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先行事例調査
宗像市と東海大学福岡短期大学の連携・協働について
1. 調査の概要
調査実施日 2002/11/05
回答者 東海大学福岡短期大学 林哲郎(東海大学福岡短期大学企画室長)、辛島久樹(東海大学福岡短期大学 事務室室長)
  宗像市 服部和生(宗像市 企画調整部企画課長)、清水比呂之(宗像市 企画調整部企画課係長)、吉永知加(宗像市 企画調整部企画課)
調査者 日立市:今橋、田尻(財)地方自治研究機構:平林、有馬
 
2. 大学等と自治体との連携・協働事業の全体内容
 
全先行事例共通の
整理軸
大学と宗像市間の
連携や協働事業
取組状況
市  福岡教育 東海短大 日赤看護
組織の
取組
個人の
取組
組織の
取組
個人の
取組
組織の
取組
個人の
取組
組織の
取組
個人の
取組
大学の・地域の施設開放 ・図書館の開放        
・体育施設、講義室関連の一般開放        
地域へのインターンシップ、実習、留学生等の受け入れ ・インターンシップ          
・中学生職業体験学習生の大学の受入        
・学生ボランティア          
・碁礎看護学実習の地域の受入          
・留学生支援(不要品等の提供等)○          
生涯学習(公開講座、オープンカレッジ、シンポ・講演会その他) ・出前講座(ルックルック講座アカデミー版)        
・IT講習会の講師、会場の協力          
・講演会・シンポジウムの共催        
市民参加型イベントの実施 ・学びの里フェアーの一環として大学祭の開催        
大学から・地域からの講師等派遣 ・市職員による大学での講座(出前講座)            
・新入生オリエンテーションでのまちについての講和(△は「行政からのお知らせ」のパンフレットの配布のみ)        
地域の調査 ・商工会議所との共同研究(お店紹介のHP作成)              
研究・事業への参加・協力 ・小学生向けデジタル教材製作          
相談・コンサルティング事業                  
その他 ・施設案内標識の設置          
・学生の作品設置、発表の場の提供            
・市職員を大学に職員として派遣            
 
3. 包括協定等
(1)包括的協定の全体構成、内容概略
 むなかた大学のまち協議会は、宗像市長および三大学の学長を会員として、大学等が持つ機能と情報を広く地域社会へ開放し、地域と大学等が一体となって魅力ある「大学のまち」を創造するため、総合的かつ効果的な事業推進を図ることを目的に平成14(2002)年8月に設置された。
 市民と大学等の交流推進、市と大学及び大学間の相互交流推進、地域連携事業の相互支援、及び目的達成に必要なことが市長・学長レベルで話し合われる。
 
(2)現在の担当態勢・担当部署
・宗像市:企画課
・大学(福岡教育大学、東海大学福岡短期大学、日本赤十字九州国際看護大学)
・全体:むなかた大学のまち協議会
 
<協議会の構成>
協議会会員 市:市長
大学:福岡教育大学学長、東海大学福岡短期大学学長、日本赤十字九州国際看護大学学長
幹事会 市:企画課長、企画係長、企画係員、生涯学習課長、生涯学習推進係長
大学: 福岡教育大学 総務課長、総務課長補佐、総務課総務係長、総務課員
日本赤十字九州国際看護大学 総務課長、総務課地域交流係長
東海大学福岡短期大学 事務室長、事務室員
事務局市:企画課
専門部会案件の内容にそって、市・大学4者の担当者によって構成される
 
