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1級舶用機関整備士更新講習会指導書

 事業名 舶用機関整備士の資格検定事業
 団体名 日本舶用機関整備協会 注目度注目度5


5) 
エンジン監視と機関メンテナンス陸上支援システム
“HANASYS−MATES”
阪神内燃機工業株式会社
 
1. はじめに
 当社の製品に「エンジン監視と船舶運航支援システム“HANASYS98”」がありますが、このシステムは船舶に装備し、ご利用いただいております。
 今回、ご紹介させて頂くのは、この船内で採取したデータを陸上ヘデータ通信し、陸上からも本船を支援することを目的に、実船テストを行い検証したシステムです。
 そのシステムの概要及び特長、メリットなどを紹介させて頂きます。
 
2. 概要
 船舶の安全かつ経済的な運航を実現するために主機関の最適な運転と適切な保守管理が重要なポイントとなります。
 現在の内航海運の現状は乗組員の高齢化、熟練者不足、労働時間の短縮、船員不足、輸送コストの削減などから修理や整備は今までの自己完結型(乗組員が諸問題を解決する)は困難となってきています。
 また、規制緩和の要請で合理的な検査を目的に検査制度が平成9年7月1日に法改正され、定期検査が4年から5年に延長されたとともに継続審査の推進も導入されつつあります。
 このような環境の中で陸上支援体制システムを開発し、6年前より、通信システム・機関診断システムの構築と実船テストの順でシステム構築を行ってきました。
 
3. 通信
 通信システムは、船陸間で
(1)確実な通信を行うこと。
(2)通信費用をできるだけ抑える。
(3)船舶電話を使用する。
が重要な条件であり、この条件をクリアにした通信プロトコルを決定しています。
 船舶電話利用で1日1回に4時間毎6回分の定時記録のデータを1ケ月30回通信することになりますが、それにかかる費用を約1500円程度に抑えてあります。
 また、データの通信には、定時通信・任意通信・緊急通信の3つの通信モードを持っています。
 定時通信では、1日1回定時刻になると自動的に当社「支援センター」(図1)にデータ送信され、任意通信では船に搭載している“HANASYS”の画面の「任意通信キー」により通信を行います。また、緊急通信では異常が予知されるとデータを自動的に送信するものです。
 
図1
 
4. 診断
 機関を診断するシステムですが、ディーゼル機関の診断精度を向上させるには数多くのセンサとその使用するセンサの信頼性を保つことが重要ですが、これらすべて実施するとなると経済的負担の大きいものとなります。しかし、ここで紹介しているシステムは、限られたセンサからの情報で診断精度の高い、簡単で経済的なものです。
 船側から送信されてきたデータの分析は、陸側のシステムコンピュータで分析しますが、この部分を当社「支援センター」に設置し、製造メーカーにおいてのあらゆるトラブルシューティングがベースとして作られ、かつ、当社サービスマンの経験からの思考を入力することができるシステムを構築しています。このため、人のファジー的思考の入力と分析ができるようにして、その分析精度を向上できるようにしています。また、複数の人間が分析することにより、偏ったり間違った分析結果となることも同時に防止しています。
 当社ではこのシステム部分をエキスパートシステムと呼んでおり、この技術は実用新案として2件登録されています。
 
5. 監視と支援
 監視体制として昼間(08:00〜17:00)は支援センターで行い、夜間は船側で監視し、異常時は電話にて対応を行っています。
 通信されてきたデータからは、次のような技術的支援を行っています。
(1)技術的アドバイス
 蓄積した機関データをベテラン技術者がトレンド分析やエキスパートシステムで状態変化を把握し、適切な運転のための技術的アドバイスをします。
(2)定期診断レポート
 機関データを定期的に診断し、レポートを発行します。性能の推移から保全整備計画を立案し、管理者に提案します。
(3)緊急処置の指示
 「HANASYS」で異常が予知され、緊急通信を受信した支援センターではエキスパートシステムで原因を推定し、本船へその対処方法をアドバイスします。
 以上の3つを柱として販売させて頂いております。
 また、これらのシステムの中から、技術支援を除く通信技術部分を利用者に応じたシステム構築に応用し販売もしています。
 
