日本財団 図書館


先行事例調査
柏市と麗澤大学の連携・協働について
1. 調査の概要
 
調査実施日 平成14年11月13日(麗澤大学)
平成14年11月19日(柏市立教育研究所)
 
2. 大学等と自治体との連携・協働事業の全体内容
 
全先行事例共通の
整理軸
大学と市の
連携や協働事集
取組状況
大学
組織の
取組
個人の
取組
組織の
取組
個人の
取組
大学の・地域の施設開放 ・図書館開放【個別連携・協働事業(1)】      
・ゴルフ場開放      
地域へのインターンシップ、
実習、留学生等の受け入れ
・麗澤大学留学生の地域への協力(要請を受け参加。別紙参照      
生涯学習
(公開講座、オープンカレッジ、シンポ・講演会その他)
・コミュニティ・カレッジ、文化講演会 【個別連携・協働事業(2)】      
・国際理解特別授業の開講 【個別連携・協働事業(3)】    
市民参加型イベントの実施          
大学から・地域からの
講師等派遣
         
地域の調査研究・事業への
参加・協力
       
相談・コンサルティング事業          
その他 ・KIU事業の実施【個別連携・協働事業(4)】
・現職教員(英語)のリカレント教育の受け入れ
   
 
※麗澤大学キャンパス内には生涯学習を推進する財団法人モラロジー研究所がある。生涯学習センター施設をもち、生涯学習の各種講座や市民参加型イベントの実施、地域への講師派遣、相談・コンサルティング事業を行っている。大学が直接おこなう自治体との連携・協働事業は、大学の特性を生かすものに限られているのが、その特徴である。
 
3. 個別連携・協働事業
(1)図書館の開放
(1)連携・協働事業の具体的内容概略
 20歳以上の市民に図書館を開放し(登録料として1000円必要)、本の閲覧を可能にしている。図書館では、約42万冊の図書、約4000タイトルの雑誌と約6500点の視聴覚資料を所蔵している。
 
(2)事業規模の推移(最近3、4年〜現在/参加規模、事業実施頻度、事業費等)
 ここ5年で、登録者は1800人程度である。
 
(2)コミュニティ・カレッジ、文化講演会の実施
(1)現在の担当態勢・担当部署
 麗澤大学広報課(コミュニティ・カレッジ講座係、文化講演会係)
 
(2)参加・利用層の特徴(学校サイド、地域サイド)
 高齢者や主婦層などが多い。
 通学可能な、柏市隣接の千葉県北西部在住の参加者が多い。
 
(3)事業の効果・評価、課題(学校サイド、地域サイド)
 パソコン講座、健康分野の講座、ゴルフ教室等の人気が高い。
 実施して10年以上になる。
 前期、後期、通年で行っているが、全体では今年度で500人強の参加者である。
 
(3)国際理解特別授業の開講
(1)現在の担当態勢・担当部署
 柏市役所
 麗澤大学
 柏市立柏高校(窓口として)
 
(2)連携・協働事業の企画〜実施までの経緯(推進態勢、担当組織、企画から実現までの期間、発生した課題と対応)
 2001年頃から国際理解特別授業についての話はなされており、柏市立柏高校から麗澤大学へ国際関係の講座を開講して欲しいとの依頼もあった。大学としては、社会貢献活動の一貫として、また、専門的な角度からの授業を高校生に提供したい、キャリア形成に役立たせたいとの気持ちから、国際理解特別授業に取り組み始めた。
 平成14(2002)年4月に柏市長と麗澤大学学長が協定書を交わした。
 
(3)連携・協働事集の具体的内容概略
 高校の授業が行われない土曜日の10:00〜11:30に講座を開講している。受講料は無料であり、手続き費用として登録料2000円(一人、年間)を徴収している。
 
(4)事業規模の推移(最近3、4年〜現在/参加規模、事業実施頻度、事業費等)
 平成14(2002)年度からの実施であり、年間19回講座を開く予定である。
 受講登録者数は合計100名である。
 
(5)参加・利用層の特徴(学校サイド、地域サイド)
 学校サイド:麗澤大学の専任の教員が授業を開講している。
 地域サイド:公立8校、私立1校の合計9校が参加している。
 
