第1章 調査研究の背景と朝日町の現状
1 時代の潮流
(1)国民意識の変化
住んでいる地域への関心が高まり、自分の住む地域の問題に対し、自主的に参画しようとするまちづくり活動への意識が高まっている。
日常生活の様々な分野において、高齢者福祉、障害を持つ人の介助、環境保全等、多種多様なボランティア活動が行われており、国民の社会貢献意識はものの豊かさから心の豊かさを求める社会的な意識の現れとしてとらえることができる。
図表1−1 高まる社会貢献や心の豊かさを求める人の割合
備考: |
1. |
社会貢献意識は、「あなたは、日頃、社会の一員として、何か社会のために役立ちたいと思っていますか。それとも、あまりそのようなことは考えていませんか。」という問に対して、『思っている」と回答した人の割合。 |
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2. |
心の豊かさは、「今後の生活の仕方として、次のような2つの考え方のうち、あなたの考え方に近いのはどちらでしょうか。」という問に対して、「今後の生活として、物質的にある程度豊かになったので、これからは心の豊かさやゆとりのある生活をすることに重きをおきたい」と回答した人の割合。 |
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3. |
社会志向は、「国民は、「国や社会のことにもっと目を向けるべきだ」という意見と、「個人生活の充実をもっと重視すべきだ」という意見がありますが、あなたのお考えはこのうちどちらの意見に近いですか。」という問に対して、「国や社会のことにもっと目を向けるべきだ」と回答した人の割合。 |
資料: |
総理府「社会意識に関する世論調査」、「国民生活に関する世論調査」により作成。 |
(2)住民活動展開に向けた国や県の動向
(1)民間非営利組織の活動
1995年(平成7年)に発生した阪神淡路大震災、1997年の福井県三国町沖での「ナホトカ号」海難事故による流出油災害対策等におけるボランティア活動は、いまだ記憶に新しいところである。
そうしたボランティア活動は、要求的、参加的なものから、自主的でより自発的な運動へと変化していっており、公共サービスの担い手のみならず、雇用の創出、いきがい就労の機会、新産業の創出、コミュニティ再生など、活動によりさまざまな成果が生まれており、今後の日本社会に欠くことの出来ない存在となりつつある。
(2)NPOへの支援施策
特定の非営利活動を行う団体に法人格を付与することなどにより、ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進するため、平成10年3月に特定非営利活動促進法(NPO法)が制定された。さらに、平成14年12月に特定非営利活動の一層の発展を図る観点から改正が行われ、平成15年5月1日から施行される。
特定非営利活動として認められる分野は以下に示す17分野に渡る(改正後)。
図表1−2 NPO法の特定非営利活動の17分野
(1)保健・医療・福祉 |
(10)男女共同参画社会の形成 |
(2)社会教育 |
(11)子どもの健全育成 |
(3)まちづくり |
(12)情報化社会の発展 |
(4)学術・文化・芸術・スポーツ |
(13)科学技術 |
(5)環境保全 |
(14)経済活動の活性化 |
(6)災害救援 |
(15)職業能力の開発又は 雇用機会の拡充の支援 |
(7)地域安全 |
(8)人権擁護・平和の推進 |
(16)消費者の保護 |
(9)国際協力 |
(17)これらの活動を援助する活動 |
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(注) |
平成14年12月の改正で、(4)は「文化・芸術・スポーツ」に「学術」が追加された。また、新たに(12)から(16)の5分野が加わり、12分野から17分野になった。 |
特定非営利活動促進法に基づく申請受理数は、内閣府で1千件を、都道府県全体で1万件を超えており、平成15年1月31日現在の認証累計数は、内閣府で918件、都道府県計で8,808件であり、このうち福井県で68件となっている。平成15年2月末までには内閣府・都道府県計合計で1万件を超えると見られている。
図表1−3 |
NPO法に基づく申請受理数および認証数・不認証数(暫定数) |
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受理数(累計) |
認証数(累計) |
不認証数(累計) |
内閣府 |
1,076 |
918 |
19 |
都道府県数 (うち福井県) |
10,100
(74) |
8,808
(68) |
22
(0) |
合計 |
11,176 |
9,726 |
41 |
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(注) |
平成10年12月1日〜平成15年1月31日累計 |
資料: |
内閣府ホームページより作成 |
一方、平成15年1月31日現在、福井県で認証されている68NPO法人の市町村別内訳は次の通りで、人口が集中する市部に多い。
図表1−4 |
福井県内の主たる事務所が所在する市町村別のNPO法人数 |
福井坂井地域 |
39 |
奥越地域 |
3 |
丹南地域 |
13 |
嶺南地域 |
13 |
福井市 |
22 |
大野市 |
2 |
武生市 |
3 |
敦賀市 |
7 |
美山町 |
0 |
勝山市 |
1 |
鯖江市 |
8 |
小浜市 |
1 |
松岡町 |
1 |
和泉村 |
0 |
今立町 |
2 |
三方町 |
0 |
永平寺町 |
0 |
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池田町 |
0 |
美浜町 |
1 |
上志比村 |
0 |
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南条町 |
0 |
上中町 |
0 |
三国町 |
2 |
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今庄町 |
0 |
名田庄村 |
1 |
芦原町 |
1 |
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河野村 |
0 |
高浜町 |
1 |
金津町 |
4 |
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朝日町 |
0 |
大飯町 |
2 |
丸岡町 |
6 |
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越前町 |
0 |
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春江町 |
1 |
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織田町 |
0 |
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坂井町 |
2 |
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越廼村 |
0 |
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清水町 |
0 |
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資料: |
ふくい県民活動センターホームページ |
福井県ではNPO法の趣旨を受けて、県民の社会貢献活動をより一層発展させるため、平成12年3月に県民社会貢献活動支援条例が制定された。この条例では、杜会貢献活動を「ボランティア活動をはじめ」として「営利を目的とせず、公益の増進に寄与することを目的として自主的な意思に基づいて行われる活動」と定義し、宗教や政治、選挙を目的とする活動を除き、県民の公益的な活動を幅広く支援対象としている。
また、そうした社会貢献活動を支援するため「支援施策の5本の柱」を掲げて、ふくい県民活動センターにおいて活動を推進している。
図表1−5 福井県のNPOに対する支援施策の5つの柱
人材の育成 |
(1)基礎的な学習機会の提供などによる参加の促進 (2)専門的な研修 (3)人材の積極的活用 |
活動拠点の整備 |
(1)県における社会貢献活動の拠点の整備 (2)市町村における活動拠点の整備の促進 |
財政基盤の整備 |
(1)自立した財政基盤の整備の促進 (2)パートナーシップaに基づいた事業委託の検討 |
情報の提供 |
(1)関係機関との連携による情報の収集および提供 (2)受け手に応じた情報の提供 |
交流の促進 |
(1)交流コーナーの活用 (2)インターネットの活用 (3)交流会の開催 |
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資料: |
ふくい県民活動センターホームページより作成 |
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