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イ 百貨店
 流通業の多様化、バブル経済の崩壊、長引く消費の低迷などにより、近年、百貨店業界は苦戦を強いられているもののの、関東、関西をはじめとする大都市圏には、大手の百貨店が多数立地しており、「都市の顔」として機能している。百貨店では、全国の地域産品を(1)フロアー販売、(2)催事販売などを通じて消費者へ供給しており、都市の消費者が定評のある地域産品に出会う場としても機能している。
 特に各百貨店が期間限定で主催する催事販売では、「○○県物産展」といった名称で、新聞チラシなどで大規模なPRを行い、多数の来客者を集めている。現在、首都圏の大手百貨店の中では高島屋が、宮崎物産展、大九州展を毎年開催し、宮崎産地域産品の販売を行っている。
 
図表6−35 高島屋「大九州展」の出店商品(同社の新聞チラシ)
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 同社へのヒアリング調査によると、同社では特産品の販売は催事販売が中心となっており、現在、宮崎県(物産振興センター)との共催による「宮崎物産展」、高島屋主催の「大九州展」の2つを展開している。県との共催の宮崎物産展の場合、展示産品、出店舗の選別は主として県が行うため、県産商品は公平・同格に扱われており、県内の意欲ある市町村、事業者の出品・出店は比較的容易になっている。これに対して同社主催の大九州展の場合は、同社のバイヤーが独自の基準で展示産品、出店舗を選別しており、一定の水準に達しない商品は出品することができない。平成14年の大九州店の出店舗は43、宮崎県からの出店舗は4となっている。
 高島屋の場合、食品バイヤーは地区担当制のもと、九州地区をバイヤー1名が担当している。非食品の場合はバイヤー1名が全国を担当し、全国の業者と直接交渉し、商品を集めてきている。バイヤーの情報源は、県・市町村の情報、マスメデイア(新聞、テレビ、雑誌)、業界情報(同業他社等)から入手しており、バイヤーからみた商品の選別基準は、「ナンバー1」ではなく、特色のある「オンリー1」の物産を重視しており、商品に地域の情報をどこまで消費者に提示できるかがポイントとなっている。
 
ウ オンラインショッピング
 家庭におけるパソコン、高速通信ネット(ブロードバンド等)などの普及などにより、インターネットを利用して商品やサービスを購入するオンラインショヅピングの取引額が増加している。
 
図表6−36 インターネットで購入した商品
順位 平成11年
(1999年)
平成12年
(2000年)
平成13年
(2001年)
1位 パソコン 38.7% パソコン 41.9% 書籍・雑誌 40.0%
2位 書籍・雑誌 34.3% 書籍・雑誌 37.8% パソコン 39.0%
3位 ソフトウエア(ダウンロード) 31.8% ソフトウエア(パッケージ配送) 31.3% 食料品 34.6%
4位 ソフトウエア(パッケージ配送) 30.8% ソフトウエア(ダウンロード) 30.8% 衣料品 29.8%
5位 食料品 25.0% CD・ビデオソフト・ゲームソフト 25.2% ソフトウエア 29.6%(パッケージ配送)
6位 CD・ビデオソフト・ゲームソフト 20.1% 食料品 24.8% 航空券・鉄道の切符など 27.9%
7位 航空券・鉄道の切符など 18.4% 航空券・鉄道の切符など 23.4% ソフトウエア(ダウンロード)26.2%
8位 衣料品 15.3% 衣料品 20.0% CD・ビデオソフト・ゲームソフト 26.1%
(注)
日経ネットビジネス「インターネット・アクティブユーザー調査」より作成、「あなたがオンラインショッピングで買ったことがある商品は何ですか」という問に対する回答(複数回答)。
資料:内閣府「国民生活白書」(平成13年)
 
 経済産業省「電子商取引に関する市場規模・実態調査」によると、平成13年の消費者向け電子商取引(B to C)市場規模は、1兆4,840億円となり、平成12年の8,240億円に対し約80%拡大している。こうした傾向は今後も継続し、平成18年(2006年)の市場規模は、約16兆円に拡大すると予測している。インターネット上で行われた日経ネットビジネス「インターネット・アクティブユーザー調査」によると、インターネットを利用して商品・サービスを購入した人の購入物をみると、平成12年まではパソコン関連商品、書籍・雑誌が上位を占めていたが、平成13年の調査では、食料品や衣料品といった生活にかかわる商品が上位を占めるようになってきている。こうした傾向は、平成13年以降も持続しており、パソコン、書籍・音楽などの先行品目の金額規模の伸びが落ち着きをみせる中で、衣料、趣味・雑貨類、旅行、エンタテインメントなどが大きな伸びをみせている。
 
図表6−37 主たるインターネット上の特産品販売サイト
サイト名 内容
うまいもんドットコム 全国の食材、調味料、食器、詞理器具等の販売。
全国ふるさと市場 各地方紙が選んだ特産品紹介。
サンケイ産直市場 地方特産品のオンラインモール。
値打発見 浜通が運営。
丸一横山商店 高知県を中心に中国地方、九州地方の特産品を販売。
うまいねネット ラジオ局による全国の食品の販売。
きたうま 北海道のじゃがいもやたまねぎ等の減農薬栽培農産品、タラバガニや毛ガニ等の水産品の販売。
九州沖縄よかもん市 九州、沖縄の特産品等を販売するショッピングモール。
全国特産品WEB オンラインモール。ジャンル、地域、用途、金額等で検索。
ANA GIFT アメリカ国内向け、日本向けの宅配サービス。
ふるさと銘店百選 エヌエムシイが運営。
JTBおみやげねっと 全国の特産品の販売、、検索、調査、研究、イベント等
NIT Shopping Mall ふるさと宅急便 エヌアイティーが運営。酒、農産物、水産物等の販売。
Zeppin Valley 全国各地の特産品の販売。
あじの細道 東北地方の土産物の販売。
幼なじみ 水産物、農産物、菓子類等のショッピングモール。
山陰だんだん市 山陰の特産品等を販売。
ふるさと食品ネット展示場 コンクール受賞食品の紹介、イベントの情報。
アツアツエクスプレス 愛知県渥美半島産の果物、野菜、地酒等の販売。
まるごと屋 高知、九州、京都、沖縄等の特産品の販売。
Digital Shop 7-days Club 全国の特産品、産地直送品の紹介と商品の通信販売。
e-shopper ジェイ・ミューズが運営。泉州水なす漬、三年熟成丸中醤油を販売。
WEBショップ 富山県中小企業団体中央会が運営。かまぼこ等。
磯巻寿司の魚九 冷凍天むす、松阪肉、伊勢えび等の寿司の販売。
千花 都道府県各地のおみやげ、名産のモール。
道後新鮮市場 十五万石が運営。四国、瀬戸内の品物。
ふるさと産直ショッピング 読売情報開発センターによるサイト。
セレクトフォーユー アシストが運営。ヤーコン芋、シーガルフォー等の販売。
 
 特産品市場も同様であり、現在、インターネット上には、様々な特産品販売サイトが立ち上がっており、主催者も行政(都道府県、市町村)、業界団体(商工会議所、商工会、JA)、民間事業所と多様化している。







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