6. 仕様
 これらの“HANASYS−MATES”の仕様を表1にまとめてあります。
(1)HSM I 型
 フルスペックのセンサを装備したもので、シリーズの基本です。
(2)HSM II 型
 特殊なセンサを持たない通常のHANASYSの仕様で簡易診断を行うことができます。
(3)HSM III 型
 機関データ以外のデータ通信を行うタイプとして用意しています。
 実例としてオイルタンカーの荷役協定書とエンジンデータを船から船社の事務所へ通信し、そのデータを利用することによって事務の合理化を推進されています。
(4)HSM IV 型
 “HANASYS”、“HANASYS 96,98”のシステムを搭載している船で、リアルタイムリーな機関診断を必要としない場合、一定期間単位毎の機関データをフロッピーディスクまたは、メモリーボードを利用して当社へ送付し、簡易診断を行うシステムです。
 
項目 形式
HSM I HSM II HSM III HSM IV HSM V
伝送経路 本船−支援センター ○(モデム) ○(モデム) ○(FD・M/B) ○(通信ボックス)
本船−船社 ○(モデム)
技術支援 毎日の機関診断(異常時、緊急時)
定期診断レポート
ドック前は整備内容報告
構成 本船 HANASYS 98 ○(98以前) 既設モニタ
モデム
通信ソフト
陸上 陸上コンピュータ 支援センター設備 支援センター設備
モデム
通信ソフト
プリンタ
記事 センサ仕様 HANASYS98と同一。ミスト、振動、軸受温度などの特殊センサを追加する。 HANASYS98と同一。 HANASYS98と同一。 HANASYS98と同一。 既設モニタとセンサ。
表1 HANASYS−MATESの仕様
 
(5)HSM V 型
 船側に“HANASYS”シリーズのシステムでなく、他社のシステムを搭載している場合には当社が用意している「通信ボックス」(図2)を装備していただき、専用の「通信プロトコル」で他社システムよりデータを受けて当社「支援センター」へデータ通信し、簡易診断を行うシステムです。
 
7. メリット
 “HANASYS−MATES”導入のメリットを利用者側からまとめてみます。
 まず、船側では、
(1)機関の運転状況と変化を早期に把握し、適切な運転と保守・整備などのアドバイスを受けることができます。
(2)事故の未然防止や故障の拡大防止が可能となります。
(3)機関のライフサイクルを延ばすことができます。
また、陸側からは、
(4)定期的な機関診断レポートの提出と技術的立場から整備計画の立案と整備記録の管理をすることによって省人化と経費削減が可能となります。
(5)機関部の船内作業増加傾向(粗悪燃料油使用時など)に対し陸上からの支援ができます。
(6)検査制度の法改正(合理的な検査)に伴い、“HANASYS−MATES”が一つのツールとすることができる可能性があります。
このように船・陸両方のメリットが得られるよう配慮し作られていますので、必ず役に立つと考えております。
 
8. おわりに
 実際には船側は機関データを送る設備をご用意していただき、メンテナンス契約を結んで頂くだけで以上のような支援ができるようになります。
 また、船主、乗組員の手間をかけることなく支援ができます。紙面の関係上実船でのテスト結果について省略していますが、“HANASYS−MATES”の検証は終了して問題なく使用できることが証明されています。
 現在ではISMコードも視野において更なる進化ができるよう日々研究し開発もしております。
 機関分析システムに関する調査報告書では、船主、乗組員のそれぞれ90%以上の方々が必要と考えておられるシステムのひとつになるもので、きっとご活用して頂けるものと考えています。
 
(拡大画面:27KB)
図2 ハナシスメイト通信ボックス







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更新日: 2019年9月14日

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