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ハンセン病−社会的・経済的自立の支援
 ハンセン病は治療を受ければ確実に治る病気となり、古くから恐れられてきた病気のイメージは変わりつつあります。しかしながら、世界の各地でハンセン病に対する偏見と差別が根強く残っているのも現実です。患者、回復者、特に障害を残した人々と家族を取りまく環境は厳しいものです。偏見と差別の除去、自立と尊厳の回復のためには、これまでとは違う新しいアプローチが必要になります。当財団では、病気と差別によって損なわれた自己のアイデンティティ、自信、尊厳を回復者自身が再び取り戻すことによって、社会からの疎外を乗り越え、スティグマを払拭し、自らの力で立ち上がり問題解決にあたるという、回復者たちの自発的な活動の支援に重点をおいてきました。その一環として、回復者自身が社会に向かって発言していくネットワークとその活動を支援しています。
 
 当財団では以下の活動に協力しています。
* 社会的・経済的自立を目指す活動
* 患者・回復者の子供たちへの奨学金
* 患者・回復者・NGO・政府関係者のためのワークショップ
* 治る病気としてのハンセン病広報啓発活動
* 患者・回復者の声や考えを発信するネットワーク
 
社会的・経済的自立支援活動
ハンセン病の患者や回復者に慈善は要らない
自分の能力を発揮する機会、
そして世界を変えて行く機会が欲しいのだ
 
クリスチアノ・トレス(ブラジル)
 
 これまで当財団はインド、中国、エチオピア、ネパールなどで、回復者が経済的に自立した生活を送れるようになるために、技能習得や小規模な自営業、家畜の飼育などを始めるための初期コストの支援などを行なってきました。
 
教育支援
 回復者や家族の中には、病気や社会的偏見、後遺障害等のために、教育や社会での生産的活動の機会を奪われ、差別と貧困の生活から抜け出すことができない人が多くいます。これまでに当財団では、ネパール、インド、中国、ミャンマーの回復者家族の子供たちに教育の機会を提供してきました。偏見と貧しさのために教育を受けることができなかった子供たちが、教育を通して社会で生産的活動に従事する可能性を手に入れ、また貧困と疎外の悪循環を断ち切るための支援です。
 
 
学校に行くお金を貰ったときは、宝石みたいに大切にしました
簡単に手に入る物じゃないから・・・この機会をしっかりとつかんで、一生懸命勉強して、いつかきっと社会に貢献します 何妙聴(中国)
 
ワークショップ(対話と交流の集会)
 ハンセン病の正しい知識と回復者の積極的な生き方を社会に届けるため、インド、中国、ネパール等でワークショップ開催の支援をしています。回復者、政府関係者、医療従事者などが参加し、市民の啓発という目的と共に、回復者ネットワークを強化し、回復者の発言の場を提供するという目的も持っています。
 
広報啓発活動
 回復者の才能や業績を、回復者自身の著作、パネル、写真その他を通して社会に伝え、ハンセン病に対する従来の印象を一新する積極的なイメージを打ち出してきました。近年、回復者が中心となった国際的なネットワーク「アイデア(IDEA)」が回復者の声を世界の人々に届けていく活動を広げています。







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