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ブルーリ潰瘍
 ブルーリ潰瘍は、結核及びハンセン病と同じ仲間の細菌感染により引き起こされます。西アフリカを中心に熱帯地方全域の主に河川や湖の近く等、湿地帯に生活する人に発生が確認されています。感染は手足に多く発生し、細菌の産出する毒素により皮膚に深い潰瘍を形成し、診断・治療の遅れによりしばしば重篤な障害を残します。近年西アフリ力で発生の増加が確認され、しかも児童への感染が多いことから、後遺症による治癒後の生活の質とそれに伴う社会経済への影響が大きな問題となっています。現在のところ感染経路は特定されておらず、有効な化学療法は開発途中にあり、外科的に病巣を切除し必要な場合その後皮膚移植を行なうことが唯一の有効な治療法です。このため、病巣が小さい初期の段階での発見と治療が極めて重要となっています。
 
 1998年以来、日本財団はWHOのブルーリ潰瘍対策プログラム(WHO/GBUI)を通じ、病原菌と感染経路の研究、疫学調査、治療薬の開発、地域住民の意識向上プログラム、外科的治療の標準化などを支援しています。
 
 
 後遺症の発生予防に有効な早期発見・治療を促進するため、日本財団はWHOが出版した、ブルーリ潰瘍に関する子供向け啓発教育用漫画本(フランス語と英語)の製作を支援しました。また、2001年には、日本財団と当財団はガーナのブルーリ潰瘍患者の外科的治療プロジェクトを支援しました。このプロジェクトを通じ、皮膚移植などの外科的治療技術の向上が後遺症の軽減に貢献することが確認されました。診断の遅れにより重篤な状態で発見されるケースが多い現在、今後は外科的治療技術向上を目的としたトレーニングプログラムを現地医師に対し実施していく予定です。
 







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