2. 周辺自治体と市内大学の連携・協働の実態と今後の期待動向
(1)日立市と周辺自治体との関わり
茨城県北部地域は、日立市を中心とした商業・業務などの都市機能や産業技術の集積、また奥久慈の清流などの恵まれた自然環境や地域の特産物など、都市と農山漁村との均衡のとれた地域である。
日立市は北茨城市、高萩市、十王町、常陸太田市、金砂郷町、水府村、里美村とともに茨城県北地方広域市町村圏事務組合を組織し、昭和48(1973)年の設置以来、県北広域圏計画の策定や結核・胃がんの検診事業などを行っている。
今後は、海外への玄関口となる常陸那珂港や幹線道路など広域交通ネットワークの整備、先端科学技術を活用した産業の集積、生活関連道路や下水道などの居住環境、教育・文化環境の一層の整備を図るとともに、過疎化や高齢化を課題としてとらえ、保健・医療・福祉などの充実が期待されている。
平成4(1992)年日立市は、商業・業務・文化・情報・福祉など多様な都市機能の集積を図るため、茨城県北部広域圏の都市拠点創造を目指し、JR常磐線日立駅に隣接する日本鉱業株式会社(現・日鉱金属)荷扱所跡地を中心とした、約12.5haの区域において駅前開発整備事業『遊びと創造の都市「日立駅前地区」』を実施、日本都市計画学会計画設計賞を受けている。
(2)高等教育機関との連携に関するアンケート(自治体回答)
日立市周辺の各自治体が、日立市内に立地する大学とどのような連携を行い、高等教育機関に対してどのような期待を持っているかを把握するため、アンケート調査を実施した。
(1)調査対象
ア. 母集団
茨城県県北地域及び常磐線沿線各自治体。回答は連携担当部所。
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名称 |
周辺自治体 |
水戸市 |
ひたちなか市 |
東海村 |
那珂町 |
常陸太田市 |
十王町 |
高萩市 |
北茨城市 |
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(2)調査方法
郵送配布・郵送回収法。
(3)調査期間
平成14(2002)年11月21日発送。12月6日締め切り。
(4)調査項目
現在行っている(1)連携内容、(2)連携成果、(3)連携課題、(4)官・学連携に対する考え方の4点について調査を行った。
(5)調査結果
周辺自治体からの回答の結果については、以下のとおりである。
ア. 連携内容
生涯学習に関わる連携を行っている自治体が最も多かった。「地域住民の優先入学制度・入学金・授業料減免制度」を行っている自治体はない。
イ. 連携成果
生涯学習についての取組が最も多かったことを反映してか、「地域住民の学習意欲が増進した」と答えた自治体が最も多かったが、「地域と大学の間で人や情報の交流が増えた」、「大学との協働事業を行なうようになった」と感じている自治体はまだなかった。
個別の意見としては、その専門性の高さにより、「高度な研修内容を継続的に提供できるようになった」、「職員の資質の向上」、「職務に関する一般的知識の習得」、「自己啓発などに役立った」と評価する意見があった。
ウ. 連携課題
「教授陣の時間的余裕の不足」、「高等教育機関との情報交換」について問題意識を持っている自治体が多かった。
個別の意見としては、「審議会の委員依頼は、審議会担当課(各課)と教諭など個人との間で行われているものであり、大学自体との連携はなされていない」、「民間の研修機関と違って、研修に対する品質(研修内容、研修の進行方法、プレゼン等)の保障がされていない」、「大学関係者と職員個人とのつながりから連携を実施したものであり、自治体と大学との連携がなされたものとはいえない」、「大学側窓口は学部または学科からの依頼で行われ、自治体側窓口は受入課対応である」という、連携事業を大学全体の取組とする意識の希薄さや窓口の問題を指摘する意見があった。
エ. 官・学連携に対する考え方
「今後とも積極的に連携を図っていきたい」、「より密接にかつ広範囲にわたって連携を進めていくべきである」、とする意見の他に、「相互の機能を生かして連携しながら、その機能を高めていこうという雰囲気は全国的にあるものの、それが個々の大学等・行政体において十分活用されているのかどうかわからない」という意見もあった。
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