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1.事業目的
 小型船舶に搭載される小型船舶用救命胴衣の中で、従来の小児用より小さい幼児用救命胴衣について自己復原性を備えたものが新たに規定され、常時着用化が義務付けられた。救命胴衣の水中における浮遊性能を評価するためには、一般にその救命胴衣が対象とするサイズに見合った人体被験者による浮遊試験が行われている。この方法で、大人用及び小児用救命胴衣の性能評価が可能であるが、幼児用については、幼児被験者が水中に浮遊した時に、評価に必要なリラックスした状態を保つことが困難なため、正確な評価が出来ない状況である。このため、幼児被験者の代わりとなり、幼児用救命胴衣の浮遊性能を評価するために必要な幼児ダミーを製作し、これにより、幼児用救命胴衣の評価方法を確立し、この種の胴衣を普及させることを目的とした。
2.事業実施計画
 (1)事業実施計画の内容
 体重10.8kg(日本人幼児1歳〜2歳に相当)、14.5kg(日本人幼児3歳〜4歳に相当)及び18kg(5歳〜6歳に相当)を想定して、日本人の幼児の特性を把握した上で、幼児ダミーを製作し、幼児用救命胴衣の浮遊性能評価方法及び試験法を確立することととした。その後、平成14年7月の小型船舶安全規則の改正により、幼児用の救命胴衣については体重が15キログラム未満のものと規定された。
 そのため平成14年、15年の2年間で15キログラム未満の3体の幼児ダミーを作製することとした。(調査期間2年間)
1)平成14年度の調査研究項目は、次の通り。
(1)人体計測値調査及び幼児の人体測定
 日本人幼児(1歳〜2歳、3歳〜4歳及び5歳〜6歳を対象)の人体計測値調査及び幼児の人体測定、重心測定等
(2)幼児ダミーの設計及び製作
 3歳〜4歳用の幼児ダミーの設計及び製作
(3)幼児用救命胴衣の製作
 3歳〜4歳用の幼児胴衣の製作
(4)浮遊試験
 a.被験者による浮遊試験の実施
 b.幼児ダミーによる浮遊試験の実施
(5)幼児用救命胴衣性能評価法の検討及び自己復原性の評価法の確立
 (1)〜(4)試験データを解析・検討し、幼児用救命胴衣性能評価法及び自己復原性 の評価法の確立のための資料を作成する。
2)平成15年度においては、1歳用(約10kg)及び2歳用(約12kg)の幼児ダミーの製作、評価法の確立について、同様の研究を進める。
 更に、上記調査研究の結果をまとめ、評価し、幼児用救命胴衣の浮遊性能評価方法及び試験法の確立のための資料を得る。
 (2)事業の実施方法及び場所
 (社)日本船舶品質管理協会に学識経験者その他関係者からなる委員会を設けて業務遂行のための審議を行うとともに、専門機関における試験を行うほか、外部に委託しダミーの製作を行う。
(2ヵ年事業初年度)
3.委員会
3.1委員会の構成
 本事業を遂行するために、下記の委員からなる「幼児用救命胴衣の浮遊性能評価に関する調査研究」(略称:「浮遊性能評価」委員会)を構成した。
 
<順不同>
  氏名 所属・職名
委員長 長田修 元船舶技術研究所 装備部長
*部会長 板垣恒男 製品安全評価センター 次長
*委員 村山雅己 製品安全評価センター 主任研究員
委員 金湖富士夫 独立法人 海上技術安全研究所
旅客船・バリアフリー研究グループ長
委員 上村宰 (財)日本舶用品検定協会 技術課長
*委員 坂下広朗 日本小型船舶検査機構 業務部検査検定課長
*委員 加賀山譲 高階救命器具(株) 製造部長
*委員 高田義則 東洋物産(株) マリン部 部長
*委員 小川輝夫 日本救命器具(株) 技術部技師
*委員 南部大気 日本船具(株) 代表取締役
*委員 新井正純
梅木康成
藤倉航装(株) 開発担当部長 営業部 営業二課
オブザーバー 新村公秋 (株)エステック 技術部
関係官庁 清水武史 国土交通省 安全基準課 バリヤフリー推進係長
関係官庁 高橋賢次 国土交通省 検査測度課 業務一係長
関係官庁 高松正徳 国土交通省 船舶検査官
事務局 安部信之 (社)日本船舶品質管理協会 上席技師
事務局 高原邦夫 (社)日本船舶品質管理協会 指導技師
印は、作業部会委員を示す。
 
3.2 委員会の開催
 平成14年度は、委員会を3回、作業部会を4回開催し審議した。
 
 3.2.1 委員会経過
(1)第1回「浮遊性能評価」委員会
日時:平成14年5月23日(月曜日)、14:00〜16:30
場所:(社)日本船舶品質管理協会、1F会議室
議題:
1)委員長の選出
2)平成14年度事業計画の策定
3)作業部会の設置
4)その他
(2)第2回「浮遊性能評価」委員会
日時:平成15年1月31日(金曜日)、13:30〜16:30
場所:(財)東京都中小企業振興公社(第7東ビル右隣)第三会議室
議題:
1)幼児身体計測結果
2)幼児ダミー設計仕様及び幼児ダミー試作品の紹介
3)幼児用救命胴衣の設計仕様
4)被験者による浮遊試験結果
5)幼児ダミーによる浮遊試験結果
6)被験者と幼児ダミーによる浮遊試験結果の比較
7)その他
 (1)報告書目次(案)
(3)第3回「浮遊性能評価」委員会
日時:平成15年2月28日(金曜日)、13:30〜16:30
場所:(社)日本船舶品質管理協会、1F 会議室
議題:
1)報告書(案)
2)その他
 3.2.2 作業部会経過
(1)第1回「浮遊性能評価」作業部会
日時:平成14年6月13日(木曜日)、10:00〜13:30
場所:(社)日本船舶品質管理協会、9F会議室
議題:
1)作業方法の検討
2)人体模型の作製手順の検討
3)その他
(2)第2回「浮遊性能評価」作業部会
日時:平成14年8月20日(火曜日)、13:30〜16:30
場所:(社)日本船舶品質管理協会、1F会議室
議題:
1)人体測定の計測結果について
2)浮遊姿勢予備試験報告
3)幼児ダミーの設計仕様について
4)幼児用救命胴衣の設計について(各社)
(3)第3回「浮遊性能評価」作業部会
日時:平成15年1月23日(木曜日)、13:30〜16:30
場所:製品安全評価センター(艤装品研究所)
議題:
1)幼児ダミー試作品の確認
2)幼児ダミーによる浮遊性能試験及び飛び込み試験の実施及び結果報告
3)被験者による浮遊性能試験と幼児ダミーによる浮遊性能試験との比較評価
(4)第4回「浮遊性能評価」作業部会
日時:平成15年2月14日(金曜日)、13:30〜16:30
場所:第7東ビル 会議室
議題:
1)幼児ダミーによる試験方法の検討
2)幼児ダミーによる水中性能評価方法の検討
3)幼児ダミー首関節の改良の検討
4)その他







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