(2)広報宣伝及び販売促進方策
(1)出開帳型の商品販売戦略
本村の地域産品のうち、JA日向、椎葉村地場産品株式会社、豆腐の盛田屋などでは、独自の村外流通・販売網を確保しているが、それ以外の生産者は十分な流通・販売網を確保していない。
首都圏、関西圏、福岡圏といった大都市圏、大消費地では、自治体のアンテナショップ、デパートなどが立地しており、常設販売、企画販売(物産展等)などを通じて、地域産品が販売されている。
本村では、村外における地域産品の販売を手がけてきているものの、採算性の問題や生産者の意向などにより、継続的な取組となっていない。
消費地における消費者との対面販売は、消費者ニーズの把握、顧客の確保などで重要であり、今後は積極的な出開帳型の商品販売戦略が求められる。
(2)ITの活用による商品のPR・販売
近年、IT技術が発達し、インターネットのホームページ、Eメールなどを活用し、地域産品、特産品をPR・販売することも一般的になりつつある。
本村においても、インターネットを利用した商品のPR・販売を行う事業所があり、一定の成果をおさめている。
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しかし、村内の生産者の多くは、高齢者が多いこともあって、メディアリテラシィが不足しており、ITの活用が十分でないため商品販売の貴重な機会を逃している。
村の公式ホームページは、村の地域産品を紹介しているものの、商品名、価格の提示にとどまっており、消費者に対する十分な情報提供とはなっていない。今後、村のホームページは、拡充される方向にあるため、村の商品の積極的な紹介を行うとともに、将来的には村の地域産品を総合的にPR・販売する情報サイトの立ち上げや、通信販売体制の確保も求められる。
(3)文化リーダー、専門家への椎葉のPR活動
椎葉村の限られた資金、人材等の中で、一般の消費者全般に向けて、総合的な宣伝・営業活動を展開していくことは制約が多く、また、必ずしも十分な成果を得ることが期待できない。むしろ、本村の有する魅力(伝統文化、自然、秘境性等)に関心を持つ(あるいは関心をもつことが期待できる)文化リーダー、専門家(作家、料理家、意匠家、建築家、経済界関係者等)に的を絞って、情報の提供、商品の試供等を行い、第一線の人材の目を通じた、村や商品への助言、あるいは商品の品質への評価を得ることが効果的である。
このため、文化リーダー、専門家のうち、村出身者、宮崎県出身者等、椎葉村関係者、椎葉村の有する資源との共通性のある関係者(大学教授、作家、料理人等)を選出し、こうした人材とのネットワークを構築し、本村のPR活動を展開していく。
(3)生産、販売体制
(1)温故創新型の開発体制づくり
本村で進行する過疎化・高齢化は、生産単位の縮小化を招来しており、消費者ニーズの把握や販路の拡大に貢献する人材の決定的な不足をもたらしている。
このため、産出される地域産品の多くが、さまざまな市場、消費者とのミスマッチを生んでおり、優れた資質を有する商品が本来の力量を発揮しないまま、高い市場の壁を越えることができない現状にある。
特に都市から離れ、生産者の多くが高齢者で占められる本村の生産体制の下では、都会や若者のニーズを日常的に把握することは困難であり、また、各生産者が個別にマーケットリサーチすることは現状では不可能な状況にある。
また、加工食品の生産者である加工グループの多くは、会員の生きがい・社会参加面から活動が展開されており、市場への関心が必ずしも高くないグループもみられる。
こうしたことから、高齢者、加工グループなどの生産者の市場性を確保するためには、村の共同方式によるリサーチのための組織・機構を設置し、必要な情報などを生産者に提供することが必要である。
また、村内で確保できない人材については、村外から確保することが必要である。特に商品開発や販売戦略など、各生産者が不得手とする分野については、外部のプランナー、デザイナーなどからソフト面の支援を受けることが必要である。
図表6−70 椎葉村の開発体制の考え方
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(2)高齢者等の能力を活用した労働力の開発・確保
本村では、今後も労働力が減少することが見込まれており、今後、いかに生産の担い手を確保するかが大きな課題となる。このためには、UIJターン対策の積極化によって、若者を中心とした定住促進を図る必要がある。
しかし、現実には過疎化の解消には、決定策がないため、今後も人口減少、労働力減少が深刻化することも考えられる。
一方、労働力をみると、非労働力人口の割合は37%を占め、農家人口をみると販売農家の割合は6割にとどまっている。女性や高齢者を中心に潜在化している人材がいる。
こうした潜在化した人材の発掘と新たな生産体制の確保により、生産基盤の強化、新たな地域産品の創出が可能となる。
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