
(3)特徴
(1)小型軽量化
最新技術の導入により、寸法、重量共に従来機種に比べて大幅に低減しましたので、船体の小形化や、他の装備の充実が図れます。
(2)軸系配置の改善
据付面からの高さを従来よりも低くしましたので、プロペラ室の高さ制限が大巾に緩和されました。また、入力軸芯も低くなり、ユニバーサルジョイントや中間軸の傾斜角を小さくできユーバサルジョイント軸受部の寿命も改善されます。
(3)静粛な運転−低振動低騒音化
イ 高精度べベルギャーの採用により、歯車噛合によって発生する騒音と振動の低減を計りました。
ロ スキュードプロペラを標準とし、プロペラ起振力による船体振動や騒音を大巾に改善しました。
(4)高伝達効率化
小形軽量化と共に、高精度べベルギャーの採用により伝達効率の改善を計りました。
(5)軸受配置と潤滑性能改善
Zペラ内部の各伝達軸の軸受は、スラスト荷重とラジアル荷重が合理的に受けられる配置になっております。また各軸受自身が持っている油の循環作用を有効に利用できる様に油の通路を工夫し、Zペラ内部の潤滑油が常時自己循環する様に配慮しましたので、油の早期劣化を防止し、潤滑性能の維持と軸受寿命の改善が期待されます。
(6)漁網侵入防止
三崎式ロープガードの装着により、プロペラ軸シールヘの漁網や釣糸の侵入を防止し、シール損傷によるZペラ内部への海水侵入を防止しました。
(7)メンテナンス作業時間短縮
小型軽量化と共に、旋回座軸受を採用することにより旋回筒周りの構造を簡素化し、調整個所の減少を計りましたので、ZP本体の分解、調整及び再組立に要する時間の短縮が計れます。
(8)多彩なオプション
機種によりましては可変ピッチプロペラ(CPP)仕様や高速入力回転(1800min-1)仕様等に対応可能です。
(4)おわりに
Zペラ新シリーズは、ZP−21型をスタートとし、ZP−09型からZP−41型まで開発致しましたが、これも皆様の数多くのアドバイス、御協力あって初めて出来る賜物であると存じます。今後もお客様のニーズにお応えし、更に幅の広いラインナップを充実していきたい所存です。
今後各地の港で活躍する曳船においてZペラ新シリーズが曳船の性能向上に少しでも寄与する事を期待すると共に、今後共曳船業界の発展に微力ながらもお役にたてる様、一層努力してゆく所存でございますので、お引き立ての程宜しくお願い申し上げます。
2. 「ZP−41型」Zペラ
(1)はじめに
ニイガタZPシリーズはお蔭様で多くのユーザの方々から数多くの販売実績と御好評をいただいてまいりました。その中で、この度ニューZPシリーズとして「ZP−41型」を開発致しましたので、その概要をご紹介致します。
(2)主要目
ZP−41型はZP−31型の一つ上の容量を持つ機種として設計されました。下記表に主要目の比較を示します。
項目 |
単位 |
ZP−41型 |
ZP−31型 |
入力定格馬力 |
kW(PS) |
1,913(2,600) |
1,545(2,100) |
入力回転速度 |
min-1 |
750〜1000 |
750 |
駆動歯車減速比 |
|
3.42〜4.42 |
2.75 |
プロペラ回転数 |
min-1 |
219〜226 |
273 |
プロペラ直径 |
mm |
2700 |
2200 |
静止推力(100%平均) |
kN |
345 |
267 |
台床直径 |
mm |
3300 |
3300 |
|
(3)開発のねらい
ZP−41型は、上記表に示す様に出力が1545kW〜1913kW(2100PS〜2600PS)であり、最近各方面からの御要求の多い高出力、高スラストに対応が計れる様設計されております。この出力レンジはこれまでのZPシリーズとしてはZP−4型となっておりました。しかし、ZP−4型は寸法的、構造的な面から本体質量も大きくなっておりましたので、船体との取合等も含めて、もっと小型化、軽量化が計れないか等お客様の御要望に充分お応えする事が出来ない部分がありました。 そこで、この出力レンジに対応したZP−41型は、多数実績のあるZP−21、31型の設計思想を取り込み軽量化を計ると同時に、台床径を3300mm(ZP−31と同等)を標準として設定致しました。合わせてこの台床径、プロペラ径もお客様の仕様に合わせ自由に設定出来る様本体に自由度をもたせてありますので、今まで以上にお客様のニーズによる最適な選定が出来るものと期待しております。
(4)納入のご紹介
ZP−41型は販売を開始させて頂いておりますが、既にお客様にてご使用頂いております仕様について以下ご紹介致します。
曳船として多数ZPを御採用頂いております内海曳船(株)殿でこの程ZP−41型を御採用頂きました。本船はエスコート対応曳船として最大速力16.30ktと曳船としては最も速い速力を出す事が可能となっております。
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龍田丸
高速曳船兼化学消防船
内海曳船(株)殿
(株)神田造船所殿 |
推進機: |
ZP−41 2台搭載 |
主機: |
6L28H×2台搭載 |
定格出力: |
1,838kW×2台 (2,500PS) |
竣工: |
平成12年5月 |
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この海翔丸は、外洋でも油回収可能な大型浚渫深兼油回収船(全長:102m、幅:17.4m、総トン数:4,300トン)として北九州市に位置する運輸省第四港湾建設局関門航路工事事務所に配備され、通常時は関門航路を航行しながら海底土砂を吸込み、北九州空港予定地の用地造成のために埋立地へ運搬をします。
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海翔丸
ドラグサクション浚渫兼油回収船
運輸省第四港湾建設局殿
石川島播磨重工業(株)殿 |
推進機: |
ZP−41 2台搭載 |
定格出力: |
1,500kW×2台 |
竣工: |
平成12年9月 |
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本船の据付の関係からZP本体中間部を伸ばした背の高い構造となっております。
ZP−41はこの他にもヨーロッパ向けに2台、国内向けとして2台の納入をさせて頂いております。
今後各地の港で活躍する曳船、作業船においてZP−41型が他のZPシリーズと共に船の性能向上に少しでも寄与する事を期待すると共に、今後共曳船業界、作業船業界の発展に微力ながらもお役にたてる様一層努力してゆく所存でございますので、お引き立ての程宜しくお願い申し上げます。
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