第7章 実現化に向けて
5章、6章で示した体験型観光と特産品開発を展開していくにあたり、住民の能力と行動を集結させた推進体制を整え、外部の専門家と連携をとりながら、来村者の受け入れ体制や商品開発体制を確立していく必要がある。
さらに、これらの活動の成果や本村の魅力を最大限に発揮する場として、イベント実施等による「事(ムーブメント)づくり」と効果的な情報発信を展開し、活動スタッフのやりがい形成や都市住民との交流促進を図っていく。
1 住民主体による推進体制の確立
(1)仕組みづくり
椎葉型観光の確立に向けて、まずは住民が主体となった観光・物産の活性化推進組織を結成し、体験型観光の運営や特産品開発、基本的な観光基盤の整備、情報発信などを推進していく。なお、持続的な組織にしていくためには、本村に合った無理のない体制をとることが重要であり、段階的に組織の拡充を図っていく必要がある。
ア 行動別部会の結成(次頁100人部会組織図参照)
「交流」「特産品」「広報・宣伝」「施設運営」の各部会を設け、村民は各人の希望や技能に合った部会に参加する。これら4つの部会を観光・物産を推進する「実行部隊」とする。
各部会内では役割ごとにいくつかの班に分かれ、それぞれの作業に取り組む。既存の地域づくりグループは各部会に所属し、また、部会間においても横のつながりを持つなど、村内でうまく連携した体制をとる必要がある。各種専門家や椎葉村出身者、椎葉ファンなどとも連携し、専門的な指導や意見交換を通して、各部会の活動に活用していく。このような本村を応援する外部の人々を「応援部隊」とし、年1回の「全体会」にも参加してもらう。
広報・宣伝や、各種交渉や連絡など、村民が扱いにくい分野については、行政が支援する。
代表者会議では、各部会の活動報告や活動方針を発表し、各年度の全体の方向性を決定する。
図表7−1 100人部会組織図
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イ 椎葉型の観光・特産品開発における実践部隊としての組織の確立
100人部会各班の活動がある程度充実してきたら、「椎葉山ツーリズム(仮)」を設立し、具体的な事業の推進組織を確立していく。これは、本村が独自の観光エージェントを運営するようなもので、各部会の実践活動をより充実させるとともに、村内の観光・特産品開発を総合的に管理するため、椎葉型の観光・特産品開発の実践部隊としての機能を高めた組織とする。
組織の構成は、基本的に100人部会をベースとし、行政、観光協会等関連団体、民間企業との連携を密にし、外部の専門家のノウハウも適宜活用していく。
また、「椎葉山ツーリズム(仮)」の事業実施に際して、村、第3セクター、民間、NPO等から、事業の内容に即し、ふさわしい形態を柔軟に組み合わせていくものとする。
★観光・特産品開発の実践組織
・大分県竹田市では市の観光研究機関として「竹田研究所」を設置し、市の観光振興計画に基づき、農村型観光、城下町観光を推進している。
・研究所の活動は「着眼大局、着手小局」をモットーとし、体験プログラムの開発、食文化の開発、メディアヘの情報発信について4つの実行部隊が活動を展開している。また、客員研究員やアドバイザーとして内外の専門家を迎えたり、特派員として任命した首都圏の学生にアドバイスをもらうなど、人材ネットワークも充実している。
・当研究所は、体験プログラム及び食文化の商品化と、受け入れ体制の確立のため、「竹田ツーリズム協会」の立ち上げを目指している。
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資料: |
平成14年度竹田市観光振興計画推進委員会資料より作成 |
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(2)人づくり
住民は地域資源の魅力を伝えるインタープリターとしての重要性、役割を担う。来村者に楽しんでもらうために提供サービスの学習を重ね、提供サービスを充実させていくことが必要であり、村や関連機関はそのために必要な支援(経済的、人的)を積極的に行っていく。さらに、村内では足りない人材を外部から補い、また、椎葉ファンも着実に獲得していき、村民と本村を応援する外部の人々が一緒になって村を盛り上げていく。
ア 椎葉力の形成
椎葉型観光を推進していくにあたっては、椎葉村民自身が来村者をもてなす体制を整えていく必要がある。来村者が本村で気持ちよくすごせるように、ホスピタリティ(参加者の気持ちを大切にし、気持ちのこもったもてなしをすること)の勉強会などを開催し、椎葉らしいもてなしを全村民が習得する。「100人部会」では、このような椎葉らしいもてなしを十分に活かして、村民一人一人の顔が見えるような、サービス、情報を提供していく。
イ サポーターの形成
村民による「100人部会」の各班の活動などにおいて、専門的な知識が必要な場合は各種専門家のアドバイスを受ける。また、体験プログラムの運営マネージャーや人材育成、レストランの経営や調理においては、その分野の専門家を事業パートナーとして招き、椎葉型観光をサポートしてもらう。
ウ リピーターの確保と椎葉ファンの形成
体験プログラムの参加者や特産品の購入者の情報は、顧客データとして管理し、リピーター確保に向けて活用していく。顧客には、最新情報、イベント情報、特産品情報などをいち早く伝えるとともに、ニューズレターやメールマガジンを定期的に配信して、リピーター・椎葉ファンを形成していく。顧客に加え、元村民にもこれらの情報を提供して椎葉ファンになってもらい、現村民とともに本村を盛り上げていってもらう。また、かれらにはモニターとしてアンケートなどに協力してもらい、ニーズや改善点を把握するのに役立てる。かれらの口コミによる広報的な役割も期待できる。
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