(3)連携・協働事業の実現までの準備・経緯(推進態勢、担当組織、企画から実現までの期間、発生した課題と対応)
 昭和41(1966)年福岡教育大学、東海大学工学部福岡教養部(平成2(1990)年に東海大学福岡短期大学に改組)が宗像市に開学。以前から誘致をしていた日本赤十字九州国際看護大学(以下日赤看護大学と略称)が平成13(2001)年4月に開学。
 以前から福岡教育大学とは、主に教育・生涯学習関係について、東海大学福岡短期大学についてはIT設備が整備されているということで、主に情報分野で、市のそれぞれの担当部所と個々の大学が連携を行なってきた。
 日本赤十字九州国際看護大学は、大学設立の計画段階から地域に開放された大学を目指しており、それが宗像市の大学誘致の施策に合致し、開学することが決まった。
 宗像市は大学誘致に際し、学校用地を無償譲渡、無償貸与で用地を提供、更に施設整備費として2億円の補助を出した。また、大学からの要請により、市の係長級の職員を1人、平成10(1998)年4月から平成13(2001)年3月まで派遣。開学後も事務局総務課地域交流係長として市職員を1人派遣している(任期は平成13(2001)年4月から平成15(2003)年3月)。
 平成2(1990)年10月に市と福岡教育大学の事務局レベルの連携会議として、「まちづくり懇談会」を開催し、以後年1回ぐらいのペースで会議を行なってきた。また、東海大学とも同様の懇談会を開催。この時点では市がそれぞれの大学事務局と個別に懇談会を開催していた。
 5年前から東海大学からのインターンシップの受入を行なってきており、東海大学としては大学の競争激化など環境変化の中で地域との連携がいっそう重要になってくると考え、平成11(1999)年11月、市と東海大学との間で「連携・協力に関する協定書」を調印した。
 平成12(2000)年1月、日赤看護大学が開学するのをきっかけに、宗像市と市内に所在する三大学の4者の事務局が初めて一堂に会し、宗像市内三大学連携事務局会議を開催することになった。事務局レベルで今年度の事業内容の報告や来年度以降の連携についての事業計画等を話し合った。
 平成13(2001)年4月、重点プロジェクトとして『「大学のまち」づくり』が位置づけられた第4次宗像市総合計画がスタートしたのを機に、平成13(2001)年4月に福岡教育大学と正式に協定書を調印、続いて、平成13(2001)年11月に日赤看護大学と協定書の調印をおこなった。協定書の内容は東海大学のそれとほぼ同じだが、それぞれの大学の特色を活かした内容に多少変えている。
 協定書を交わした効果として、協定前は担当部所がそれぞれ連絡を取る形であったが、協定後は窓口がお互いに一本化されたことにより、連絡が取りやすく、情報交換などが容易になった。効果の一例としては、平成12(2000)年に国の補助によるIT講習会を開催する際、協定書に基づいて、市と東海大学の連携がはかられ、スムーズに事業を興すことが可能となった。
 市と三大学4者の事務局の懇談会は頻繁に行なわれたが、市長・学長間の懇談会は、協定書を調印する時しかなく、調印式の場では大学の近況・市の近況、連携状況の報告で終わっており、踏み込んだ話合いはなされない状態であった。市長、学長間の協議の場を設定する必要性を感じ、平成14年8月にむなかた大学のまち協議会を設立。これまでは、事務局レベルでの来年度のみの事業計画作成に留まっていたが、市長・学長の合意の元で、長期的な計画のもとに事業を推進していけることが期待される。具体的には、平成14(2002)年度から始まるので、まだ目に見えた形にはなっていない。
 
(4)現在の事業評価、課題
(1)効果、影響、評価
協議会自体の効果、影響、評価については、平成14(2002)年8月に協議会が設立されたので、まだ目に見える形にはなっていない
協定書の効果については、平成12(2000)年度に国からの補助金によるIT講習会を開催する際には、東海大学より場所や講師等の提供についてスムーズに協力を得ることが出来たと思われる
 
(2)課題
福岡教育大学は国立のため予算措置上制約があり、柔軟な対応が困難である。私立大学も最近は財政的に厳しいが、国立に比べると柔軟性があり、年度の途中で急遽事業を起こす際も配慮をしてもらい、柔軟に対応してもらえる。
協議会を維持するための負担金を各大学に負担してもらいたいが、それぞれ財政状況は決して楽ではないので、大学内のコンセンサスがとれるまでは、最低限の費用のみを大学に負担してもらい、しばらくは市が負担することになった。その代わり、市としては大学側に人材と頭脳の提供を望んでいる。
教員の中に、地域への貢献の意識が十分には浸透していない。
 
(5)当協定による事業について、期待する今後の発展方向性
協議会が設立されたことにより、これまでは毎年担当者レベルでの合意のみの連携であったが、学長・市長レベルでの合意の上での事業推進となるので、長期的に、安定した事業の推進を図れると期待している。







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