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第八節 固定式イナート・ガス装置
(固定式イナート・ガス装置)
第十八条 ボイラから発生する燃焼ガスを利用する固定式イナート・ガス装置は、次に掲げる要件に適合するものでなければならない。
 一 貨物タンク内のガスの状態が不活性となるように、酸素含有率が、通常、体積で五パーセント以下のイナート・ガスを必要に応じて貨物タンクに供給することができること。
 二 新鮮な空気を貨物タンクに注入する場合を除き、貨物タンク内のガスの酸素含有率が体積で八パーセントを超えないようにすることができ、かつ、貨物タンク内を大気圧より高い圧力に維持することができること。
 三 人が貨物タンク内に入る場合を除き、通常、新鮮な空気を貨物タンクに注入する必要が生じないものであること。
 四 荷揚げの後、空の貨物タンク内の炭化水素量を減少させるため、イナート・ガスにより貨物タンク内のガスを置換することができること。
 五 貨物タンクの洗浄が、不活性なガスの状態において実施することができること。
 六  貨物タンク内のガスを新鮮な空気で置換することができること。
 七 始動時の機能を安定させるための装置が取り付けられていること。
 八 貨物ポンプの最大容量の百二十五パーセント以上に相当する供給率でイナート・ガスを供給することができること。
 九 次に掲げる要件に適合するスクラバーが備え付けられていること。
 イ イナート・ガスを有効に冷却することができること。
 ロ 残留固形物及び硫黄燃焼物を効果的に除去することができること。
 ハ 十分な量の冷却水を供給することができる二個の互いに独立したポンプが備え付けられていること。
 ニ 送風機に送り込まれる水の量をできる限り少なくするためにフィルター又はこれと同等の装置が取り付けられていること。
 十 ボイラの煙路とスクラバーとの間のイナート・ガス供給管には、適当な燃焼ガス遮断弁及びその開閉状態を指示する装置が取り付けられていること。
 十一 安全な保守を行うことができるように、燃焼ガス遮断弁とスクラバーとの間のイナート・ガス供給管又はスクラバーのガス流入口には、ウォーター・シールその他の燃焼ガスの漏えいを有効に防止するための装置が取り付けられていること。
 十二 次の要件に適合する二台以上の送風機を備えていること。
 イ すべての送風機が作動する場合において、少なくとも第八号に規定する供給率以上の供給率でイナート・ガスを供給することができること。
 ロ すべての送風機が作動する場合において、貨物タンクに生じる圧力が貨物タンクの試験圧力を超えないものであること。
 ハ 各送風機の吸気側及び排気側には、適当な閉鎖装置が取り付けられていること。
 ニ 第二十二号イからハまでに掲げる事項について、所定の値に達したときに送風機を停止することができる装置が取り付けられていること。
 十三 送風機の排気側におけるイナート・ガス供給管には、次に揚げる基準に適合する制御弁が取り付けられていること。
 イ 第二十二号イからハまでに掲げる事項について、所定の値に達したときに自動的に閉鎖するための措置が講じられていること。
 ロ 送風機の送風量を自動的に制御する措置が講じられていない場合には、貨物タンクヘのイナート・ガスの流入量を自動的に制御するための措置が講じられていること。
 ハ 送風機の故障の際に、自動的に閉鎖するための措置が講じられていること。
 十四 貨物タンクから機関区域及び煙路へ炭化水素のガス又は蒸気が逆流することを防止するために、次に掲げる要件に適合するウォーター・シールが前号の制御弁の下流側に備え付けられていること。
 イ 十分な量の水を供給することができる二個の互いに独立したポンプが備え付けられていること。
 ロ 給水管及びドレン管は、管海官庁が適当と認めるものであること。
 ハ 貨物タンクの試験圧力に相当する圧力の炭化水素のガス又は蒸気の逆流を防止することができること。
 ニ ウォーター・シールの氷結を防止するための措置が講じられていること。
 十五 前号のウォーター・シールの下流側におけるイナート・ガス供給管には、積極閉鎖装置付きの逆止弁(逆止弁と同等の装置を含む。以下同じ。)が取り付けられていること。
 十六 制御弁と逆止弁との間のイナート・ガス供給管に、制御弁を閉じた場合に安全に当該イナート・ガス供給管内を通気することができる装置が取り付けられていること。
 十七 逆止弁の下流側におけるイナート・ガス供給管は、管海官庁が適当と認めるものであること。
 十八 イナート・ガスが供給されている間、逆止弁の下流側におけるイナート・ガス供給管内のガスの圧力及び送風機の排気側におけるイナート・ガス供給管内のガスの酸素含有率を継続的に指示し、かつ、恒久的に記録するための装置が取り付けられていること。
 十九 貨物タンク内のガスの酸素及び炭化水素の含有率を測定するため、適当な持運び式計測器を備え、かつ、必要なタンク取付け物が取り付けられていること。
 二十 前二号に規定するもののほか、イナート・ガスの温度、圧力及び酸素含有率を継続的に指示する装置が、管海官庁が適当と認めるところにより取り付けられていること。
二十一 前三号に規定する酸素含有率の計測に係る装置を調整するための措置が講じられていること。
二十二 次に掲げる事項を表示するため可視可聴警報を発する装置が取り付けられていること。
 イ スクラバーに対する水の供給圧力が低いこと又はスクラバーに対する水の供給量が少ないこと。
 ロ スクラバー内の水位が高いこと。
 ハ イナート・ガス供給管内の温度が高いこと。
 ニ 送風機の故障
 ホ イナート・ガス供給管内のイナート・ガスの酸素含有率が体積で八パーセントを超えること。
 へ 制御弁の自動制御装置の動力源及び第十八号の装置の動力源の故障
 ト 第十四号のウォーター・シールの水位が低いこと。
 チ 逆止弁の下流側におけるイナート・ガス供給管内の圧力が低いこと。
 リ 逆止弁の下流側におけるイナート・ガス供給管内の圧力が高いこと。
二十三 前号チに掲げる事項について、所定の値に達したときに、可聴警報を発し、又は貨物ポンプを自動的に停止する装置(可聴警報を発する装置にあっては、前号の可視可聴警報を発する装置から独立したものに限る。)が備えられていること。
 
2 専用のイナート・ガス発生装置を備え付ける固定式イナート・ガス装置その他管海官庁が前項の規定を適用することが構造上困難であると認めるものについては、前項の規定にかかわらず管海官庁の指示するところによるものとする。







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