柏市での連携・協働は、市が上から主導したのではなく、まず大学からの提案があり、それを受け入れてきたために、事業を継続することができた。つまり、契約による関係ではなく、互いのボランタリーな気持ちがベースにある。予算を計上する際にも、ボランティア活動を見こんで予算額を軽減するようなことは行っていない。大学がボランティアで行ってくれたものについては、後に予算を修正し、他の事業にあてている。このようなボランタリーな関係でなければ、事業を成功させることは不可能であっただろう。

　そこで、行政からの一方的な要請で連携をしても失敗すると考えられる。大学が自発的にやりたいと思わなければ、協働事業を成功させることは無理である。そのためには、市としては、公教育機関との協力を中心として、大学が積極的に何かをしたいと申し出たくなるような土壌を形成しておく必要がある。大学に「何かをしてもらう」のではなく、魅力的な教育風土を形成し、そこに大学からの申し出を「受けいれる」姿勢が重要ではないか。

　例えば、KIU事業では、学生にとって小中学校の役に立っていることや地域貢献が評価されていることについて、参加することへの誇りを持っている。

　また、モラロジー教育者研究会を中心として、何十年にも渡って、人脈が形成されてきたことが、連携の成功の大きな要素となっている。

　

　大学や学生がやる気になっていないと、大学との連携・協働による地域活性化は難しいのではないか。麗澤大学ではたくさんの資金や人手を持ち出しているが、それもボランタリーな気持ちがなければ無理な話である。