(6)今後の展開・発展への意向や要望・期待(学校サイド、地域サイド)
 学校サイド:現在のところは、高校では柏市立柏高校でのみ、大学では科目等履修生に対してのみ、単位を認めている。今後は単位の認定を拡大することも検討している。また、高校からの反応も良好である。
 地域サイド:高校との連携により授業を実施することになった背景には、人脈が形成されていたことがあげられる。
 
(4)KIU事業の実施
(1)現在の担当態勢・担当部署
特定非営利活動法人柏インターネットユニオン(KIU)
(運営委員の構成員は、財団法人モラロジー研究所、麗澤大学情報システムセンター、柏市教育委員会、柏市立教育研究所、柏市小中学校、高等学校関係者等様々である。)
麗澤大学の情報系のゼミの学生(ボランティア)
 
(2)連携や協働事業の目的、ねらい
 小中学校を中心とした学校教育活動におけるネットワークの基盤整備、運用の上で、インターネット利用の推進に寄与することを目的としている。
 
(3)連携・協働事業の企画〜実施までの経緯(推進態勢、担当組織、企画から実現までの期間、発生した課題と対応)
 モラロジー研究所が歴史的に地域の教育に深く根をおろしており、モラロジー教育者研究会により教育の情報が共有化されてきた。この研究会では10数年に渡って、地域の先生方による月例会が行われており、現場の課題を話し合う場ともなってきた。
 柏市では早くから情報関係システムを推進していた。昭和61年に柏市立教育研究所で情報化を始め、昭和62年にはフルセットの学校のネットワーク化を行った。それから、5年ごとにコンピューターをリースしていた。
 KIU事業の発端として、大学側では、1996年にモラロジー研究所により地域貢献型教育ネットワークプランの検討が開始されていた。
 このような背景の中で、大学側が柏市教育研究所へ地域ネットワークのアイデアを提案したところ、両者の意図が一致して事業が始まった。1997年にKIUが設立された。
 1999年に文部省・郵政省の「学校インターネット」事業として柏市が申請し、採択された。ただし、このプロジェクトは3年で終わり、アフターケアが必要とされていたことも、KIUの一事業の背景となった。
 
(4)連携・協働事業の具体的内容概略
 ネットデイを実施し、ボランティアの協力で小中学校等の校内LANの構築工事を行っている。インターネット接続をするために、学生が図面を書いたり、部材を発注したりする。また、設置後には、校長先生に報告書を提出する。
 「KIUインターネット教育研究フォーラム」を年に3回実施しており、教育実践事例報告、技術研究報告、パネルディスカッション等を行っている。
 「UNIXサーバー管理基礎講習会」を開き、小中学校の先生が校内LANに設置されたUNIXサーバーの簡単な管理ができるように講習会を行っている。
 小中学校の先生やKIU関係者、学生と共に年に1回運動会を開いており、平成14(2002)年で5回目になる。参加者は、ここ3年で、56、88、130名と年々増加している。
 インターネットについては、有害情報のフィルタリングも行っている。柏市立教育研究所内の情報教育推進委員会で有害情報を定義し、有害情報が流れないようKIUで管理している。また、ウイルスが入れば、自動的に駆除する仕組みになっている。
 
(5)参加・利用層の特徴(学校サイド、地域サイド)
 学校、地域サイド:KIU事業関係者
 学校サイド:麗澤大学の教員、学生ボランティア
 地域サイド:柏市立教育研究所職員、小中学校の関係者
 
(6)事業の効果・評価、課題(学校サイド、地域サイド)
 学校サイド:学生も、学んだことを活用できるよいフィールドを与えられていると認識しており、大学関係者も同様の姿勢である。
 地域サイド:KIU事業は地域の小中学校から非常に高い評価を得ている。麗澤大学の学生の評判も非常に高い。KIU事業には企業も協力的であり、事業でボランティアをした優秀な学生を就職にリクルートすることもある。事業が地域によい相乗効果をもたらしていると関係者は捉えている。
 
(7)今後の展開・発展への意向や要望・期待(学校サイド、地城サイド)
 学校サイド:インフラ整備から教育の情報化(ソフト面)へと事業を発展させる必要がある。これまでの事業で、小中学校の先生はパソコンという素材と、パソコンの機能が持つコンテンツを学んできたが、今後はそれをどう教材として使用するかを開発する必要がある。あくまでも教育が基盤にあり、その上に情報があるという形で、授業が行われる必要がある。そこで、情報モラル教育も必須であると考えられている。また、教育機能を持った地域ネットワークセンターや教育の情報化の更なる進展が必要である。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION